関西大学林宏昭教授の授業への出講

今日は、関西大学林宏昭教授の授業へ行ってきました。毎年呼んでもらっているのですが、今年は国会のないこの時期にしてもらいました。学生さんに、三位一体改革を説明するのは難しいですね。

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国庫補助金を地方税に変えると、どんな利点があるのか、その代わり市町村はどんな責任が生じるのか。これについては、「給食とレストランの違い」「制服と自分で服を選ぶことの違い」の例でお話ししました。
国庫補助金廃止に、なぜ各省が反対するかについては、「レタスをいったん築地市場に運ぶのと、地産地消の違い」で説明しました。わかっていただけたでしょうか。
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なんと、玉岡雅之神戸大学助教授が学生さんを連れて、また田中宏樹同志社大学助教授も聞きに来てくださいました。本業にさえ差し支えなければ、もっと出かけるのですが・・。

三位一体改革その5

将来予測
2004年度の地方財政計画・地方交付税は抑制型でした。しかし、まだまだ日本の国家財政と地方財政は、大幅な赤字です。増税をしない限り、歳出削減は続きます。
関係者の心配は、「今年は、基金を取り崩したりして予算が組めたが、これから先どうなるのだろう」「三位一体はまだ2年間続くが、来年・再来年はどうなるのか」ということだろうと思います。
量的削減
「交付税は、この先いくら減るか?」という質問をよく受けます。それを決めるのは、内閣であり国会です。しかし、借金をしないようにするならば、交付税と臨財債は半分にまで減らす必要があります。
16年度は、交付税の実力(法定5税分)は11兆円です。一方、交付税総額は17兆円、これに地方特例交付金1兆円、臨時財政対策債4兆円を足すと、22兆円を配っています。差額は、国と地方の借金です。借金をしないとするなら、交付税などの配分額を半分にするか、増税するかしかないのです。
この点については、拙著「新地方自治入門」第5章をご覧ください。
質的削減
では、何でもかんでも削減するか、というと、そうではないでしょう。私は、次のように考えます。
①国家が守るもの
赤字国債を出してでも、国家が地方交付税や国庫負担金で財源保障するもの、しなければならないものがあります。それは、基礎的教育・保育・生活保護・介護・医療などの福祉・衛生・消防・警察です。
これらの「基本的部分」は、最後まで国家が責任を持つでしょう。もっとも、自治体が自らの負担でサービスの上乗せをすることは自由です。
②地方団体が「自由に」
逆に、国家が責任を持たない可能性のあるものは、次のようなものでしょう。公共事業・地域振興・産業振興・総務管理費・議会費などです。これらは、一定部分は国が財源保障をするとしても、多くは「各自治体が自らの財源でやって下さい」ということになるでしょう。
負担と選択
地方自治・分権とは、地域が自らの負担で自らのサービスを考えることです。「お金が足らないのは国のせいだ」と言っている限りは、自治とは言わないのでしょう。
私の説について、「冷たい」という意見が寄せられています。そうでしょうか?これまで通りに交付税を配分しようとするなら、増税か借金しかありません。「歳出カットはいや」、「交付税を減らすな」「臨財債をこれまで通りに」とおっしゃるなら、あわせて、
①増税しよう、か
②子や孫に大きな借金を残そう
のいずれかも合わせて主張して下さい。
景気回復では、この収支不足を埋められないことは、拙著に書いてあります。(2月12日)

間隔と感覚

先日書いた「150年は50年の3倍」という記述に対して、意見がありました。「それは事実としても、私たちの感覚とは違いますよね」と。そうですね。一世代を30年と考えると、次のようにも、さかのぼることができます。起点は2005年としましょう。
1975年(昭和50年):第1次石油危機の2年後(大阪万博は1970)、私は大学3年生。ベトナム戦争終結。
1945年(昭和20年):第2次世界大戦終結、日本は焼け野が原に。私の父は、兵隊で南方に。
1915年(大正4年):第1次世界大戦中。私の父は、まだ生まれていない。
1885年(明治18年):日本では西南の役から8年後、内閣制度ができた。憲法はまだ。ヨーロッパは、ビスマルクの頃、各国が植民地支配を競っていた時代。私のお祖父ちゃんが生まれた(1889年)頃。そうすると、そんなに昔ではないな。
1855年(安政2年):ペリー来航が53年、明治維新まであと12年。中国はアヘン戦争が40年で、この頃は太平天国の頃。フランスはナポレオン3世、イタリアとドイツはまだ統一されず。ひいおじいさんが生まれた頃。ふーん。

うれしいこと

これまで、「岡本全勝」をヤフーで検索しても、拙著と他の人のHPに引用されている「岡本全勝」ばかりが出てきて、肝心のこのHPが出てきませんでした。いろんな人から「検索しても出てこない」と、苦情を言われていました。グーグル検索したら、一番に出てくるのに。「ヤフーは出来の悪い検索エンジンだ」と不満を持っていました。
今日試しにやってみたら、ヤフーでも、一番最初にこのページが出てきました。さらに「ヤフーニュース三位一体改革」にも、関連ページとしてこのページが載っていました。

150年は大昔?

国が地方に意見を聞くのは「150年ぶりだ」に関して、記者さんとの会話です。
全:150年って、すごい昔だよね。
記:そうですね。
全:僕は、来月で50歳になるのよ。
記:じゃあ、その3倍ですか。それだと、そんな昔じゃないような気がしますけど。
全:そうやね。僕が、そんなに長く生きたということか。
記:課長が生まれたときを起点にして、50年前は・・。
全:1955年の50年前は1905年。日露戦争だ。へー。その52年前が、1853年のペリー来航。50年って、そんな間隔なんだね。