続丹羽会長の教え・トップの情熱

NHKテレビ「仕事学のすすめ」、丹羽宇一郎伊藤忠相談役の「人間力養成術」。テキスト「仕事学のすすめ」(NHK出版)から。
p54
メールだけでは、トップの情熱や気迫は伝わらない。だから、全社員総会をはじめたのです。「みんな集まれ、私が直接出て原稿なしで自分の気持ちをしゃべるぞ」。そうすると、経営者は本気だな、本当のことを言っているなと、社員はわかるのです・・アメリカの心理学者の研究によると、スピーチの印象は、50%がしゃべる人の容姿、40%が情熱、10%が話の内容だそうです。
会長が、哲学を語り、経営方針を説明し、みんなにしっかり教え込んで、というのは時間の無駄でしょう。そのようなことは、ペーパーでやればよいことです。要するに、経営者がいかに情熱と気迫を持ってこの会社を引っぱっていこうとしているのかということを、目的を明確にして、それを簡潔に伝えられればいいのです。
p71
今の若者の質が悪くなった、外国人と競争する気概をなくしていると言う人がいますが、これは会社のトップが悪いのであって、急に若者のクオリティーが劣化したということではないと思います。
日本の会社員は時間的にもたくさん働いているような気がするのですが、実は働いたふりをしているだけの人も多いのです。部下は上司の背中を見て育つのです。迫力も気力もなくて情熱もなくて、怒りを忘れた上司を見ていたら、若い人間はこういう生活をしていても出世できると思いこんで、怒らない、おべんちゃらばかりを言う、気迫も情熱もそれほど感じられない、そういう人間に育つのです。
上司なりトップが、きちんとした姿勢を見せないからいけないのです。
・・人間は、気力、情熱、気迫というものがないと、成長しません。