27日の勉強会では、次のような報告をしてきました。復旧において、統計をどのように活用しているかです。
1 復興庁では、まず、基礎数値を把握して公表しています。
(1)当初必要だったのは、全国の避難者数です。これは今回の大震災特に原発事故で、多くの避難者が全国に避難したので、その把握が困難だったのです。全国の市町村の協力を得て、定期的に調査発表しています。
また、今回新たに調査しているものに、災害関連死があります。これまで見過ごされてきた課題です。
(2)インフラやサービスの応急復旧の状況を公表しています。これは、関係機関から数値を集め、わかりやすく公表しています。産業の復興状況なども集めて、定期的に公表しています。
2 次に、復興へ向けて、データを使っています。
(1)インフラなどの復旧に向けての工程表(予定表)を公表し、関係機関で共有するとともに、国民に示しています。
(2)また、各自治体が復興状況を把握し比較できるように、その共通手法を示しました。これは、既存の公表統計を使って、どの程度復興したかを把握できる方法です。
これら復興状況と取り組み指標を、1つの欄に載せてリンクを張って、使いやすいようにしてあります。
3 ただし、統計による復興状況の把握には、限界があります。
(1)例えば産業復興の把握に統計が使われますが、東北地方・各県・沿岸市町村・津波浸水地域のどの単位で把握するかによって、違ってきます。東北地方全体や各県では、おおむね復旧した数値が出ています。しかし、津波浸水地域だけをとると、まだ7割しか復旧していません。
(2)次に、いつも書いていることですが、予算額というインプットでは、復興状況は把握できません。アウトプットやアウトカムでとらえなければなりません。
(3)「復旧が遅い」という批判がありますが、何を物差しにするするかです。特に「がれきの処理が遅い」と批判されましたが、100年分ものがれきが出たのに、一気に片付くはずがありません。環境省と各県は、約3年で処理すると予定を立てました。これ自体が大変なことですが、この目標なら、1年を経過した時点で目標通りに進んでいるかどうかが、評価できます。
(4)町が復旧することと、暮らしが再建することは別です。インフラが復旧しても、各種のサービスが再開しないと暮らしていけません。さらに生活の基礎には、働く場(雇用と産業)の復旧が必要です。それらをどう把握するか。また、コミュニティやご近所づきあいは、暮らしていく上で重要です。孤立化が問題になるゆえんです。このつながりは、予算をかけても復旧できません。
この項続く。