藤垣 裕子 著『科学者の社会的責任 』(2018年、岩波科学ライブラリー)が、勉強になりました。科学技術と社会との関係について、第一原発事故以来、関心を持っているので。読みました。
リンゴを見て引力を見つけた(?)ニュートンや、顕微鏡で細胞を見つけたロバート・フックの時代は、発見や発明は人類の進歩につながりました。しかし、科学技術の発展とともに、科学者の研究には、社会的責任が伴うようになりました。「どのような研究をしようが、研究者の勝手だ」と言われても、危険な物質や機械を作られては困ります。
では、現代において、科学者にはどのような社会的責任があるか。詳しくは本を読んでいただくとして。参考になった点を、備忘録として載せておきます。
科学者の社会的責任論は、次の3つに分類される。
1 責任ある研究の実施。科学者共同体内部を律する責任であり、不正な研究をしないこと。
2 責任ある生産物。製造物責任です。危険な兵器、生態系を乱す遺伝子組み換え作物などを作らないこと。
3 応答責任。公共からの問に答える応答責任。「牛肉の輸入を再開するに当たってBSEの危険を抑えるにはどのような判断基準が適正ですか」との問に答える責任です。
1に関して、全米科学アカデミーが『科学者を目指す君たちへー科学者の責任ある行動とは』(1988年)が紹介されています。大学院や学部学生に、配布されているとのことです。取り寄せてみましたが、なかなか良くできています。様々な職業でも、同様の冊子を作ると、有用でしょう。
この項続く。