行政の役割と手法

7日の日経新聞「経済教室」は、八代尚宏教授の「規制改革研究報告」「利用者に選択肢を、事業者にはインセンティブ」でした。

「新地方自治入門」第9章で、行政の手法を分類するとともに、民間の力を活用する手法も分類しておきました。「官から民へ」「アウトソーシング」「事前調整型から事後チェック型へ」は、はやり言葉を超え「公理」になっています。しかし、民間にゆだねることができる業務の限界と、その場合の行政の責任については、議論を整理する必要があるようです。
医薬品審査は生命にかかわる重要な検査ですが、国ではなく独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行っています。これが非公務員型の行政法人でできるのなら、他の検査行政も、ほとんど民間でできそうに思えます。
一方、検査については、マンションの耐震強度偽装事件、アメリカ産牛肉検査問題、ライブドアの証券取引問題など、世間を揺らす問題が相次いでいます。さかのぼると、金融機関不良債権査定問題もありました。ここには、検査を民間にもできるようにした場合の行政の責任問題と、規制緩和をすると監視が重要になるといった問題などが含まれています。(2月5日)

 

国の信用

6日の日経新聞「経済教室」香西泰さんの「財政再建、自由思想支えに」に、高橋是清蔵相の次のような言葉が載っていました。「国の信用といふものは無形のものである。それだけにこれを失へば重大である」。
また香西さんは、1944年(第2次大戦末期)に国債残高の国民総生産に対する比率が1.4倍に達していたこと、現在の日本が大戦期に迫るほど財政が悪化していることを指摘した後、次のように書いておられます。「これだけ国債があふれてもその価格が下落しないのは、財政再建への信頼が厚いか、超金融緩和で国債バブルが生じているか、そのどちらかだ」

生産者の論理、消費者の利益

6日の日経新聞「教育」に、福井秀夫教授が「学ぶ側本位の改革推進。学校選択や評価制度。教員、幅広い人材を登用」を書いておられました。規制改革・民間開放推進会議の第2次答申(平成17年12月21日)についてです。「第2次答申は、提供する側の論理で構築されがちだった教育の仕組みを、徹頭徹尾、学ぶ側の児童生徒・保護者の視点に立って転換することを目指した」。以下そのポイントです。
1 学校選択制の実質的実現
2 教員免許の弾力化と採用の公正確保
3 教員・校長に対する児童生徒・保護者による評価制度の確立
4 学校情報公開の徹底
5 教育バウチャー(切符)の実現
私も賛成です。特に切符制度が、学ぶ側の満足度を上げるためにもっとも効果的だし、公私立間の公費差別をなくす良い方法だと考えています。

資本と国家の離婚

4日の朝日新聞「きょうの予習・2月9日東京でG7」、水野和夫三菱UFJ証券チーフエコノミストの発言から。
・・グローバリズムとは、資本と国家が「離婚」して国際競争を展開することだが、マネーの力が国家をねじ伏せてしまった事態をどうするかだ。国・地域単位での対応の限界を認識して腰をすえて考えるべきだ。
これまで日本人の国民性や平等意識といった共同体感覚が競争に優位に働いてきたが、報われない人々の出現は、そうした均一国家を解体の方向に導くかもしれない。分断された中産階級が希望を持てるような仕組みが必要だ。

2008.02.03

今日の東京は、1日じゅう雪でした。朝2~3センチ積もっていたので、家の前の道路を雪かき。踏み固められない前に。こんな時しか履かない長靴を出し、道具はないので、ちり取りでです。
静かですねえ。もともとあまり車の通らないところなのですが。ご近所の木々にも積もって、なかなかの風情です。
その後も、降り続きました。夕方に、もう一度、雪かき。明日の朝、道路が凍らないと良いのですが。