読売新聞は、5月31日から政治面で、「政策決定と科学」を始めました。そこに、イギリスの「政府への科学的助言に関する原則」(2010年3月)が紹介されています。
そのポイントは、政府にあっては、科学的助言者の学問の自由を尊重し、評価する。政策決定が助言に反する場合は、決定理由を公式に説明する。科学的助言者にあっては、科学は政府が政策決定で考慮すべき根拠の一部にすぎないと認識する。助言は、国家安全保障や犯罪助長などの理由がある場合を除き、公開する。そして、双方とも相互信頼を損なう行為をしないことです。
イギリスでこのルールが作られたのは、1990年代BSE(牛海綿状脳症)に関する科学的助言が過小評価されたとして、政府と科学者双方への不信が増したことがきっかけでした。アメリカやドイツにも、同じようなルールがあるそうです。
科学者は助言内容を自由に公表できる、しかし政策決定の際に考慮する一部でしかないことを双方が認識することです。日本でも、今回の原発事故対策や、今後の津波対策に際し、有用でしょう。