著作の解説3 行政管理

私の関心の3は、組織管理論・官僚論です。

1 人事管理・公務員
これまで、いろいろなところで、組織管理を経験しました。職場での部下の悩み、上司の悩みは尽きませんが、「経験者」から見ると案外簡単なことで悩んでいる場合が多いです。「明るい係長講座」は、富山県総務部長の時に作った小冊子です。
それを基に、時事通信社『地方行政』に明るい公務員講座を連載し、後に本にまとめました。
明るい公務員講座 管理職のオキテ』(2019年、時事通信社)
明るい公務員講座 仕事の達人編』(2018年、時事通信社)
明るい公務員講座(2017年、時事通信社)

デルクイ」は、富山県在職中に創った、県職員による政策情報誌です。市販しています。デルクイ発刊趣意(『デルクイ』創刊準備号1996年)に、私の意図を書いてあります。

インタビュー「官僚論」月刊『時評』2004年10月号は、現在の官僚の機能不全と解決策としてのスパーゼロ種官僚の創設を提言しました。提言・国家官僚養成のページに再録してあります。
月刊『時評』10月号に、小生のインタビューが載りました。「国家官僚の養成に向けて人事制度を改めよ」「省庁にとらわれないスーパーゼロ種官僚の創設を」という内容です。(2004年9月30日)
専門誌なのであまり読まれないと思っていたのですが、結構、反応がありました。霞が関の先輩からは、多くの励ましの言葉をもらいました。新聞記者さんからは「岡本さんのような人もいるんですねえ・・」とか「よく言った。もっと書け」と。もっとも、企業の知人からは「大丈夫ですか?」と心配の言葉も。(2004年10月月9日)

「不思議な公務員の世界ーガラパゴスゾウガメは生き残れるか」『地方自治』2008年5月号(ぎょうせい)
大連載を書くに当たって考えた官庁の問題を、3つにまとめてみました。1つは、職場の汚さです。2つめは、生産性の低さです。3つめは、転職できるかです。民間企業と比べ、その特殊性を論じてみました。
日本の技術が進化を遂げ、しかし世界では通用しないことを、ガラパゴス化と揶揄します。それで言うと、日本の官庁は、世界とは異なった日本社会で、さらに民間とも違う世界をつくりあげました。その意味では、2重のガラパゴス化です。公務員というガラパゴスゾウガメは、ガラパゴス諸島では王者ですが、隔離がなくなったら生きていけるのでしょうか。厳しすぎるという意見もあるでしょう。皆さんのご批判を待っています。
訂正です。p14注5で、「予算重視への転換」とあるのは、「予算重視から結果重視への転換」の間違いです。

「安心国家での地方公務員の役割」
月刊『地方公務員月報』2011年4月号(総務省自治行政局公務員課)。詳しくは「明るい課長講座」へ。(2011年5月7日)
私は、現代国家に求められるものが、福祉国家から安心国家へ変化していると、とらえています。そこでは、まず対象が、福祉から安心に変化します。そして、手段が、提供から保障へ転換します。すると、行政の役割や手法が大きく変化します。

2 行政改革
①「富山県庁の挑戦-私の行政改革論」は、富山県総務部長の時に、体験をもとに書いた実践的行革論です。
世の中、行革の理論編はたくさん書かれていますが、理論編だけで進むのなら苦労しません(年間4回、お詫びの記者会見をした部長の経験談です)。地方公共団体の管理職で行革に悩んでおられる方、ご一読下さい。もっとも、団体ごとに条件が違いますから、私の考えがすべての場合に役に立つわけではありませんが。

「行政改革の現在位置~その進化と課題」北海道大学公共政策大学院年報『公共政策学』(2011年3月)は、1990年代以降の行政改革を整理し、範囲と目的が広がってきたことを論じました。詳しくは、「行政改革の分類」のページをご覧下さい。(2011年4月29日)

省庁改革については、著作の解説2 日本の政治と行政のページを見てください。

被災者支援本部ホームページ

被災者支援本部のホームページに、英語のページを作ってもらいました。被害は大きかったけれど、着実に復旧していることを、知ってもらうためです。
また、東北3県の避難所の地域別分析をしました。便宜的に、「沿岸部で避難所が10か所以上所在する市町村」と「それ以外の市町村」に分けました。資料の6ページ以降に、地図をつけてあります。やはり、沿岸部で避難所が多い市町村が、被害が大きく(電気ガスなどが復旧せず)、困難な状態にあることがわかりました。

今日の失敗・あいさつ

今朝出勤して、内閣府の建物に入り、階段を下りていました。すると、掃除をしているおじさんが、手を止めて、「おはようございます」と挨拶をしてくれました。いつもは、私から声をかけるのですが、今日は考え事をしながら歩いていたので、こちらから声をかけるのを忘れたのです。毎朝、私から声をかけるので、向こうも覚えていてくれたのでしょう。でも、先に声をかけられたのは、不覚でした。
明るい係長講座」にも書きましたが、かつて仕えた大臣や知事さんから、挨拶の大切さを学びました。富山県庁で、守衛さんや掃除をしてくれている人たちに、挨拶とお礼を言ったら喜んでもらえたので、その後は、職場で誰彼なしに、挨拶するようになりました。と言っても、「おはようございます」とか「ごくろうさま」「ありがとうございます」と、一言です。「変なおじさん」と、思われているのでしょうかねえ。
先日、初対面のある大臣警護官に挨拶したら、「かつて総理官邸前で警備していたら、当時の岡本総理秘書官に、『ごくろうさま』と声をかけてもらいました」と言われました。帽子をかぶっていたらから、私とわかったのでしょうか(笑い)。
総理官邸前では、たくさんの若い警官が警備で立っています。雨の日も寒い朝も。「ごくろうさま」と声をかけると、敬礼で返してくれます。今の仕事に就いてから、総理官邸に行くことも増えました。離れてから1年半経つのですが、官邸勤めの職員さんたちが覚えていてくれて、声をかけてくれます。ありがたいことです。

三陸の津波と宮城の津波

4月2日に陸前高田を視察した時に、津波被害地があまりに片付いていることに、驚きました。ほとんど何もなく、真っ平らなのです。市長さんにお聞きすると、「津波が引く時に、すべてを持っていった」とのことでした。23日24日に、宮城県と福島県を視察した時は、津波被害地域は、がれきが一杯残っていました。市町長さんに「津波は、がれきを持っていかなかったのですか」とお聞きすると、「残していった」とのことでした。
同じ津波でも、違うものだなあと考えていたら、24日の読売新聞に、三陸と宮城の津波の違いが、図解付きで解説されていました。高さや進み方が違うのですね。でも、ともに、破壊力はすさまじいものです。

小西先生の新著

小西砂千夫先生が『市場と向き合う地方債-自由化と財政秩序維持のバランス』(2011年、有斐閣)を出版されました。あとがきには、次のように書かれています。
・・地方債の市場はどのように機能しているのか、そこでは完全情報は期待できるのか、市場の不安定性はどこから来ているのか、地方債の安全性を担保している原理は何か。これを丁寧に解きほぐしていく必要がある・・
地方債については、これまでは、実務家の書いた制度解説と少しの書物しかなかったので、貴重な本だと思います。