(博物館の予算と機能)
今日は、社会教育学会で、「博物館のアウトプットと予算査定」という討論会に出てきました。博物館予算の現状とあり方についての議論です。1990年代に、ふるさと創生事業もあり、各地で箱ものができました。それが終わるとともに、財政悪化により、運営費の削減、さらには民間委託・指定管理者制度も進んでいます。「これで良いのか」という問題関心からです。私にとっても、改めて官の役割を考える機会になりました。
これまでは、官主導で博物館を作ってきました。しかし、官は箱ものづくりは得意ですが、内容になると不得手です。博物館の予算は、箱もの整備・維持管理・展示・教育研究に分けることができます。前2者は他の施設と同様に、効率化を進めるべきでしょう。ところが、あとの2つはその基準には当てはまらないのです。展示(ものを集める)は、どうあるべきか。その際に、民間立施設との役割分担・官としての関わりをどう整理するか問題になります。
教育研究は、もっと別の観点が必要になります。一つの博物館でフルセットは無理ですから、多くの同業者とネットワークを組む、例えば生物なら生物学会・研究者とのネットワークが課題になるのでしょう。すると、博物館予算という発想では、限界があるように思えます。
さて、私が公立博物館の現場にいたら、県庁に予算要求しつつ、他にいろんなところからの資金を探すことになるのでしょう。昔読んだ、梅棹忠夫先生の「研究経営論」を思い出しました。また、仕事の大半は、県内外の研究者や学校の先生などの情報結節点になるような気がしました。大学の研究室と、同じなんでしょうね。いえ、私たち官僚も、関心ある研究者や記者さんを巻き込み、発信することが重要です。私なりに、それを実践しています。