採点

79人のレポートを採点しました。学生時代に、教授が「採点は大変です」とおっしゃっていたのが、よくわかります。これまでの大学院では、人数も少なかったです。79人にもなると、結構な労働です。200人とか400人になると、重労働でしょうね。
まず、全員がワープロで書いてくれたので、読みやすいですね。汚い字だと、それだけで元気がなくなります。誤字はなしとは言えませんが、少なかったです。ほとんどの学生は、文章も読みやすく、レポート慣れしていますね。また、「最初に結論を書き、目次を書くと点が高くなる」と予告しておいたので、かなりの学生は守ってくれました。
もっとも、ページが逆に綴じてあったり、書式がページの途中で変わっていたりするものもありました。締め切りに間に合うよう、あわてて出したのでしょうか。
次に、内容についての評価です。良くこれだけ調べて、また分析し考察したと、うならせるレポートが、1割ほどありました。この人たちは、文句なくAとしました。テーマは司法制度改革、民間委託、規制緩和、放送行政など。「具体事例を取り上げて」という、私の意図をしっかりと受け止めています。もちろん私の授業だけでなく、他での勉強の成果も活用しているのでしょうが、立派なものです。
その他の人達は、具体事例をどの程度調べているか、分析や考察、結論を基準に、BとCをつけました。採点基準や守るべきルール、お勧めの書き方を授業で説明し、紙で書いて渡したのですが、守っていない人もいました。そのような人には、DかCをつけたいのですが。あまり厳しいことを言うのもいかがかと思い、少し目をつむることにしました。次回は、きっちり厳しくします(予告)。
それにしても、エッセイの域を出ないものは、残念ですがCにしました。というか、出席日数が十分あれば、Dにはしませんでした。大甘な採点です。ただし、出席日数が少ない人には、レポートが提出されても、Dにしました。「成績評価は出席とレポートによる」と、最初に書いておきましたから。悪しからず。
内容では分析や考察が少なくても、努力の跡が見られるもの、それなりの分量を書いたものは、Bに格上げしました。我ながら、大甘です。すると、最初にBをつけた人とのバランスが悪くなるので、B+の人をAに格上げしました。これまた、大甘。学生にとっては、他の授業と試験も大変でしょうから、あまり多くを期待してはいけないのでしょう。
公務員制度改革、社会保険庁問題などを取り上げた人が多かったですが、部分的な考察であったり、新聞記事を出ないものが多かったです。「岡本の講義に沿って、または岡本の講義を批判して」を評価基準と示してありましたが、自説だけを述べる人も多かったです。
なお、「岡本先生の官僚批判は厳しすぎる。これでは公務員になる人がいなくなる」とか、「官僚を続けながら官僚批判をするのはおかしい」といった、意見もありました。うーん、問題の指摘が多すぎましたかね。私は、日本の官僚が国民の信頼を取り戻すためにはどうすれば良いかを考えて、批判と代案を述べているつもりです。脱線や冗談が、過ぎましたか。反省します。

最低賃金引き上げ3

28日の朝日新聞変転経済は、「日の丸半導体の失速」でした。かつて世界市場を席巻した日本の半導体は、90年代後半に、世界一から滑り落ちました。韓国・台湾に追い抜かれ、アメリカにも再逆転されます。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ浮かれているうちに、転換に遅れたのだそうです。

2007.07.26

霞ヶ関は、国会も終了し、議員先生も選挙中で、しばらくゆっくりとした時間が流れています。多くの省では人事異動があり、また記者さんたちも異動の時期です。親しくなった記者さんたちが異動するのは、さみしいですね。みんな、1年経たないうちに代わっていくのです。仙台、名古屋、兜町・・・。でも、行った先でも、素晴らしい原稿を書いてください。2005年9月20日の記事も、参照してください。ということで、連日、歓送迎会や、かつての職場の同窓会が続いています。
私の部屋は、記者さんや地方団体の方が、入れ替わり訪問してくださるので、また「喫茶岡本」になっています。来られた皆さんは、顔に「冷たい水が欲しい」と書いてあります。秘書の横山さんには、そのたびに苦労をかけています。

2007.07.25

西尾勝先生が、「地方分権改革」(東大出版会)を出版されました。「はじめに-研究と提言」を読むと、先生の行政学研究の集大成の意味を持っているようです。その意味は本をお読みください。もちろん、「行政学」(有斐閣)などの名著もありますが。
第一次分権改革から、現在、さらには今後の方向を、書いておられます。地方分権推進委員会と地方制度調査会の審議に、参画した体験を基に書かれています。部外の研究者の考察でないと、断っておられます。分権改革は、政治改革ですから、この意味は大きいと思います。
拙著「地方財政改革論議」と拙稿「進む三位一体改革ーその評価と課題」を、参考文献に挙げていただきました。拙い論考をお読みいただき、恐縮です。