成長力強化への早期実施策

4月4日に、経済対策閣僚会議が「成長力強化への早期実施策」を決定しました。これは、新年度に実施される、経済対策関係の事業の一覧になっています。おおむね4月から6月に、実行される施策です。予算などで決まっているものからの抜粋ですから、ここで初めて出てくる事業はありません。
しかし、新年度に政府が取り組む政策(経済関係)の一覧って、これまでなかったのですよね。それで言うと、新年度になって政府が取り組む重点事業一覧も、公表されていません。新聞が「4月から暮らしはこう変わる」なんていうのを、一覧にすることはありますが。このような政策一覧を公表することは、意義があると思います。
とりまとめは、経済財政担当大臣(私の属している組織)です。国会議員に説明に行くと、「予算が増えるのはどれか」という質問があります。しかし今回の施策は、総理が「財政出動を伴わないこと」と、指示しておられます。1990年代までのように、公共事業の追加・減税といった、財政出動ではないのです。かつては、「真水がいくらの規模か」というのが、紙面を賑わせました。今は、「お金を追加すればすむ」という経済構造では、なくなったのです。

公務員制度改革

4月1日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、野村修也教授の「能力主義でぬるま湯脱せ。民間の知恵参考に」でした。(4月1日)
4月2日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、田中秀明准教授の「幹部の管理、府省横断的に。割拠主義是正急げ」でした。(4月2日)
4月3日の日経新聞経済教室「公務員制度改革の焦点」は、清家篤教授の「プロ意識高める工夫を。政治が使いこなせ。相応の人材確保、負担必要」でした。(4月3日)

官僚の事務管理責任

記者さんとの会話
記:4月1日諮問会議の「使い勝手の悪いIT」は、おもしろかったですね。IT化は95%も進んでいるのに、使われていないなんて。笑い話ですよ。
全:うーん、耳が痛いね。
記:各省に聞くと、「進んでいます」と答えるのでしょうね。でも、IT化は進んでいても、IT国家にはなっていない。国民からすると、だまされたようなものです。
全:民間議員だから、言えたのだろうね。でも、マスコミも、気づいていなかったんだろう。
記:私たちも、大本営発表にだまされていたのです。しかし、行政評価局や会計検査院は、何をしていたんでしょうか。こんなこと、民間議員に指摘してもらうことですか。さらに言うと、官僚って何をしているのですか。総理や民間有識者が集まって、経済財政の重要事項を審議するのが諮問会議でしょ。旅費の計算事務ぐらい、官僚たちで簡素化してくださいよ。総理を悩まさずに。
全:ご指摘ごもっとも。反省します。
記:さらに言うと、責任の所在はどこにあるのですか。
全:今日は厳しいね。うーん、考えていなかった。政府のITは、IT本部が進めている。本部長は総理だけど。
記:そこですよ。1日の諮問会議でも、岸田IT担当大臣、増田総務大臣、甘利経産大臣、渡辺行革大臣がペーパーを出して、「これからしっかりやります」と言っています。変ですよね、4人も大臣がいるって。結局誰が責任者なんですか。また、みんな「やります」と言っているけど、「これが失敗でした」と責任と原因を認めた大臣がいないこと。
全:確かに。今日は鋭いね。どうも、内閣を挙げての「本部」というのは、テーマによって向き不向きがあるようや。内閣の重点事項に取り上げて、「全省で取り組むぞ」という意思表示には必要な仕組み。でも、実務作業になると、寄せ集めの部隊より、どこか主管省を決めて、そこで責任を持たせるのが良いね。緊急・臨時の場合は、寄せ集め部隊で良いけど、継続事業になると、一つの省にやらせるべきだろう。そうしたら、責任の所在ははっきりする。また、職員も本気になる。

受付でも覚えられた

年度初めで、各職場で人事異動があります。私のところにも、異動の挨拶にたくさんの人が来てくれます。その一人との会話。
職員:審議官に挨拶に来たんですが、場所がわからなくて。ビルの入り口の受付で聞きました。「岡本審議官にご挨拶に来たのですが、場所を教えてください」と言ったら、「全勝さんですね」と、直ちに答えてくれました。
全:このビルには、ほかに岡本さんはいないのかな。
職:いえ、僕が「岡本審議官」と言っただけで、受付の人は「ぜんしょうさんですね」と答えが返ってきました。かなり慣れていましたよ。
全:しかも、受付は民間委託しているから、警備会社の人だよな。
職:これ、HPに載せましょうよ。
これで良いかな、織田君。