カテゴリー別アーカイブ: 私の読んだ本

「私の読んだ本」という表題ですが、いま書いているのは蔵書の整理です。本の内容については、手が及んでいません。

(蔵書の引っ越し)
2006年春に、実家から蔵書を引き取りました。その顛末記です。なお、進行中。

懐かしい本

社会の意図した変化と意図しない変化」の続きにもなります。

3か月ほど前に、あることから、丸山真男先生が「自然と作為」を論じておられたことを思い出しました。まず、本棚から『日本政治思想史研究』(1952年、東京大学出版会)を引っ張り出しました。私の持っているのは、1973年発行の第19刷りです。活字も古い書体です。パラフィン紙がかかっていて、箱に入っています。当時の専門書は、そうだったですよね。
箱に、1200円と書かれています。現在は、3960円だそうです。1973年の大卒初任給は6万円余り。現在は20万円ですから、ほぼ同じように3倍以上になっています。

本棚からすぐに出てきたことを、褒めてやりたいです。
当時は、東大法学部生が読まなければならない本の一つでした。黄色い傍線が引かれています。ところどころにメモ用紙が挟まっていて、私の字で難しいラテン語などの意味が書いてありました。江戸時代の思想が対象で、知識のない当時は、悪戦苦闘した記憶があります。
今回読むと、内容はほとんど覚えていませんでしたが、比較的容易に読めました。

山口晃著「へんな日本美術史」

山口晃著「へんな日本美術史」(2012年、祥伝社)を読みました。積ん読の山で化石になりつつあったのですが、キョーコさんが崩してくれて、発掘されました。
寝る前に読む本にはちょうどよいと思い、読み始めました。でも、内容はなかなか重く、勉強になるものでした。

「なるほど、この日本画はこのように見るのか、読み解くのか」とよくわかりました。
日本画は好きで、美術館にもよく行くのですが。このような解説があるのとないのとでは、見方が変わりますね。
まあ、「見てきれいと思えばよい」というのも真実ですが。
お勧めです。

吉川一義著「『失われた時を求めて』への招待」

吉川一義著「『失われた時を求めて』への招待」(2021年、岩波新書)を読みました。
20世紀最大の小説とも言われるプルーストの「失われた時を求めて」。挑戦された方も多いでしょう。
かくいう私も、若い時に分厚い翻訳を買って、早々と挫折しました。冒頭の主人公がベッドの中で長々と思い出にふけるように、そこから前になかなか進めませんでした。
で、吉川先生の本を読んで、まずは概要をつかむことにしました。なるほど、そのようなことが書いてあって、このように読むのだということがわかりました。

案内書は重要ですね。この本を読まずに小説に取り組んでも、あらすじを追うのに精一杯だったでしょう。
さて、小説本体には、いつ取り組むでしょうか。なにせ長編ですからねえ。

本を増やさない2

本を増やさない」の続き、その後の経過報告です。
キョーコさんが崩してくれた本の山から発掘された本の中に、読みたい本がたくさん出てきます。それを、順次読んでいます。これで満足しておれば、新しい本を買わずにすむのですが(前もって笑い)。

1 本屋に行かない決心は、守れません。書評欄や広告で、面白そうな本が載っていると、見たくなります。
2 ある本を読んでいて、関係する本が紹介されていると、読みたくなります。アマゾンで、簡単に取り寄せられます。これも、くせ者です。かつてなら、古本屋をはしごして探す必要があったのに、すぐに手に入ります。
3 いただき物の本が届きます。交遊が広がり、いろんな方から送ってもらいます。ありがたいことです。すぐに読んで、感想を送らなければならないのですが、全部に目を通すことはできません。いただいたお礼を述べたあと、積ん読になるのもあります。すんまへん。

「本を増やさない」を読んだ肝冷斎から、次のような趣旨のぼやきがありました。
・・・中国古典の続きを探そうと本の山を崩してしまい、大混乱になっています。そのおかげで、同じ本がいくつか見つかりました。しかも先に古本屋で安く買ったのを、新刊を定価通り買ったのがあるのです。ほんとうに情けなくなりますよね・・・

でも、まったく同情せず。
写真も送ってもらったのですが、彼の名誉のために転載しません。もっとも、以前に載せました。この状態よりさらにひどくなっています。

本を増やさない

「本が増えて困っています」と、何度かこのホームページに書きました。これも、このホームページ定番のぼやきです。進歩がないですね。というか、本を貯める人の多くは、それを楽しんでいます。

現役時代は、「公務員を退職したら、読まないであろう本を整理しよう」と思っていたのですが。なかなかその気になりません。
最近は、読んだ本で二度と読まないであろう本、本棚を見てもう読まないであろう本を、知人に持って行って処分してもらっています。持ち込まれた方は、迷惑でしょうが。自分では捨てられないので、その人に処分を委託しているようなものです。古本屋に持って行けばよいと思うのですが。

最近、心を入れ替えました。このままでは、状況は改善しません。
まずは、新しく増やさないことです。ということで、本屋に行く回数を減らしました。次に、本屋に行っても、ほしいと思った本を買わない。これはつらいことです。本に手を出した岡本全勝Aの後ろから、岡本全勝Bが「これを買って、すぐに読むか?」と質問するのです。

新しく買わない代わりに、積んである本の山から、読む本を発掘しています。それぞれに興味を持ったから買ったので、思い入れはあります。もっとも、「こんな本も買ったんだ」と疑問に思う本もあります。同じ本が2冊出てきたり、同じような本が出てくると、落ち込みます。

キョーコさんが、しょっちゅう部屋の中を掃除してくれます。本の山の間にほこりが溜まっているとのことで、山を動かして掃除してくれます。その際に、山が崩れたりして、背表紙が見えなかった本が発見されるのです。布団に入る前に、それらの中から気分に合った本を選んで読んでいます。
残念ながら、この程度の努力では、本の山は減りません。