21日の産経新聞正論は、加藤秀俊先生の「国民ひとり「一生一番号」に。国の情報管理の稚拙さがはがゆい」でした。
アメリカの社会保険番号が、自動車免許番号や医療保険証番号、銀行口座などの本人確認に利用されていることを紹介した後、次のように書いておられます。
・・だが、こんなふうにひとつの番号で個人を識別するというきわめて明快な制度にたいして、日本の世論はけっして好意的ではない。いや否定的である。これまでなんべんも、政府はこうした方法の導入を提案してきたが、国家が個人に番号をつけるのは「国民総背番号制」だといってみんなが反対する。なによりもマスコミが反対する。「個人情報」や「プライバシー」を国家が管理するのは怪しからぬというわけ。
その結果、われら日本人はそれぞれに年金、健康保険、運転免許証などいくつもの番号をバラバラに持たなければならなくなっている。まことにめんどうである。
さらに数字のケタ数もわけがわからない。アメリカの9ケタは理論上、10億人まで管理することができる。さしあたりアメリカ人や在留者すべてに番号をつけるのには9ケタあればじゅうぶんだ。それなのにわたしの日本の国民年金番号は10ケタである。これは100億人までを想定している。もっと滑稽なのは免許証の12ケタである。これだと1兆人まで管理できるが、どうしてそんなケタ数が必要なのであろうか。こういう珍妙な番号をたくさん持っていてまちがわないほうがオカシイ・・
月別アーカイブ: 2008年1月
ご近所の大ニュース
昨晩、キョーコさんの友人から電話があって、「フジテレビで、近所のケーキ屋さんが出てるわよ」。「メチャメチャいけてる」とかいう番組で、芸人さんがケーキを作って売るというものでした。確かに、ご近所のケーキ屋さんが映っていました。
キョーコさん曰く「暮れに通ったら、『取材のため閉店します』という張り紙があったのは、これだったんだ」とのこと。新作を考案して、商店街から駅前まで売りに行ったら、よく売れたという番組でした
「明日は、開店から人が並ぶだろうなあ」と、家族で話していました。午前中はすっかり忘れていて、午後にお店の前を通ったら、長蛇の列。数軒隣に交番がありますが、お巡りさんも、前をふさがれて苦笑しておられました。
財政投融資改革
19日の朝日新聞変転経済は、財政投融資改革の経緯をたどるものでした。1997年の省庁改革最終報告で、郵政事業改革は当初案から後退し、民営化せず公社になることが決まりました。しかしその際、郵便貯金の政府への預託制度が廃止されました。これが、財政投融資・政策金融改革の第一歩になりました。また、郵政民営化につながりました。
民間企業の官僚制
17日の日経新聞夕刊「サラリーマン生態学」江波戸哲夫さんの「官僚主義」から。
・・名経営者たちの「自著」を集中的に読んでいたが、彼らの大半は社内にはびこる官僚主義にぶち当たっている。リー・アイアコッカは、クライスラーの社長になってすぐ経理部スタッフに訊ねたが、どうしても個々の業務の責任者を知ることができず「誰も責任を取るものがいない」と唖然としたという。
武田薬品の武田国男が課長になったとき、過去の事業の失敗の原因を調べようとしたら、スタッフは皆「当時の担当者は誰もいません」と知らぬ顔を決め込んだ。信越化学工業の社長となった金川千尋は、人事部門の官僚主義を叩き直すため、ルーズな前例に従い600人もの新規採用を提言してきたのを、ほとんどゼロにした・・・。
官僚主義についてユニクロの柳井正が簡潔な分析をしている。「会社組織は、その会社の事業目的を遂行するためにある。一旦、組織ができあがってしまうと、今度はその組織を維持するために仕事をしているようにみえる」・・
秋学期の授業終了
今日で、秋学期の授業は終了。予定した内容を、講義し終えることができました。もちろん、まだまだお話ししたいことはあるのですが。
授業って、難しいですね。本に書いてあることをしゃべるだけなら、「本を読んでください」ですみますし、学生からすれば「それは本で読みました」になります。とはいえ、学部生への講義ですから、一通りの基礎知識も教授しなければなりません。しかし、それだけではつまらないですよね。もう少し掘り下げた難しいことも、話さなければ。大学院なら、問題点についての講義ですむのですが。
基礎知識については、全体像をいかにわかりやすく教えるかがポイントです。時間が限られているので、詳しい内容まで説明できません。重要な事項を、地方自治の全体像の中でどこに位置するかがわかるように、お話ししました。課題については、その背景と現在の動向をお話ししました。その際には、最新の資料を配りました。この資料の準備は、結構大変なのですよ。もっとも、これも実務家教員のセールスポイントです。
「地方行政って、こうなっているんだ」と理解してもらい、「こんな問題があるのだ」と知ってもらえれば、成功です。
基本的知識を習得してもらい、問題点を知ってもらう。そして、興味があれば、自分でさらなる勉強をしてもらう。これが、大学の授業でしょう。そして、ものの見方を身につけてもらえれば、満点ですね。
その点、秋学期の地方自治論は、バランス良く講義できたと、自己評価をしています。もちろん、自己満足でなく、学生たちの意見を聞かなければなりませんが。授業終了後に、拍手をもらいました。儀礼であっても、うれしいですね。
最後まで出席してくれた学生たちに、お礼を言います。特に、少々難しい話の時に目を輝かせて食らいついてきた学生と、笑って欲しい小話の時に笑ってくれた学生に。