与党提言

与党(自民党、公明党)から、緊急提言が、総理に提出されました。副題に「震災三年目の冬を希望持って迎えるために」とあるように、被災地で最も望まれている「住宅再建の見通しを立てること」など、2年を迎える現在、何が課題かに絞った提言です。目次を見ていただくとわかるように、課題がよく整理されています。
2月に出た復興推進委員会報告と合わせ、課題がわかるよい資料です。
もちろん、私たちは、これらで指摘された課題を、自治体や住民と一緒になって、解決しなければなりません。

首長の約半数が「予定通り進んでいる」

3月6日の読売新聞が、被災42市町村長を対象としたアンケート結果を載せていました。
それによると、復旧・復興計画が「予定通り進んでいる」が20人、「やや遅れている」が16人、「相当遅れている」が3人、「全く進んでいない」が3人でした。約半数の市町村長が、「予定通り」と答えています。「遅れている」「進んでいない」の多くは、福島県です。特に遅れている事業は、住宅再建という答が一番多いです。
新聞の見出しは「復興、足踏み状態」でしたが、違うと思います。半年前のアンケート結果で「予定通り」が20人で、今回の結果も20人なので、このような見出しになったのでしょうか。「計画通り進んでいる」ということは、半年の間で事業が進んだということです。「足踏み状態」なら、「半年間で、全く進んでいない」になると思います。実際に、高台移転や住宅再建は、各地で始まっています。
また、被災者の生活再建のめどについて、「立っている」が32人です。「立っていない」は10人、うち8人が福島県です。こちらも、進んでいます。
政府の震災対応について「大いに評価できる」が1人、「ある程度評価できる」が31人、「あまり評価できない」が10人でした。半年前は「ある程度評価できる」が22人でしたから、評価が高まっています。ありがとうございます。

岡本統括官の帰り際に、仕事を持ち込む友の会

先日、「岡本統括官に弁当を食べさせない友の会」の話を書きました(2月22日)。最近新たに、「岡本統括官の帰り際に、仕事を持ち込む友の会」ができたようです。
今日も、20時過ぎに帰ろうとしたら(そんな時間まで、答弁案を見るために残っていたのが、そもそもの間違いでした)、ある職員が「岡本統括官の帰り際に、仕事を持ち込む友の会」です、と言いながら入ってきました。彼は先週も同様に仕事を持ち込んだので、私は「会員は、あんた一人じゃないか」と笑いながら、「応戦」。ところが、それが終わったら次の職員が・・。会員は、2人に増えました。

大震災がもたらした社会の変化

日経新聞3月4日夕刊は、「身近な変化、東日本大震災2年」を書いていました。多くの企業が復興支援に携わりました。それが、会社の役割や働く意識を問い直したという記事です。
・・博報堂生活総合研究所(東京都港区)所長の嶋本達嗣さんは、「東日本大震災は一人ひとりの自立心と連帯感を高めた」と分析する。被災地・被災者のために、自分は何ができるのか。自問自答が繰り返され、何らかのスキルや知恵を身につけて自立しようとする意識が強まった。さらに自分一人ではできることに限りがあり、誰かと連帯する重要性に目が向いたという。「自立心と連帯感の高まりは、仕事や地域との関わり方を問い直すきっかけとなり、日本の社会構造を変える原動力となるかもしれない」と期待する・・

被災地で考えるマイケル・サンデル先生

NHKが2日にわたって、マイケル・サンデル先生と考える震災復興を放送しました。3月2日夜は東北大学で学生や一般の方千人と、3日夕方には日本を代表する社長7人との討論です。見応えがありました。
東北大学では、参加者の「東北人は討論に向いていない」との事前の発言とは全く違い、「白熱教室」でした。自主避難者に支援すべきか、ボランティアである民生委員や消防団員は自らの危険があっても高齢者を救いに行くべきか、復興に際してリーダーシップを優先すべきか住民合意を大切にすべきか。それぞれ難しい問題です。
社長7人との討論も、すばらしかったです。「さすがに、この社長たちは違う」と思わせるものでした。復興に限らず、企業経営は社会との関係でどうあるべきかなど。この方たちが日本の経済と産業を引っ張っていってくだされば、日本は世界の中で復活できるでしょう。
見損なった方は、もったいないことをしましたね。でも、再放送もあり、オンデマンド(有料)もあるとのことです。

「さすが」と思ったのは、先生の問題設定と、話の進め方です。そして、参加者のしっかりとした発言です。放送では、実際の録画を編集してあるのでしょうが。
実は私も、大学などで復興の講演をする際には、「被災地で考えるマイケル・サンデル先生」を、先生に断りもなくやっています。
「100人の避難所に届いた70人分の物資をどう配るか」「避難所で、応援に来たボランティアたちが汗を流している前で、若くて元気な避難者がぶらぶらしている場合」「支援物資として文房具がたくさん送られ、文房具屋さんが商売あがったりになったこと」「ボランティアがお花を配ってくだっさったので、花屋が仕入れたお花が売れなかったこと」「がれきを、岸壁の応急修理に使ってよいか」「ご遺体を埋葬する際に、僧侶の読経を求められた役場職員」など。
発災直後の現場では、哲学や倫理の衝突の他に、法令と緊急対応との衝突事案もありました。復旧に入った段階でも、「哲学の違い」が、現場では出てきます。それぞれ、いま目の前にある課題です。そして、大学教授や国の官僚が答えを出してくれない、あるいは待っていられない課題です。