地方財政改革論議

           2002年5月、出版社ぎょうせい刊
           2006年1月、第6刷

【有名になった拙著】
月刊「経済セミナー」(日本評論社)7月号が、「夏に読むこの1冊」を特集しています。財政分野の担当は橋本恭之関西大学教授で、拙著「地方財政改革論議」を取り上げてくださいました。
「日本社会の構造を大きく変える三位一体改革。・・・このような国と地方の財政関係を、なぜいま変えなければならないか、その改革がわれわれの生活にどのような影響をもたらすかについては、以下の3冊を読めば理解できるはずです」
「まずは、岡本全勝著「地方財政改革論議」をご一読ください。・・・この本では、地方交付税の基本的な仕組みを丁寧に解説したうえで、地方交付税に関する改革論議を紹介しています.・・・」
橋本先生、ありがとうございます。(2005年7月10日)
【第5刷】
拙著「地方財政改革論議」の5刷が出ました。このような専門書が売れるのは、地方財政、特に地方交付税の行方に、関心が集まっている証左だと思います。地方分権・地方財政の問題が、政府の重大課題に取り上げられるのは、ありがたいことです。一般の方が地方財政を理解して下さるのに、少しでもお役に立てれば幸いです。(9月30日)
1 最近の地方財政改革論議
最近地方財政、特に地方交付税の改革論議が高まっています。私は、次のような2つの要因によると考えています。
(財政的要因)
この時期に改革議論が高まった主な原因は、財政赤字の増大です。国家財政の急速な悪化から、経済財政諮問会議の主要課題の一つとして地方財政が取り上げられました(後の課題は、公共事業と社会福祉)。また、地方自治体にとっても、このような借入でによる財政運営は、持続可能か疑問がでてきたのです。
(社会的要因)
もう一つは、第1次分権改革が成就し、次なる分権は地方財政の分権だと認識されたからです。また、地方財政が「ナショナル・スタンダード」を達成したことも、もう一つの要因であると、私は考えています。
2 現在の地方財政の課題は、大きく言って二つ有ります。
 一つは、財政赤字の解消です。もう一つは、地方財政の自立です。
3 本書では、最近の地方財政改革論議を検証し、現在取り組んでいる交付税の見直しを解説するとともに、これからの地方交付税像を検討しています。
追補
その後の動きは、次をご覧ください。
「進む三位一体改革-評価と課題月刊『地方財務』2004年8月号、9月号
「続・進む三位一体改革」同2005年6月号
また、次も参考になります。
「近年の地方交付税の変化」月刊『地方財政』2004年1月号

「地方財政改革論議」

 「地方財政改革論議ー地方交付税の将来像」
目 次
第一章 財政再建
一 借入金の増大
二 借入金の縮小へ
第二章 地方交付税の課題
一 交付税批判の整理
二 総額論
三 算定の簡素化
四 行革努力と財源確保努力
第三章 地方税財源の充実強化
一 分権改革の次の課題
二 選択肢(税源移譲)
三 今後の方向
第四章 将来に向けて
一 「交付税問題」の原因
二 地方財政の課題
 1 地方財政改革の目標  2 団体自治の観点から  3 住民自治の観点から
三 地方交付税の将来
 1 改革のシナリオ  2 生じる問題と対策  3 これからの地方行政論

気になったこと

朝日新聞28日夕刊「新日本百名山」から。
「ちょっとしたトラブルがあると、携帯電話でヘリを要請してくる登山者が増えたと聞くのは残念なことである。長野県警の人の話では、こんな会話があったという。
『はい救助隊です』
『すみません、歩けないのでヘリをお願いします』
『了解しました。警察のヘリは点検中ですので、民間のヘリを要請しましょう』
『それじゃ結構です。歩いて下ります』」

