1月28日の読売新聞「編集委員が迫る」は、知野恵子編集委員の「中村祐輔東大教授、医療推進室長辞任の理由」でした。2011年1月に内閣官房・医療イノベーション推進室長に就任した中村教授が、1年で辞任したことについてのインタビューです。
教授は日本の医療産業について、危機的状況だと指摘しておられます。
・・まず、新役作りが遅れている。例えば、ガン細胞だけを攻撃する「分子標的治療薬」という抗ガン剤がある。これまで世界で20種類以上開発されたが、日本製のものは一つもない。医薬品の輸入も急拡大しており、2011年度は1兆3600億円の赤字になった。日本の貿易赤字の半分以上に相当する。心臓ペースメーカーなどの治療用医療機器も外国製品ばかりだ。
大学などの研究水準は世界的に見ても高い。しかし、その成果を実用に結びつけ、産業として開花させる国家戦略がない。背景には、省庁間の縦割りがある・・
改革できなかったことについては。
・・未来につながる医療復興案を提案した・・しかし、霞ヶ関の役所からは無視された。
役所は全て根回しで動かしていく。落としどころを考えながら話し、少しずつ積み上げていく。私にとって最も不得手なことだ。それに霞ヶ関の発想は、予算の枠に縛られている。将来を見すえて、必要なものに優先度をつけることもしない。
・・官僚は視野が狭く、来年の予算を確保することしか考えない。10年後、20年後を見すえて政策を練るような人はまずいない。政治家も、政局が不安定な中、誰も責任を持って意思決定をしない。研究者も論文を書くことが目標で、時間と手間がかかる薬作りに本気で取り組もうとしない・・
研究者に政府に入ってもらうことについて、知野編集委員は、次のように述べています。
・・今回の原因を分析し、教訓を引き出さないと、同じことを繰り返す懸念がある・・
記事のごく一部だけを引用紹介したので、詳しくは原文をお読みください。