3月7日の日経新聞「私見卓見」は、佐藤仁・宮城県南三陸町長でした。
・・・6年という年月がかかったが、「よくここまで来たな」というのが正直な感想だ。もちろん、仮設住宅での生活を余儀なくされている町民の方にとっては「何でこんなに時間がかかるのか」との思いもあるだろう。しかし「二度と津波で命が失われない町を作る」という考えを実現するのは、国の全面協力があってもたやすいことではなかった。
復興計画を作るにあたって重視したのは、町民の意見を取り入れることだ。繰り返し、繰り返し住民説明会を開いた。阪神大震災の際には行政主導で短期間で計画がまとまっただけに「住民の意見を余りにも聞き過ぎると計画策定が遅れる」との批判の声もある。しかし町をつくり直すには町民の意見を反映させないといけない。それが真の意味での復興だ・・・
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朝日新聞に登場しました。政治の役割
朝日新聞が3月5日から「首長と震災」の連載を始めています。5日は伊澤史朗・福島県双葉町長、6日は阿部秀保・宮城県東松島市長でした。
阿部市長は発災直後から、すばらしいリーダーシップを発揮して、復興を進められました。がれき片付けについても、がれき置き場を性質別に分類して、市民が運ぶ際に分別するようにしました。たたみ、木材、燃えるゴミ、燃えないゴミ、金属など。混ざっていると、その後で分別する手間が大変なのです。金属類は、売るとお金になります。初めて視察に行ったときは、その手際よさに驚きました。かつての経験があったとのこと。他の市町村では、そこまで気が回りませんでした。この経験は、その後の災害、例えば熊本地震などでも生かされています。
また、新しい町での町内会作りについても、このホームページで、取り上げたとおりです。これらのことも、書いてほしかったですね。
さて、その記事の中に、私の発言が紹介されています。
・・・被災3県では新しいまちが出現しつつある。高台移転と土地のかさ上げによる宅地造成は1万9385戸が計画され、3月末までに69%が完成する。災害公営住宅も含めると、投じられた国費は2兆円。復興庁の前事務次官の岡本全勝(62)は「地元に住み続けたいという情念と、経済合理性は比較不能。それを決断するのが首長の仕事だ」と語る・・・
復興の過程で、時々質問を受けました。「このような大規模な工事をして防潮堤を作ったりや高台移転などせずに、住民に安全なところに引っ越ししてもらった方が、安くできるのではないか」とです。そのような考え方もあります。しかし、ふるさとで暮らしたい、もう一度町を復興したいという住民の気持ちと、外部の人が考える経済合理性とは、同じ尺度で判断できない選択です。諸外国ではこのようなふるさとを復興するのではなく、他の土地に移住する、あるいは国は支援せず住民に任せることが多いようです。これは、このホームページでも書いてきたように、日本の国柄でしょう。
それを前提として、多額の税金でふるさとの復興を支えるのか、引っ越しを勧めてそれを支援するのか。これは、官僚が決めることではないでしょう。民主主義国家、日本国憲法の下では、「比較不可能な複数の価値」に序列をつけるのは、政治家の仕事です。国民にそのために増税をお願いすると判断するのも、政治の役割です。もちろん、任せてもらえれば、官僚が「合理的」と考える判断をします。また、方針が決まれば、最も合理的な方法で工事を行います。
私の発言は、正確には「それを決断するのは政治の仕事だ」です。
近づく3.11。各紙の特集
もう、3月です。あの日から、6年が経とうとしています。6回目の3.11が近づき、新聞各紙が特集を組んでいます。ありがとうございます。風化しつつあると言われる、あの大災害。その記憶を、国民の皆さんに引き継いでいただきたいです。
岩手、宮城の津波被災地では、高台移転やかさ上げによって町の再建が進んでいます。その様子が、写真を使って報告されています。写真の力は大きいですね。発災前の街の様子、津波の直後、片付けが終わった後、そして今。言葉で説明するより、わかりやすいです。もちろん、説明をつけないと、部外者にはわかりませんが。
工事は進んでいるのですが、他方で課題も指摘されています。人口流出、公営住宅の入居者の年齢が高いこと、孤立、商店の苦戦、高台の住まいから商店まで買い物に行くことが不便なことなど。これから、住民と自治体が、どのようにこれらの課題に取り組んでいくか。もちろん、国も支援団体も支援を続けますが、中心となるのは地域です。
違った条件にある福島の原発被災地では、順次避難指示が解除されています。報道でも、商店や住民が戻りつつあることが、報告されています。こちらも、まだ戻る住民が少ないことが、課題です。
各紙が取り上げてくれていますが、子どもたちが大きく成長した姿をみると、うれしいですね。彼ら彼女たちは、狭い仮設住宅、長距離通学、仮設校舎、避難先でのなじめない学校など、子供心に苦労をしています。それを乗り越えて育っています。この子たちを育てることも、復興の大きな要素です。
マスコミ各社が、客観的、長期的な視点で、この復興を取り上げてくれています。これもまた、各社と日本社会の成熟を示していると思います。昔だったら、「進まない復興」「住民に不満」など、行政に対する批判記事が定番でした。
でも、根拠と代案のない批判は、生産的ではありません。住民も、自治体も、応援に行った職員も、それぞれ精一杯に努力しています。もちろん、復興庁をはじめとする国も。
全員が満足する答えがない課題、直ちには解決できない課題があります。その際に、一部の立場に立って、ほかを批判する。わかりやすいですが、それでは前進はありません。
仮設住宅入居者の新たな住まい
公営住宅や高台移転の工事が進み、仮設住宅から順次、恒久的な住まいに移ってもらっています。今なお避難生活を送っている方は13万人、仮設住宅の戸数として4万5千戸です。3月3日の地方紙に、3県での仮設住宅入居者の今後の住まいについて、調査結果が載っていました。
被災3県での仮設住宅は3万5千世帯、そのうち新居が未定なのは約1200世帯でした。先日もこのページで書きましたが(自主避難者の意向調査)、市町村役場が各戸に回って意向調査と相談に乗っています。行き先を決めることができない世帯は、それぞれの事情を持っておられます。経済的な理由、近所とのつながり、判断がつかないなどです。
まだ決まっていない世帯がわかると、対応も可能になります。丁寧に相談に乗って、仮の住まいから恒久的な住まいに落ち着いてもらうことが、次の課題です。
被災地の子供
日経新聞が、2月10日から3週連続で金曜日に、「復興のチャイム2017 」として、被災地の子供を取り上げてくれました。
2月20日「高台の新校舎 児童笑顔」
2月17日「福島の未来、生徒が開く」
2月24日「学ぶ機会、教室の外にも」
被災地の子供は、子供の時につらい思いをし、また仮設校舎で学ぶという苦労もしています。住まいも狭い仮設住宅、もちろん勉強部屋はありません。中には、両親を亡くした子供もいます。
学校教育だけでなく、生徒からの視点や、学校外教育も。教育委員会や学校の先生に任せておくと、視野はここまで広がりません。
このような記事は、ありがたいですね。