「歴史遺産」カテゴリーアーカイブ

三位一体改革12

日々の三位一体改革
【官房長官の釘刺し】
21日の毎日新聞は「正念場迎えた自治体」という野倉恵記者の記事、読売新聞は青山彰久記者による「地方交付税」の解説が、大きく載っていました。
先週は、地方6団体の代表が、財務大臣と官房長官とそれぞれ会談しました。また18日の閣議では、官房長官から各大臣に「地方団体の補助金見直し作業に邪魔をしないように」との発言がありました(各紙による)。(6月21日)
【自民党の公約】
25日の日本経済新聞には、自民党の全面広告が載っていました。小泉総理と安倍幹事長の大きな写真です。そこでは、7つの「日本の中長期的な課題」が取り上げられていました。経済、社会保障などと並んで、三位一体改革は6番目に掲げられています(他紙にも、順次載るんだと思います)。
一方、民主党は全紙に4段広告でした。岡田代表の写真とともに、今回は8つの約束を載せてあります。補助金改革は、引き続き2番目の項目です。(6月27日)
【知事の意見】
連日、三位一体改革関連記事が新聞をにぎわしています。28、29日の日本経済新聞は、47知事のアンケートを載せていました。
それによると、「骨太の方針2004」で3兆円の税源移譲規模を明記したことについては、おおむね前進と評価されています。一部の知事を除き、三位一体改革の実現可能性は十分ある、政府が求めている地方団体による補助金廃止案づくりは可能となっています。補助金廃止に合わせて、国による規制もなくすべきという意見が多いです。
義務教育補助金廃止には消極的な知事もおられます。今後、3兆円の廃止すべき補助金を選定する過程では、いろんな意見が出ると思います。しかし、3兆円の税源移譲につながる補助金となると、絞られてくるはずです。
その他、29日の朝日新聞では「検証マニフェスト」として、三位一体改革が取り上げられていました。(6月29日)
今日30日は、東京新聞が「目で見る参議院選挙」シリーズで、三位一体改革を取り上げていました。小泉純一郎首相が進める、構造改革の柱の一つとしてです。
また、朝日新聞は、29日に開かれた全国知事会の委員会の模様を伝えています。それは、三位一体改革を扱う委員会と、教育改革を議論する委員会です。知事5人が、義務教育費国庫負担金について議論し、結論は出なかったということです。(6月30日)
今朝(6日)の日本経済新聞は、「なるか地方発補助金改革:上」を載せていました。「霞が関に総務省包囲網」という見出しです。地方団体がつくる補助金廃止案に対し、各省が阻止に回っているとの内容です。もっとも、その包囲網の代表として文部科学省が出てくるのはわかるとして、財務省が出てくるのは不思議ですよね。
地方紙は、共同通信社が実施した、全国知事アンケートを載せていました。ポイントは、義務教育国庫負担金の廃止に11知事が反対しているということでした。
なお、日本経済新聞に先月末に載った知事アンケートの詳細は、「日経グローカル」7月5日号に載っています。ポイント(既に紹介したことですが)は次の通り。
①「骨太の方針2004」は、7割の知事が評価
②「税源移譲額明記」は、8割が評価
③補助金改革とりまとめは、8割が可能
④補助金改革は、国の関与廃止が前提
⑤補助率引き下げは反対
⑥義務教育負担金廃止は、3分の1が反対
⑦交付税改革は、財源保障機能維持、です。(7月6日)

外国の地方行政

自治体国際化協会(クレア)から、レポート257号「フランスの都市計画」の他「スウェーデンの地方自治」「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」という冊子が発行されました。
このうち「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」は、ブレア政権が進める地方自治制度改革の根拠となっている白書の翻訳です。
イギリスでは、総選挙の際に政党がマニフェストを国民に示します。政権を取ると、そのマニフェストを実行するために、より具体化した「白書」ホワイト・ペーパーがつくられます。そして、ものによっては法律が作られ、また実施計画の達成状況が政策評価を受けて公表されます。
地方自治制度改革もこのような手順を踏むため、「法律改正」もしばしばあるとのことです(前回の出張で聞いてきました)。イギリスの地方自治全般については、同じくクレアから「イギリスの地方自治」という立派な本が、昨年発行されています。
ヨーロッパ探検記でも書きましたが、日本も地方自治という制度は欧米をお手本にそろえましたが、運用はかなり違うようです。この本は、制度改革の進め方や目標などについて、おもしろいことが書いてあります。日本は制度を「輸入」する時代は卒業しましたが、運用や精神はまだまだ見習うことが多いと思います。