法律ができるまで10

衆議院本会議で、会期の55日間延長が決まりました。8月13日、すなわち、お盆前までです。(6月17日)
22日に、参議院本会議で、行政手続法と公職選挙法が可決されました。これで、総務省提出法案はあと4本です。(6月23日)
今日、衆議院本会議で、郵政民営化法案が5票差で可決されました。議論は参議院に移ります。総務委員会の審議は、めどが立ちません。(7月5日)
参議院郵政特別委員会で、審議が続いています。26日から29日に、参考人質疑などの予定が決まりました。大臣の身体が空くので、26日に衆議院総務委員会の開催が決まりました。電波法改正のお経が、読まれる予定です。(7月23日)
今日、衆議院総務委員会の開催が決まりました。電波法改正のお経が、読まれました。質疑は28日の予定です。(7月26日)
28日に、衆議院総務委員会で、電波法改正が審議可決されました。29日に本会議で可決されました。(7月28日、30日)
3日に、参議院本会議で、電波法の趣旨説明と質疑がありました。衆議院本会議ではなかったのですが、参議院では与野党の合意により、行われました。(8月3日)
5日に参議院郵政特別委員会で、郵政民営化法案が可決されました。8日の本会議で採決されます。これを巡る政治状況については、マスコミが伝えているとおりです。霞ヶ関も、固唾をのんでみています。
総務省提出法案は、現時点では、参議院で審議中が1件、衆議院で審議に入っていないのが3件です。与党は、後者の3件については、継続審議とすることを決めました。(8月7日)
8日の参議院本会議で、郵政民営化法案が否決されました。総理は衆議院を解散し、この時点で「国会」はなくなりました。すなわち、審議中の法案は、継続手続きにはいることができず、廃案になりました。当省関係では、4本が廃案になりました。これらは、次期国会に改めて提出し、審議していただくことになると思います。
解散、選挙期日設定(総選挙は総務省選挙部の所管)閣議と、総務課長としては、緊張する一日でした。(8月8日)
(課長はつらいよ)
選挙が終わり、特別国会が近づいてきました。召集は21日とのことです。議員会館では、落選した議員の部屋が片付けられ、新しい議員を受け入れるための準備が進んでいます。関係者にとっては、大変なことです。民主主義や選挙とはこういうものかと、実感できます。
また、院の構成や法案審議の準備も、始まっています。閣僚や与党幹部の人事は、従前のままと報道されています。しかし、私がお世話になる衆議院総務委員会は、与野党とも理事や委員のかなりの方が落選され、新メンバーがどうなるか気になるところです。
特別国会は首相を指名するためのもので、通常だと1週間ぐらいとのことですが、今回は法案も審議するとのことです。そのかわり、臨時国会は開かれないとの予想があります。今国会は、40日程度と会期が短く、郵政民営化法案が優先されるので、私どもが準備している法案のうちどれが提案され、審議されるかも気になります。これらは、内閣と与党がお決めになることです。もっとも、今回は大臣らが留任との報道があるので、それならば大臣交代に関しては、私の出番は少なくなります。
うーん、先日まで通常国会が開かれていたと思ったら、もう次の国会ですね。そして暮れの予算編成があって、1月からは通常国会が始まり・・・。がんばろう、総務課職員のみんな(久しぶりの、HPを使っての職員向けよいしょです)。(9月14日)
第163回特別国会(2005年9月21日~)
21日に、第163回特別国会が召集されました。特別国会は、衆議院選挙後、総理を指名するために開かれるもので、通常は1週間程度です。今回は、郵政民営化法案などを審議するために42日間とされました。会期は本会議で決定されます。今回は、野党が反対したため、議院運営委員会で採決し、本会議でも採決されました。衆参両院でそれぞれです。例年だと秋には臨時国会が開かれるので、今回の国会は臨時会的特別会といえるでしょう。
21日には、常時閉じている本館の正面玄関が開けられ、議員が登院し、当選証書を確認の上、議員バッジを付けてもらっておられました。ニュースでご覧になったと思います。その後、議長と副議長の選出、総理の指名が行われました。総理は、官邸で直ちに組閣、といっても今回は全閣僚留任です。官邸での新閣僚会見も省略されました。宮中での親任式があり、初閣議、そこで新副大臣・大臣政務官が決まりました。これも欠員の補充でした。
22日には、各常任委員長が決まり、理事候補(理事は委員会で決めるので)も出ました。委員長や理事、委員の数は、基本的にはドント方式で各党に割り振られるとのことです。各会派代表者会議(議院運営委員会ができるまでそれに変わるもの)で決められているようです。与党の役員も欠員補充ですので、大きな異動はありませんでした。総務課長の仕事は、官房長と一緒に、新しい役職の方にご挨拶です。また、与党とは提出予定法案の説明が始まっています。(9月23日)
今日は、天皇陛下をお迎えして開会式が行われました。また、衆議院本会議・参議院本会議で、総理が所信表明演説をされました。(9月26日)
今日は衆議院本会議で、総理の所信に対する質疑がありました。明日は、参議院です。(9月28日)

日々の暮らし

「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものです。先日まであれほど暑かったのに、台風が去って、東京は急に涼しくなりました。今朝は半袖では寒くなったので、長袖にしました。すると、ネクタイがないと様にならず、上着も必要となります。クールビズは自然と終了ですね。ただし私はスーツには戻らず、ズボンとそろいでないジャケットにしていますが。今年の霞ヶ関は、クールビズがすっかり定着しました。もっとも、定着したと言うためには、2~3年は必要でしょう。次は、秋から春までの間に、全員が紺のスーツを着るという「制服」でなく、もうちょっとおしゃれな服装がはやることですね。しかし、これは少々お金がかかるので、時間もかかるでしょう。
夏に、クールビズ商品が売れているというニュースで、店員さんが言ってました。「まずはお子さんの商品が売れます。次が奥様の商品、その次がペットの商品の順です。ご主人のものまで売れるのは、景気が上向いたからでしょうか」と。私は、これを聞いた瞬間に笑ってしまいましたが、その次には落ち込んでしまいました。「僕らはペットの次か」

政と官

大臣や副大臣・大臣政務官が任命されると、官房長官から「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(平成13年1月6日、閣議決定)「政・官の在り方」(平成14年7月16日、閣僚懇談会申合せ)などが渡されます。もっとも、「政・官の在り方」の方は、次のようなことが書かれていて、公務員の規範でもあります。
「「政」は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たし、また、国務大臣、副大臣、大臣政務官として行政を担う。「官」は、国民全体の奉仕者として中立性、専門性を踏まえて法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行にあたる。
政策の決定は、「政」が責任をもって行い、「官」は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、「政」に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案・決定を補佐する。」
政と官のあり方を定めた法令はないと思いますし、教科書にも載っていないので、たぶんこれが唯一の指針なのでしょう。その割には、存在自体があまり知られていません。ほとんどの公務員や新聞記者も、知らないのではないでしょうか。「大臣等規範」については、「省庁改革の現場から」に書いておきました。「政・官の在り方」は、その執筆後に出たものなので書いてません。