(インターネットの功罪)
先日の新聞記事(5月23日の記事「ネット帝国主義、利益を吸い上げる仕組みと安全保障上の危険」)に触発されて、岸博幸著「ネット帝国主義と日本の敗北」(2010年、幻冬舎新書)を読みました。論旨が明快で、わかりやすかったです。私なりの理解では、岸さんの分析と主張は、ごくごく簡単にまとめると、次のようなものです。
1点目は、インターネットの無料ビジネスが、ジャーナリズムと文化を破壊しているということです。すなわち、インターネットの普及で、私たちは便利になり、ビジネスも変わりました。しかし、もうかっているのは、グーグルやヤフーといった検索サイトだけです。それらは、広告収入で無料利用を広めました。しかし、その結果起こったことは、新聞や音楽(CD)といったコンテンツ(インターネットに載せる情報の作り手)の衰退です。新聞の購読者は減り、広告収入は激減しました。違法なダウンロードで、CDは売れなくなりました。新聞各社もインターネット配信を始めましたが、もうかっていません。
2点目は、国家の安全保障についてです。グーグルもヤフーもアマゾンも、ツイッターも多くのクラウドも、アメリカ製です。利用する私たちは、その情報をすべて彼らに握られています。確かに、これは重大な問題です。
また第1点目の問題は、このままでは、このビジネスモデルは持続しません。グーグルはもうけていますが、新聞などのコンテンツ産業を無料利用していることで成り立っています。新聞社が細ると、成り立たない商売です。詳しくは、原文をお読みください。
知らない世界を読むことは、勉強になりますね。もちろん、どこまでが正しく、どこが違うかを指摘するだけの知識は、私にはありませんが。岸さんの分析と主張は、説得力があります。