ここ数日、「富士五湖」周辺を震源とする地震が頻発し、震度5弱も起きました。その分野の第一人者である鎌田浩毅京大教授に問い合わせたところ、次のような回答がありました。
先生には、私だけでなく、たくさんの方面から問い合わせがあるとのことで、「全勝のホームページにこの回答を載せて、みんなに紹介せよ」との指示を受けました。以下、先生からの回答です。
問題となっている地震は、
1月28日7時43分 山梨県東部・富士五湖 マグニチュード5.5(震度5弱)
1月29日16時46分 山梨県東部・富士五湖 マグニチュード4.7(震度4)などです。
まず深さが20キロほどで、昔から地震が比較的よく起きる場所です。いわゆる「山梨県東部の地震の巣」の中で発生したものでしょう。
皆さんが心配している下記の活断層「神縄・国府津-松田断層帯」ではありません。これは日本列島の活断層のなかで発生確率が16%と最も高いもので、予測規模は最大M7.5です。
昨日からニュースでは「富士五湖」や「忍野村」に反応しているようですが、震源をみると富士山のマグマだまりに直接関係する地震ではありません。これは、「フィリピン海プレート」に押されることによってできた「逆断層」の地震です。たとえば、去年3月15日に富士山直下で起きたマグニチュード6.4や、8月1日に駿河湾で起きたマグニチュード 6.2と同類です。
実は、東日本大震災の発生直後から、伊豆半島の北方で地殻変動が活発になっているので、このタイプの地震は今後もかなり起きるでしょう。
気象庁は「富士山活動とは無関係」と発表していますが、その通りです。一方、近くにある富士山のマグマだまりを揺すり続けている可能性はあるので、警戒は必要です。
富士山は300年間もマグマをため続けており、現在は噴火スタンバイ状態にあります。もし噴火に至る場合には、必ず前兆現象が出ますので、心配は要りません。前兆現象の経過については、下記に分かりやすく説明しましたのでご参照下さい。
『もし富士山が噴火したら』(東洋経済新報社)
『富士山噴火』(講談社ブルーバックス)
この機会に、富士山噴火の防災に関する点検と学習をしていただければ幸いです。京都大学教授 鎌田浩毅
それにしても、東京ではよく揺れます。