久しぶりの土日

昨日土曜日は、久しぶりにお休みを頂きました。手帳を見ると、一か月ぶり、3月以来、5日目の休日でした。キョーコさんのお供で、上野の西洋美術館で開かれている古代ギリシャ彫刻展へ。大英博物館の所蔵というところに、「う~ん」と思いつつ。イギリスに収蔵されなかったら、散逸したかもしれないし。
帰りに紀伊国屋に寄ると、読みたい本がたくさんあって、またまた買い込んでしまいました。仕事に関係する本、関心を持ち続けている分野の本、まったく関係ない楽しみの本。このうちの多くは、積ん読になるのでしょうね。
家に帰って、「さあ読むぞ」と思いつつ、お酒も飲んでいないのに、夕食後、直ちに沈没。

今日日曜日は、出勤して、来週の段取りを書き出し、たまった資料を整理しました。毎日忙しくて、自分の時間が取れません。休日は、少し広くまた先長く考えることができる、貴重な時間です。
何人か職員が出てきてくれていたので、仕事の打ち合わせをしたり、仕事を少し離れて日本の社会・経済・行政について議論をしたり。
この事務局には、全省庁、さらには日銀などからも職員が来ているので、同業他社・異業種との交流が、すぐにできるのです。それも、席を改めることなくです。その分野の専門家に、最先端のこと、難しいこと、さらには聞くのが恥ずかしいことまで、気楽に聞くことができます。これはありがたいですね。

昨日今日と、街で拾った言葉を、紹介します。
本屋のカウンターで、若い女性が「キョウサイの本って、どこにありますか」。店員さんは「・・・・」。女性客「キョウサイ試験の本です」。店員「・・・」。もう一度お客が「教員採用試験の本です」と。
そこまで省略されると、通じないでしょうね。

地下鉄の駅で、運転を止めているエスカレーターの前に、次のような掲示が出ていました。「土日、休ませてください」。
良いですねえ、このような表示は。「・・させていただきます」といった、不必要な丁寧言葉でなくて。

復興の基本方針決定

29日夜に官邸で、復興本部会合を開き、「復興の基本方針」を決定しました。この方針は、国の取組の全体像を示すものです。現場での主役は、住民と市町村です。今後市町村が復興計画をつくり、事業を進める際に、どのような事業メニューがあるか、どのように国が支援するか、参考にしてもらいます。
基礎となったのは、復興構想会議(五百旗頭真議長)の提言(6月25日)です。これを、国・県・市町村などが事業として実行するように、「行政用語」に「翻訳」しました。一方で、東日本大震災復基本法を実行する過程です。(本文1基本的考え方)。
この仕事は早さを要求されるので、約1か月で作り上げました。全府省の協力を得てです。なるべく地方団体の意見を反映させるため、文書による調査や、出かけていっての意見交換会も行いました。

「あんこ」の部分は第5章、復興の3つの柱「地域づくり」「暮らしの再生」「経済活動の再生」です。インフラなどの復旧だけでなく、人と暮らしの再建を重視しています。暮らしの安心安全と、それを支える雇用と経済です。いくら道路や住宅が復旧しても、働く場がないと、住民の暮らしと街の賑わいは再生しません。このように明確に書いたのは、新しいことだと思います。このことは、「3実施する施策(イ)」でも、明確にしました。被災地域の復旧・復興と、被災者の暮らしの再生を、並べて書いてあります。
このほかに、防災と、原子力災害からの復興を、別に建ててあります(5(4)大震災の教訓を踏まえた国づくり、6原子力災害からの復興)。
まだ具体的内容が固まっていない項目もありますが、順次固めていきます。各府省は、それぞれの事業について、計画や工程表を公開する予定です(p7第1行目)。
支援の仕組みとして、特区制度や使い勝手の良い交付金も、盛り込みました(p4)。また、あらゆる力を合わせて復興を支援するため、国・県・市町村(官)とともに、民の力もお借りすることを書きました。お金(寄付やファンドなど)・知恵(専門家)・人(ボランティア・NPOなど)です(p4民間の力による復興)。これも、新しい発想だと思います。

事業規模と財源確保についても、書いてあります(p5)。事業規模が(国と地方団体を合わせて)、5年間で19兆円以上と推計されています(原発事故損害を除いてです)。そのために、市町村が安心して事業をできるように、財源を保障することが重要です。「お金がないので事業ができない」では、困ります。
もっとも、この数字は、阪神淡路大震災などを参考に、推計したものです。これから事業が進むと、より確実な数字になります。応急事業は進んだので、ほぼ数字がつかめます。復旧事業も、被害総額からある程度推計できます。しかし、復興事業はどのような事業が行われるか、現時点では不明です。例えば、どのくらいの家族が、集団移転されるかによって、事業費は大きく変わってきます(7月17日の記事)。

