12日の読売新聞スキャナーは、「骨太の方針、陰の主役。働き方の見直し」でした。目の付け所が良いですね。「今年の骨太は骨細だ」とか「総花だ」といった定型的批判に比べ、記者(大津和夫記者)がよく勉強しています。またそれを大きく載せたデスクも、たいしたものです。
詳しくは本文を読んでいただくとして、私が関心を持った部分を抜粋します。
・・1989年の合計特殊出生率が過去最低となった1.57ショックを受け、政府は94年のエンゼルプランで始まる少子化対策で、主に保育や児童手当の拡充に力を注いできた。働き方の見直しも対策に盛り込まれてきたが、「地味で票にならない。手当や保育園の拡充の方が、目に見えやすくPRしやすい」(自民党幹部)といった事情で、実効性の期待できる対策は導入されなかった。
結果として出生率は回復せず、政府は「仕事一辺倒の働き方を変えない限り、対策の実効性は上がらない」(内閣府幹部)と判断。「保育」「経済支援」に次ぐ対策の三番手だった「働き方」が、前面に押し出された・・・
1990年代は、暮らしに関して、もう一つ大きなプランが進んでいました。ゴールドプランという、高齢者対策です。老人ホームや訪問介護を増やすといったことで、これが順調に進み、2000年の介護保険導入ができました。私は、当時交付税課の補佐で、ベッド数を増やすために、市町村の財源を手当てしていました。あまりに急速に増やすので、「本当にできるのだろうか」と心配していました。でも、できました。
一方、エンゼルプランは、効果が上がりませんでした。この記事を読んでわかることは、介護は、サービスとしてお金と人があればできる仕事だったのです。少子化対策は、世の中のお母さんや若者を、その気にさせなければ進まない施策だったのです。意識の誘導であり、生みやすい環境づくりだったのです。そして、保育園の拡充や経済支援だけでは、達成できないのです。「行政の手法の変化」を考えさせる、いい教材です。