人事が閉鎖型なので、職員はいろんなポストを経験します。もちろん、分野ごとに人事単位は分かれていますが、その中ではいろんなことを経験します。技官は専門分野がかなり細かく分かれていますが、事務官は幅広く経験を積みます。しかも、1年や2年で異動することが多いです。
それで、専門家になるのでしょうか。官僚の専門技能とは何なのでしょうか。官僚は政治家と違い、専門技術を持っていると期待されています。しかし、この技術とは何なんだろうか、という疑問です。
これまでは、法律を作ることから法学部、外国の文献を理解するために語学が主だったと思います。しかし、欧米に追いついたことから、官僚も「輸入業」では済まなくなりました。今後、国内の課題を拾い上げ解決する際には、課題発見・解決策検討といった政策能力が必要だと思います。そして、政策能力一般だけでなく、それぞれの分野の知識も必要でしょう。教育、福祉などといった分野です。専門知識は何も、道路や河川といった工学だけではないのです。
さて、公務員の評価に話を戻しましょう。公務員は、どれだけその専門技能で評価されているのでしょうか。これも私の疑問です。例えば、公務員の再就職のための「人材バンク」があります。課長以上の職員が登録し、引き合いを待つのです。しかし、これまでに、実績はわずか1名だそうです。これをもって、官僚には技能はないとは言いませんが、私を含め、自分の持つ技能で転職できる官僚は、そんなにいないでしょう(参照2006年12月5日の記述)。部下の管理能力や政治家との交渉能力が優れているといってもねえ。
これも、閉鎖型人事システムと、関連があります。開放型だと、そのポストに必要な技能を示し、その能力があるかどうかを試験して採用するでしょう。しかし、閉鎖型だと、そんな試験をしなくても済むのです。閉鎖組織の中で出世していく、外部との競争はない。すると、職員側にも、甘えが出るのだと思います。出世競争は技術能力でなく、人物競争ですから。自らの技術を磨かなくても、面倒を見てもらえると期待を持つのでしょう。
ここで言いたかったのは、職員に何を期待しているか。職員に期待されていることは何か。どんな能力・技術が期待されているか、という問題です。