年別アーカイブ:2010年

外国政府によるインターネット検閲

2010年4月23日   岡本全勝

22日の日経新聞夕刊が、インターネット検索の「グーグル社」が、世界各国の政府から、情報の削除や利用情報の提供などの要請を受けた回数を公開し始めた、と伝えていました。
2009年7月から12月の間に、削除要請はブラジルが291件、ドイツが188件だそうです。中国については、要請件数自体が中国の機密情報とされ開示できません。日本からの要請件数は、10件未満だそうです。政府からの要請内容は、児童ポルノなど違法な内容の削除や、犯罪捜査のための情報提供などです。
このようなことが、問題になるのですね。ここには、表現の自由と制限、検索エンジンの公共性、国際的な検閲など、いくつもの論点があります。

ねじれは異例ではない

2010年4月22日   岡本全勝
(ねじれは異例ではない)
21日の日経新聞経済教室は、曽根泰教先生の「ねじれ国会、活性化の契機。合意形成へ方法模索急げ」でした。
現在の衆参ねじれ現象を異例と考える向きも多いが、二院制に限らず、大統領選挙と議会選挙のように二つの異なる選挙を独立に行えば、かなりの頻度で多数派が異なること。また、政権交代が起きる場合は、必ずねじれが生じることを、指摘しておられます。
衆参同日選挙でない限り、起きるのですよね。政権交代が起きる時は、民主党が衆議院で多数を取るまで、現在のねじれは続きます。その次に、再度政権交代が起きて、自民党が衆議院で多数を取る時には、参議院で先に自民党が多数になるか(その時は、今とは逆のねじれになっています)、参議院では民主党が多数で現在のようなねじれが復活するかどちらかです。

リスク対策が生む新しいリスク

2010年4月22日   岡本全勝

16日の朝日新聞オピニオン欄は、「監視カメラ社会」でした(遅くなって、すみません)。
映画監督の森達也さんは、殺人事件や刑事犯罪全体が減っていて、日本の治安は悪化していないこと。監視カメラは犯人検挙に多少は役に立つが、防犯効果は疑問であること。それに対し、過剰なセキュリティー意識がもたらす副作用として、逆に人々に不安をあおり、集団に逆らう因子を排除する傾向を激しくすることを、指摘しておられます。排除と厳罰化によってリスクを排除しているつもりが、逆に新たなリスクを生み出してしまうのです。
一方、前田雅英教授は、治安は着実に良くなっていること。防犯カメラは犯罪予防効果があり捜査にも役立つこと。世論調査では9割の人がカメラ設置に賛成していることを、指摘しておられます。問題は、どのような場所に、どのような形でカメラをつけるか。得られた情報を、どう管理するかです。すなわち、プライバシーの侵害です。それは、警察や役所がつける防犯カメラより、民間が設置するカメラで起きる危険性が高いこと。官のカメラには設置場所や方法、情報管理に関する法規やガイドラインがあるケースが多いが、民のカメラでは遅れていると、指摘しておられます。
リスクを軽減するために取る対策が、新しいリスクを生むジレンマです。これは、監視カメラだけでなく、いろんな局面で出てきます。この春の大学院での、講義のテーマの一つです。

続丹羽会長の教え・トップの情熱

2010年4月21日   岡本全勝
NHKテレビ「仕事学のすすめ」、丹羽宇一郎伊藤忠相談役の「人間力養成術」。テキスト「仕事学のすすめ」(NHK出版)から。
p54
メールだけでは、トップの情熱や気迫は伝わらない。だから、全社員総会をはじめたのです。「みんな集まれ、私が直接出て原稿なしで自分の気持ちをしゃべるぞ」。そうすると、経営者は本気だな、本当のことを言っているなと、社員はわかるのです・・アメリカの心理学者の研究によると、スピーチの印象は、50%がしゃべる人の容姿、40%が情熱、10%が話の内容だそうです。
会長が、哲学を語り、経営方針を説明し、みんなにしっかり教え込んで、というのは時間の無駄でしょう。そのようなことは、ペーパーでやればよいことです。要するに、経営者がいかに情熱と気迫を持ってこの会社を引っぱっていこうとしているのかということを、目的を明確にして、それを簡潔に伝えられればいいのです。
p71
今の若者の質が悪くなった、外国人と競争する気概をなくしていると言う人がいますが、これは会社のトップが悪いのであって、急に若者のクオリティーが劣化したということではないと思います。
日本の会社員は時間的にもたくさん働いているような気がするのですが、実は働いたふりをしているだけの人も多いのです。部下は上司の背中を見て育つのです。迫力も気力もなくて情熱もなくて、怒りを忘れた上司を見ていたら、若い人間はこういう生活をしていても出世できると思いこんで、怒らない、おべんちゃらばかりを言う、気迫も情熱もそれほど感じられない、そういう人間に育つのです。
上司なりトップが、きちんとした姿勢を見せないからいけないのです。
・・人間は、気力、情熱、気迫というものがないと、成長しません。

人は、安住すべきか動き回るべきか

2010年4月20日   岡本全勝

20日の日経新聞夕刊1面コラム「あすへの話題」に、外山滋比古教授が「転がる石」を書いておられました。
イギリスでは、「転石苔を生ぜず」ということわざが、住まいや職を転々と変える人間は成功しない、という意味になります。アメリカでは、逆に、有能、活発な人は常に新鮮だ、という意味になります。
日本では、長くイギリスの意味で使っていましたが、戦後、アメリカの意味に変化しつつあると、先生は指摘しておられます。
私が思うに、成長過程にある人、成功を求めて努力する過程の人は、アメリカ流解釈なのでしょう。成功したら、イギリス流の発言もできるようになります。もちろん、変わるといっても、筋を通さず、言動がころころ変わる人は信頼されず、成功しないでしょう。