今朝の新聞では、財源確保の部分についての与党との調整過程が、大きく取り上げられています。政治的には、政府と与党のあり方、与党での政策決定過程も重要です。しかし、この基本方針の目的・機能は、被災者や被災地に対し、今後国がどのような考え方で、どのようなメニューで支援するかを明らかにすることです。各紙とも、基本方針本文を、かなりの分量で掲載してくれました。これはありがたいことです。しかし、私たちが示した「施策」について、ここが評価できる、ここは足りないという、分析が欲しいです。
政治には、権力(政局)と政策の、2つの要素があります。政治部記者の方には、政局とともに、政策についての報道・分析をお願いします。この基本方針の「宛先」は、永田町でなく被災地です。読者は、国会議員とともに被災者です。
もっとも、昨夜公表したばかりなので、記者さんたちも、時間がありませんでした。これからじっくりと分析してくださるでしょうから、今後の評価を待ちましょう。私たちの欠けている点を補うためにも、期待しています。

仕事は次の段階へ

昨日、基本方針を決定したので、私たちの仕事は一つの山を越え、次の段階に入ります。
昨日は、本部会合が、与党調整作業によって、20時15分にずれ込みました。ゴーサインが出てから、官邸での会議まで30分。通常なら、2時間は間があるのですが。全大臣への開会のお知らせ、マスコミへの公表、資料の印刷(これもかなりの数になります)、会場での配付、そして会議後の記者会見の設営などです。事前に工程表(誰が何時に何をするか)を作り、各担当が準備をしていたので、間に合わせることができました。
この状況を写真に残してくれた職員がいます本業の様子3

職員のかなりの数は、関係者との調整などで、ここ数日徹夜に近い状態です。よくやってくれました。私たちの組織は臨時新設なので、去年の経験や前例がありません。事前事前に、次の工程を考え、関係者で打ち合わせをして、手探りで進めています。
超特急で、かつ完璧に作業をしてくれた職員に感謝をし、また誇りに思います。
すべてが終わったのが、23時過ぎ。それから職員有志は、打ち上げに行ったようです。「疲れているだろうから、飲み始めて30分以内で意識不明の重体になる(寝てしまう)のじゃないか。電車で寝過ごして、気がついたら小田原とか高尾だった、ということのないようにね」と言ったら、「そんなことのないように、朝まで飲みます」という、元気な声が返ってきました。もっともそんな遅い時間から飲みにいったら、終電には間に合わないわね。若さは、うらやましいですね。
56歳のおじさんは、昨日も食べそびれて、ダイエットに成功しました(笑い)。今日土曜日は、福島県に出張の予定だったのですが、当地が豪雨なので中止しました。被害が出ています、拡大しないことを祈っています。
来週からは8月、いよいよ復興本部の実業が本格化します。被災者支援チームと同様、ホームページででも、取り組んでいる作業の一覧と、政府の復興事業の全体像が、見えるようにしたいと思っています。まずは急いで、復興本部のホームページを作ってもらいました。基本方針全文も、会議終了とほぼ同時に掲載し、記者さんから褒めてもらいました。これから充実していきます。職員には申し訳ありませんが、気分を入れ替えて、新しい仕事に取り組んでもらいましょう。

現場の苦しさと国からの支援

読売新聞が、26日から朝刊1面で、「復興漂流」という企画を、連載しています。避難所や仮設住宅での困難な生活、市町村役場での苦労など。現場でのご苦労が、報告されています。悲しい事案が多いです。
多くの地域で復旧が進んでいますが、その影でまだ十分に行き届いていないこともあり、苦しんでおられる方も多いです。
今回の災害では、国に被災者支援チームをつくり、被災者の支援を行なっています。これは、政府では初めてのことであり、復興本部に被災者支援班を置くことも、初めてのことなのです。しかし、私たち被災者支援チームや復興本部は、東京から、東北3県さらには全国的な被災地や被災者の状況を見ています。どうしても数字でとらえ、類型として把握することになります。もちろん、各地の個別問題も持ち込まれますが、現場の生々しさからは遠くなります。
また、現場で対応に当たるのは多くの場合、市町村職員です。例えば、個別の仮設住宅の立て付けが悪いところを、私たちが修理に行くわけにはいきません。国が行うのは、市町村が被災者支援を行う際に必要な財源や職員の応援を準備し、助言を行うことです。なかなか、被災者を十分に支援できないこと、市町村役場を支援できていないことが、申し訳ないです。

第3回復興本部会合

今日は夕方に、総理官邸で、第3回の復興本部会合を開きました。当面の復旧と復興の事業費を推計し、その財源をどう手当てするかです。他方、基本方針の本文(どのような復興をするか、どのような取組をするか)についても、地方自治体や与党の意見を聞き、各府省と詰めています。
この2つの内容を合わせて、「基本方針」として、今月中に決定する予定で、作業を急いでいます。
各担当の職員が順調に仕事を進めているか、滞っている項目はないか、漏れ落ちている項目はないか、目配りすること。次の段取りはどうするかを考えることが、わたしの仕事です。被災現場から持ち込まれる様々な案件もあり、その対応も忙しいです。なかなか、ゆっくりと考える時間が持てません。いけないことですが。