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被災地で考えるマイケル・サンデル先生

2013年3月3日   岡本全勝

NHKが2日にわたって、マイケル・サンデル先生と考える震災復興を放送しました。3月2日夜は東北大学で学生や一般の方千人と、3日夕方には日本を代表する社長7人との討論です。見応えがありました。
東北大学では、参加者の「東北人は討論に向いていない」との事前の発言とは全く違い、「白熱教室」でした。自主避難者に支援すべきか、ボランティアである民生委員や消防団員は自らの危険があっても高齢者を救いに行くべきか、復興に際してリーダーシップを優先すべきか住民合意を大切にすべきか。それぞれ難しい問題です。
社長7人との討論も、すばらしかったです。「さすがに、この社長たちは違う」と思わせるものでした。復興に限らず、企業経営は社会との関係でどうあるべきかなど。この方たちが日本の経済と産業を引っ張っていってくだされば、日本は世界の中で復活できるでしょう。
見損なった方は、もったいないことをしましたね。でも、再放送もあり、オンデマンド(有料)もあるとのことです。

「さすが」と思ったのは、先生の問題設定と、話の進め方です。そして、参加者のしっかりとした発言です。放送では、実際の録画を編集してあるのでしょうが。
実は私も、大学などで復興の講演をする際には、「被災地で考えるマイケル・サンデル先生」を、先生に断りもなくやっています。
「100人の避難所に届いた70人分の物資をどう配るか」「避難所で、応援に来たボランティアたちが汗を流している前で、若くて元気な避難者がぶらぶらしている場合」「支援物資として文房具がたくさん送られ、文房具屋さんが商売あがったりになったこと」「ボランティアがお花を配ってくだっさったので、花屋が仕入れたお花が売れなかったこと」「がれきを、岸壁の応急修理に使ってよいか」「ご遺体を埋葬する際に、僧侶の読経を求められた役場職員」など。
発災直後の現場では、哲学や倫理の衝突の他に、法令と緊急対応との衝突事案もありました。復旧に入った段階でも、「哲学の違い」が、現場では出てきます。それぞれ、いま目の前にある課題です。そして、大学教授や国の官僚が答えを出してくれない、あるいは待っていられない課題です。

もうすぐ2年、進み始めた現地

2013年3月2日   岡本全勝

震災2年をひかえ、各紙が特集を始めています。
3月1日の朝日新聞は、被災市町村長へのアンケート結果を載せていました。それによれば、岩手県では、「どちらかといえば進んでいる」が6団体、「どちらかといえば進んでいない」が6団体。宮城県では「どちらかといえば進んでいる」が12団体、「どちらかといえば進んでいない」が2団体。福島県では、「進んでいる」が1団体、「どちらかといえば進んでいる」が3団体、「どちらかといえば進んでいない」が5団体、「進んでいない」が6団体でした。
これまでは、「進んでいない」「××が困る」といった、悲観的な発言が多かったですが、最近は変わってきました。岩手県北部と宮城県では、ほとんどの首長が「どちらかといえば進んでいる」と、我が町の事業の進捗に自信を持っておられます。ありがたいことです。
それだけ、事業が進んだと言うことです。一番の課題である住宅再建に関して、これまでは移転のための計画策定、住民合意、用地買収などの「下ごしらえ」の期間でした。それらができたところから、工事が始まっています。
「進んでいない」という答えが多いのは、原発避難市町村です。多くの地域でまだ帰還ができず、復興作業に入れません。

またその記事の中で、長島忠美復興大臣政務官のインタビューが載っていました。長島政務官は、旧山古志村長です。2004年の中越地震の際に村が直撃を受け、避難と復興の指揮を執られました。
・・・発生から約3週間後。「何の目標も示さないで、何を頑張ればいいんだ。バカ村長」。村民が避難所のノートに書き込んでいた。支援金や住宅再建の手助けよりも大事なのは、「いつになったら帰れるか」という目標だと気付いた・・
土地の地権者の確定に時間がかかることは、想定していた。土地の収用が遅れれば、工事が2年も3年も遅れてしまう。そこで「道路を造る場所などで文句を言わないでほしい」と、村民680世帯から「白紙委任状」をもらった。これで土地の権利関係がはっきりしていなくても、道路をつくれるようになった。
被災者が最後に頼るのは、選挙で選ばれた首長だ。危機の時にこそ頼られている自覚を持ち、目標を明確に示す政治的リーダーシップを発揮してほしい・・首長の覚悟は必要だ。覚悟を決めたならば、国も支援したい・・

総理施政方針演説、復興の部分

2013年2月28日   岡本全勝

今日2月28日、衆参両院で、総理大臣の施政方針演説が行われました。印刷物で29ページ、読み上げで約35分です。
その中で、大震災からの復興が、第1番目の項目に挙げられていました。また、職員の調べによると、14府省のうち、名前が出てきたのは、復興庁だけだそうです(海上保安庁、警察、自衛隊が出てきますが、大臣がいる「府省」ではありません)。職員一同、気合いを入れて仕事をしなければなりません。
もちろん、私たちの評価は、現地での復興が進むかどうかです。復興庁だけで仕事が進むわけではありませんが、現地で支障となっている課題を解決するのも、私たちの仕事です。

仮設住宅の先にある課題

2013年2月27日   岡本全勝

東北復興新聞21号に、私のインタビュー「住まいの変化にともなう移行戦略の始まり」が載りました。今後、本格的な住宅再建が始まります。自力による再建や公営住宅の建築です。
編集長の質問は「仮設住宅から本格住宅に移ると、NPOの役割はどう変わりますか」でした。多くの地域で、住宅の建設はまだ先のことですが、記事のようなことをお話ししました。
・・・今の被災地は、20年後の日本全国の地域の姿だ・・
多くの方が、考えておられることと思います。NPOには、期待することが大きいです。

公共財としての火葬

2013年2月27日   岡本全勝

日経新聞夕刊社会面で、昨日から連載「公共財としての火葬」が始まっています。
宮城県名取市では、900の遺体の50%は市営斎場で、25%を山形県で、25%を東京都と仙台市で火葬しました。その陰には、火葬場を緊急に復旧した関係者と、他の自治体に協力を求めた働きがありました。多くの市町村では、それはできませんでした。
大震災の発災直後、困ったことの一つが、葬式と埋葬です。たくさんの死者が出て、一方で葬祭場や火葬場も壊れ、葬式ができないこと、棺桶や遺体袋が足りなくなったこと、遺体を運ぶ方法に困ったこと、仮埋葬をしたことです。埋葬する際に、僧侶の読経を望まれたが、できなかったことも、このホームページで書きました。
連載の27日は「市民の弔い、僧侶課長仕切る」でした。市役所の課長、木村さんは僧侶でもあります。
・・・公務員として政教分離は肝に銘じている。が、現場で2度、法衣で読経した。検視場所の閉鎖時と、身元不明の遺体を火葬のため安置所から搬出した際だ。人目につかぬよう、祈った・・・