毎朝の出勤の際の話です。地下鉄の国会議事堂前駅で降りて、総理官邸前の交差点を、内閣府の建物に向かって、南に下ります。すると、正面に、東京タワーが見えます。先端部分が、左に傾いているのが、良くわかります。東日本大震災によるのだそうです。
どのようにして、この曲がりを修理するのか。ある人曰く、「念力でスプーンを曲げる、ユリ・ゲラーを呼んで来たらどうですか」と(笑い)。
ユリ・ゲラーといっても、若い人は知らないでしょうね。ウイキペディアでは、こちらです。
月別アーカイブ: 2011年4月
世論調査
4月18日の毎日新聞が、東日本大震災の対応について、世論調査結果を載せていました。福島第1原子力発電所の事故に対する政府の取り組みなどのほかに、被災地に対する政府支援についての結果も出ています。
それによると、「評価する」が50%を占め、「評価しない」は46%です。ほかの項目に比べると、高い評価を頂いています。もちろん、約半数の方は、評価しておられませんが。各府省の取組を認めてもらったのだと、思います。国民にさらに評価していただけるよう、なにより被災者の方に少しでも喜んでいただけるように、がんばります。
被災者支援勤め1か月
生活支援本部での勤務が、約1か月になりました。
この間に、東京は、ソメイヨシノがほぼ散りました。内閣府の前庭では、山桜が満開で、八重桜が咲き始めました。我が家の椿も、たくさんの花を咲かせたのですが、楽しむ間もなく終わりました。鉢植えの桜は、キョーコさんが水をやってくれたので、きれいに咲きました。プランターのチューリップも、次々と花を咲かせています。
1か月は、早いですね。生活支援本部では、先にも書いたように、私が毎朝早めに出勤して、職員に指示書を出します。毎日9:30に、審議官、参事官たちが集まって、班長会議を開き、その日の仕事を打ち合わせます。
私が朝に出した指示書は、その場でほとんど回答が出ます。班長さんたちの仕事の速さは、驚異的です。というか、次々片付けないと、たまる一方なので、完璧を待たず、できた範囲で回答するのです。資料の中に、堂々といくつも「不明」「現時点では把握できず」と書かれています。今のような仕事では、仕方ないことです。
そこで修正したものを、11:00からの運営会議に、諮ったり報告します。項目数で、毎日5~10になります。運営会議は、大臣以下の幹部が出席します。16:30には、再度、班長会議を開き、運営会議で出た宿題や、新たな課題を議論します。
そのほか、火曜日と金曜日には、官邸で関係府省連絡会議(各省次官や長官が参加)を開き、本部での仕事の進捗を報告し、各府省での取組を報告してもらいます。
今日は休日で、運営会議がありませんでした。かかってくる電話も少なく、仕事がはかどりました。午前中に、私の指示書を8枚ももらった参事官もいました。午後に副大臣が顔を出され、「全勝さんから、何枚もらった?」と聞かれ、「無数です」と答えていました(笑い)。
昨日出しておいた指示書に、昨夜のうちに返事を書いてくれた参事官もいます。たぶん今夜も、椅子の上に私が置いておいた指示書を、処理してくれているでしょう。申し訳ありません。
もうそろそろ、指示書を出すことをやめようと、考えているのですが。布団に入ったり、職場の椅子に座ると、次々としなければならないことや、新しいアイデアが、わいてくるのです。
被災者支援本部の取組
日にちとともに、被災地や避難所の状況が変わり、私たち支援本部の仕事も変わってきています。「現地の課題と支援本部の取組(分類)」を更新しました。インターネットは便利ですね。このようにホームページに載せることで、各府省、関係者、地方自治体の方に、何が課題で政府は何に取り組んでいるかを、簡単に知ってもらえます。
また今日は、自治体や避難所の方の協力を得て行っている、「3県の全避難所の実態把握(要支援度把握)」の、第1回集計ができました。対象となった約1,000か所のうち、回答が得られたのは約3割です。条件の厳しい地区の避難所からは、回答を得られなかったのではないかと、推測しています。
多くの避難所で、生活環境は改善しつつありますが、なお一部に厳しい避難所があることもわかりました。例えば、未だに電気・ガス・水道が来ていないところ、温かい食べ物が無いところ、1か月経ってもお風呂にはいることができていないところなどです。市町村役場や県庁には、このような厳しい避難所への対策を強化していただくことを、期待しています。
避難所の運営は、一次的には市町村の仕事であり、それを県が支援します。国が、今回のような実態把握を行うことは、初めてのようです。しかし、今回の震災の被害は大きく、市町村役場や県庁の手が回らないこともあるので、国が乗り出しました。現地でなるべく負担にならないように、記入様式は極めて簡単にしました。
砂原准教授の新著
砂原庸介大阪市立大学准教授が、『地方政府の民主主義-財政資源の制約と地方政府の政策選択』(2011年4月、有斐閣)を出版されました。著者の意図は、彼のブログをご覧下さい。
砂原君は、私が10年前に東京大学大学院に客員教授として出講していた時に、塾頭として授業を取り仕切ってくれました。とても優秀な院生で、教授である私より、彼の方がはるかに物事に詳しく、教えられることが多かったです。
もちろん、地方行政や国家行政の現場経験は、私の方が詳しく、その土俵で勝負していました(笑い)。もっとも、実務家教員である私に求められていたのは、本に書いてある理論ではなく、現場経験でしたから、それは間違っていなかったのですが。
講義を始めてしばらくして、学生の反応を確かめるため、「私の講義は難しいですか」と尋ねたら、「いいえ、どんどん難しくしてください。ついて行けない時は、言います。また、本に書いてあることは、『この本を読め』と指示してくだされば読みますから、本に書いてないことを教えてください」という趣旨の返事が返ってきたことを、覚えています。
社会学を専攻するものだと思っていたら、行政学しかも地方自治を専門に選びました。それについては、私も責任の一端があります。この本のあとがきに、少し触れられているので、お読み下さい。
う~ん、責任重大ですね。さらに研究を深められ、大成されることを期待しています。