心や考え方を侵略する戦争

月刊『中央公論』5月号、会田弘継・青山学院大学教授の「サイバー戦争の脅威に無頓着な日本 ピント外れの「国民投票法」改正議論」から。詳しくは原文を読んでいただくとして、2016年から世界の民主主義が変貌しつつあることを論じて。

・・・「ポスト2016」の議論には、さらに大きな意味も含まれている。新しい戦争、「サイバー戦争」がより高度な形態で、本格的に始まったという解釈だ。サイバー戦争は2000年代初頭には主として、コンピューターやネットワークに侵入し、相手国のインフラを破壊したり、機能停止に陥らせたりすることを意味した・・・
・・・ところが16年を境に概念が大きく変わった。破壊する対象は物理的インフラではなく、相手国の「政治制度」となった。相手国民の「心や考え方(ハーツ・アンド・マインズ)を変えさせて、その国の政治制度の破壊を狙うのが、サイバー戦争の主たる意味になりつつある。
「9.11テロ」を予測し、サイバー戦争も早くから警告してきたリチャード・クラーク元米大統領特別顧問は、16年のアメリカ大統領選挙について「大規模な心理戦だ。歴史上見なかった心理戦が行われ、負けた。わが国は侵略された。その政治制度が侵略され、負けた」とまで発言している・・・

新しい戦争は、陸海空の三軍の次に、宇宙とサイバー空間だと思っていました。その途中に、細菌などによるパンデミックなどもあると思っていました。ところが、この話を聞くと、戦争の空間が広がったのではなく、次元が変わったのですね。