カテゴリー別アーカイブ: 社会と政治

行政-社会と政治

特許制度、脱「途上国モデル」

5月14日の朝日新聞オピニオン欄「知財立国の足元」荒井寿光・元特許庁長官の「脱「途上国モデル」へ一歩」から。

・・・日本の特許裁判の賠償額は、全体的に低すぎます。2007年から17年の間で、最も高くて17億円です。一方、米国は2844億円です。中国は56億円ですが、政府は引き上げる方針です。賠償額は裁判所で決まる特許の価値ですから、高いほど勝手に使うことを抑える力になります。

日本の現状は「侵害し得、侵害され損」です。欧米に追いつき追い越せの時代には、この方がよかったからです。日本は欧米から基本的な技術を導入し、改良して安くて良い製品の輸出を伸ばして経済成長しましたが、米国から何度も特許侵害で裁判を起こされました。「侵害者」の日本としては米国の主張が認められにくい方がよく、負けても少ない賠償額で済ませたい。いわば「発展途上国モデル」を続けてきたのです。

歴史的にみれば、19世紀には新興国だった米国が欧州に対して特許を侵害する立場でした。米国は20世紀に知財大国になり、今度は中国が侵害する側になりました。その中国はいま、研究開発に力を入れ、特許の裁判や賠償制度を強化し、米国を追い越そうとしています・・・

意見の違い、対話が成り立たない

5月3日の東京新聞、地域活動家の小松理虔さんの発言「福島を高福祉地域に」から。

・・・事故後、福島の人のほとんどは脱原発すべきだと思っていたはずです。でも「福島には人が住めない」などと言う極端な脱原発運動家とは一緒になれない。東日本大震災で、お互いさまということを学んだはずなのに、放射能と賠償金で社会が引き裂かれてしまった。
常磐沖で魚を釣って放射性物質を測り、食べる活動をしているだけで、「御用団体」と呼ばれた。一方、放射能が不安な人に寄り添うべきだと話せば、「デマを容認するのか」と非難されたこともある。「賠償金をもらっている人まで支援する余裕はない」との声も聞きました。
対話にならず、極端な意見の応酬が続いた。福島の人は語らなくなり、県外の人は福島に関わりにくくなってしまった。

僕も最初は、科学的なデータを示せば、理解してもらえると思っていました。ところが、不安な人を説き伏せようとしても、拒絶される。自分も疲れてしまう。
かまぼこメーカーに勤めていたとき、会員制交流サイト(SNS)に「福島のかまぼこは放射性廃棄物と一緒」という書き込みがあった。「不安は分かります。他県産のかまぼこを買ってください。いつか福島のものも安全だと思われたら、お買い上げください」と返事をしました。
すると、やりとりを見ていた人が「悔しいだろうに、真摯に対応した。応援する」と、うちのかまぼこを買ってくれたんです。目の前の人の向こうに、膨大なお客さんがいることに気付いた・・・

10連休対策

今年は4月27日から5月6日まで、10連休です。
多くの勤め人にとっては、朗報なのでしょうが。連休の際にいつも書きますが、暦通りに休める人って、意外と少ないのです。病院、警察、消防を始め、商店や交通関係も。サービス業は、かき入れ時のところもあります。行楽地は、特にそうでしょう。NHKのニュースを見ていたら、暦通りに休める人は、約半分だそうです。

すると、休みを楽しむ人たちの影に、そこで働いている人、そしてお父さんお母さんもたくさんいます。テレビニュースが「行楽地では連休を楽しむ家族連れが・・・」と報道する度に、「僕んちは、旅行に行かないの」と子供に詰め寄られている、お父さんもいるのでしょうね。このようなニュースも、意外と罪作りです。

休みが続くと、困ることもあるようです。保育園やゴミ集めなどは、特別な対応を取るところも多いようです。日給制の人からは、ぼやきも聞かれます。
私は、10連休です。仕事をしてくださる人たちに感謝します。
皆さんも、春の休日をお楽しみください。

外国人を社会に受け入れる

3月14日の日経新聞経済教室、山脇啓造・明治大学教授の「外国人材活用の条件 多文化共生政策の推進を」から。

・・・外国人受け入れに関する政策は、どのような外国人の入国をどの程度の規模で認めるかに関わる「出入国管理政策」と、入国した外国人を支援し社会の構成員として受け入れる「多文化共生政策」に分かれる。後者は海外では「統合政策」とも呼ばれる。出入国管理政策と多文化共生政策は外国人受け入れの両輪だ。
18年の国会審議では、新たに受け入れる外国人労働者を「移民」と呼ぶかどうかが論争となった。その呼び方にかかわらず、新たな外国人労働者受け入れが成功する鍵は多文化共生政策にある。滞在が長期化するほど多文化共生政策のニーズは増し、短期の滞在だとしても就労・生活環境が良ければ外国人の満足度が上がり、社会との摩擦やあつれきが起きにくいからだ・・・

・・・出入国管理政策は国(日本では法務省)の所管だが、多文化共生政策は国と地方自治体が連携して取り組むべき分野だ。しかし日本では長く自治体の取り組みが先行し、国の取り組みは遅れてきた。
自治体の外国人住民施策が進んだのは70年代以降だ。当時、在日コリアンが多く居住する自治体で外国人を住民として受け入れる施策が進んだ。一方、80年代に外国人労働者が増え、90年代に東海地方などで南米系日系人の定住化が進んだ。外国語での情報提供や相談を受け付ける自治体が増えたが、外国人が急増した公営住宅ではゴミ出し、騒音、路上駐車などに関わる住民間のトラブルが起きた・・・

外国人の受け入れは、これからの自治体にとって、大きな仕事になります。既になっているところも多いです。原文をお読みください。

人口減少への対応

2月25日の日経新聞経済教室は、浦上拓也・近畿大学教授の「老朽化するインフラ 水道、広域・官民連携に活路」でした。

・・・厚生労働省は経営基盤強化を目的に水道法を改正した。主なポイントは、(1)法律の目的を水道の計画的な整備から水道の基盤強化に変更(2)国・都道府県・事業者の責務の明確化(3)広域連携・官民連携の推進の明示――の3つだ。
(1)については、水道が普及・拡大の時代から維持・管理の時代に移行したと宣言したといえる。20世紀は水道をつくるための技術が問われた時代だった。21世紀は水道を維持するためのマネジメント力がより一層重要となる・・・

日本の行政が、明治以来歩んできた「普及・発展」から、「維持・管理」の時代に変わったことが、よくわかります。人口は、2010年から減少し始めました。
さらに、「縮小・撤退」の分野も出てきます。これは、あまり楽しい話ではありませんが、避けて通ることはできません。
普及・発展は、研究者や企業が参入します。しかし、縮小・撤退は企業は「参入しない」ので、行政が責任を持って行わなければなりません。