15日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅教授の「診断なき処方箋の不毛さ」でした。以下、私なりの抜粋・要約です。詳しくは、原文をお読みください。
・・・3月31日に、内閣府が発表した「社会生活に関する世論調査」では、国民生活に密接に関係する分野(教育・医療福祉・地域格差)で、事態が悪くなっていると答えた国民が急増している。同じ日に、東京への転入超過が43年ぶりに9万人に達し、地域間格差がものすごいスピードで進んでいることを報じている。
しかし、こうした調査結果について、政策担当者から、コメントはまったく掲載されていなかった。何も責任を問うというわけではないが、政策担当者が国民のこうした認識に対して、何らかの応答をするのが常識のはずであり、そうしたことがなければ、何のためにこのような調査をするのか分からないではないか・・
日本政府は、大変に「政策好き」「処方箋好き」である・・・しかし、この政府に基本的に欠けているのは、現実を徹底的に認識し、分析する努力とそれへの執念である・・・官僚制は政治的な中立性を標榜し、政策の合理性を担保するために、徹底した現実認識を政治に伝えるのが本来の任務のはずである。ところが、日本の官僚制そのものが、「処方箋好き」の伝統に支配され、政治家と一緒になって処方箋ゲームとに参画してきた・・
十分な診断を伴わない処方箋の連発は、よくて「効果なし」と当事者の自己満足に終わり、悪ければ時間やリソース(資源)の無駄、時には現実を更に悪化させることになる・・