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行政-官僚論

官僚意識調査(参加のお願い)

このホームページでも紹介している「官僚意識調査」。既に多くの方に、事前登録をしてもらっています。ありがとうございます。
さらに参加者を増やすために、事前登録期間を延長することにしたそうです。
9月21日土曜日までです。対象となる6省の課長補佐以上の方は、参加をお願いします。既に登録された方は、同僚を誘ってください。
そんなに手間は取らせません。守秘義務にひっかかるような問もありません。

意義について過去の実績について

千に三つ、役所と企業の思考の違い

「企業と役所とで、考え方が違う」と、しばしば指摘されます。「お役所仕事」として、批判されることもあります。しかし、それぞれにそのようになる、理由や背景があります。
それを考えていて、代表的な違いに、思い当たりました。同じ表現が、企業と役所では違った意味に使われ、そして社員と職員の意識を違ったように育てるのです。

「千三つ」「千に三つ」という表現があります。
企業の場合は、千に三つでも当たる商品があればよい、という意味です。
ところが、役所の場合は、千に三つも間違いがあってはいけない、と言われます。
すると、新しいことに取り組む際の意識の差が出ます。会社は、失敗しても新しいことに挑戦するのが良いことなので、挑戦の意識が育ちます。しかし、役所は、失敗したら大変だという意識が覆います。で、新しいことへ取り組む意識は育ちにくくなります。
「リスク」についての認識の違い、と言ってもよいでしょう。企業は、リスクを取ります。取ってでも、利益が出れば良い。いえ、利益のためには、リスクを取ります。役所の場合は、リスクは極力避けるものです。

できあがったものか、つくるものか」(2月16日。古くなりました)の続きにもなります。厳密な話ではないので、その点はご了解ください。いつものことです。

官僚意識調査その3

官僚意識調査」の続きです。
かつての村松岐夫先生の調査について、紹介します。若い人はご存じないでしょうから(以下の文章は、北村亘先生の協力を頂きました)。

調査に基づく成果物を挙げましょう。
1 村松岐夫『戦後日本の官僚制』(1981年、東洋経済新報社) サントリー学芸賞受賞(京極純一先生の選評)
2 同『日本の行政(中公新書)』(1994年、中央公論新社)
3 同『政官スクラム型リーダーシップの崩壊』(2010年、東洋経済新報社)
4 村松岐夫・久米郁男(編)『日本政治 変動の30年』(2006年、東洋経済新報社)

1は、学界でもマスメディアでも「官僚優位論」が自明とされた時代に、旧8省庁の課長以上の官僚アンケート調査で与党の影響力の強さを指摘しました。さらに、官僚の役割が、理想主義的に自らが国益を追求する国士型(古典的官僚像)から、与党の意向を受け入れる調整型(政治的官僚像)に変化していることを計量的に示しました。
この主張は、1970年代後半から1980年代の学界では大論争になり、当初は異端扱いされたそうです。しかし、2が出たときにはもはや政治学や行政学の教科書でも定着した考えとなり、さらにどのような場合に官僚はどのような行動を採るのかという段階の研究に進んでいきました。

この調査を再開する意義を、理解してもらえたと思います。
政治家も官僚もそしてマスコミも、「過去の通説」に縛られます。しかし現実の世界では、新しい状況が生まれています。村松先生の調査は、大きな意義があったのですが、現在となっては古くなりました。
そして、日本の政官関係が、政治主導の時代に変化しています。その際に、官僚たちはどのように考え行動しているか。それを明らかにすることは、重要なのです。続く

官僚意識調査その2

官僚意識調査」の続きです。この調査の意義を、2回に分けて、簡単に説明します。

内閣人事局ができて、国家公務員行政が大きく前進しました。業務に必要な組織を作り、それを担う職員を管理することは、どの組織にとっても不可欠なことです。そしてその際に、職員の状況を把握し、人事制度や運用をすることは、当然のことです。
(官民を問わず、組織運営に必要な要素は、「企画」「組織・人事」「予算」です。これまでは国家公務員の人事制度を、主に人事院が担っていました。しかし、人事院は「第三者機関」です。職員管理は、組織の管理者か行う必要があります。)

米国や英国では、政府自らが全職員に対して調査を行ってます。
いずれも、数十万単位のサンプルです。行政官僚制を機能させるためには、どのような職場環境やインセンティヴを用意すべきかを定期的に調査しています。質問文および省庁間比較、世代間比較などの分析結果は、ネット上で公開されています。
私は、日本でも将来は、政府(内閣人事局)がこうした調査を行うべきだと考えています。

アメリカ連邦政府:連邦職員調査(Federal Employee Viewpoint Survey、毎年)
https://www.opm.gov/fevs/
英国政府:公務員調査(Civil Service People Survey、毎年)
https://www.gov.uk/government/publications/civil-service-people-survey-2018-results

続く

官僚意識調査

大阪大学の北村亘先生たちが、かつて村松岐夫・京都大学教授がやっておられた「官僚意識調査」を久しぶりに復活させます。2001年を最後に行われていなかったのですが、今回、実施することになりました。概要は、中央調査社のホームページご覧ください。(https://www.crs.or.jp/oshirase/about_1080.htm)
対象は、次の6省の本省在職者(課長補佐以上)です。
総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省

(調査対象となる方へのお願い)
かつては、調査員が対象者に面談していたのですが、インターネットでできるようになりました。オンラインで回答します。
質問は合計23問、4つの選択肢から選ぶ方法で、所要時間は30分程度です。もちろん、回答者を特定することができない措置も講じられています。守秘義務に係るような問はありません。安心して参加してください。

事前登録期間を9月21日までに、回答期間を9月20日から10月19日に設定してあります。
・課長級以上には、郵送で連絡が行きます。
・課長補佐級には、SNSやメールで案内が回ります。
事前登録が必要です。事前登録のウェブサイト(https://r10.to/survey2
その他問い合わせ先 info_crs@crs.or.jp

昔と今の公務員像の違いや、世代間の認識の差など、皆さんが普段感じているであろう様々な変化を、こうした調査が可視化してくれるでしょう。そして、問題の分析や課題解決に向けた一助になるものと期待しています。この調査の意義などは、次回書きます