三位一体改革11

地方団体へのメッセージ
今回の「骨太の方針2004」、特に「3兆円税源移譲明記」には重要な意義があると、私は考えています。まずここには、地方団体に対し、いくつかのメッセージが込められています。
(1)地方団体に安心感を持ってもらう。
①「安定的な一般財源総額の確保」という記述=これは16年度において交付税等の削減が大きく、また突然だったことに、地方団体から反発が大きかった。それに答えるものです。
②「3兆円の税源移譲目標の明示」=16年度は1兆円の国庫補助金削減に対し、一般財源化は0.4兆円でしかなかったことに、地方団体からの不満が大きかった。それに答えるものです。
③「18年度までの改革の全体像を、秋までに明らかにする。その際には、地方団体の意見を聞く」との記述=これも地方団体からの意見を取り入れたものです。
これらは、改革を進めるためには、地方団体の理解が必要だからです。
(2)地方団体にも責任を。
「3兆円の国庫補助金改革の具体案を、地方団体に取りまとめてもらう」=これは、地方団体にも、三位一体改革に責任を持ってもらおうとするものです。
もちろん、なかなか進まない改革を進める「てこ」になる意味や、政治と官僚の関係などの論点もあります。それらは、追い追い解説しましょう。今朝(4日)の、読売新聞の解説(青山彰久記者執筆)や朝日新聞の社説が、参考になります。(6月4日、6日)
これからの困難
先週、内閣府が、全国知事会などに「8月20日までに、補助金改革案を取りまとめるよう」要請しました。また11日の閣議では、麻生大臣が各大臣に対し、地方団体が案を取りまとめる際に「邪魔をしないでほしい」旨を訴えました。大臣は、全知事・市区町村長・議長に、御手紙も出されました。(12日付け朝日新聞など。13日付読売新聞解説がわかりやすいです)。
「骨太の方針2004」に「3兆円税源移譲」が明記されましたが、実現には、まだ困難が予想されます。
進む改革
しかし、「三位一体改革」は、いくつもの困難を伴いながらも、着実に進んでいます。片山プラン(5.5兆円の税源移譲提案)が14年5月。三位一体改革の方針が閣議決定されたのが、その6月。3年間で4兆円の補助金改革を決めたのが、15年6月でした。16年度には1兆円の補助金削減と部分的税源移譲を実現しました。そして16年6月には、3兆円税源移譲目標を決定しました。
こうして見ると、とぎれることなく、確実に前進していることがわかります。近年の構造改革の中でも、もっとも進んでいるものでしょう。
現在、論点を整理して、「進む三位一体改革-評価と課題」という原稿を執筆中です。しばらくお待ちください。乞うご期待。(6月13日、14日)
大きな政治争点
17日の朝刊各紙に、民主党の全面広告が載りました。岡田代表の顔が大きく写っているものです。ごらんになった方も多かったと思います。そこに、マニフェストとして、3つの約束が掲げられていました。その2が「18兆円の補助金を廃止し、地域で住民が使い道を決められる自主財源に」でした。
地方財政改革は、ここまで大きな政策争点になりました。
今朝の日本経済新聞の社説は、「地方の結束が試される番だ」でした。地方財政は、毎日のように新聞をにぎわしています。国民にこれほどまでに関心を持ってもらえて、ありがたいことです。「数年前には考えられなかったことですね」とは、ある旧知の新聞記者の談です。
今晩も、政策研究大学院で講義をしてきましたが、新聞切り抜きだけでも、議論ができます。
もっとも、私は地方分権も重要ですが、日本にはそれに劣らず重要な政策課題があると考えています。例えば教育についていえば、教員の給与の財源をどうするかより、教育の内容・いじめ・不登校・学力低下・学級崩壊・非行を議論すべきでしょう。しかも三位一体改革は、教員の給与を下げるといったような議論をしているのではないのです。文部省が早く、「補助金官庁」から「政策官庁」に転換することを望みます。(6月18日)

法律ができるまで4

4月以降
4月に入って衆議院では、年金法を巡る問題で民主党が審議を拒否しました。その結果、今週の6日の衆議院総務委員会は、与党と共産党のみで電波法の改正を審議しました。与党の質問だけ行いました。7日夕方に正常化したので、13日に残りの審議をすることになりました。一方、参議院は、通常の審議でした。8日に消防法改正案が総務委員会を通過し、9日に本会議で可決されました。来週は、地方公務員の任期付き任用法改正案を審議する予定です。
地方税財政関係法が成立しても、国会・総務省はその他の法案成立に汗をかいています。3月中は、予算と予算関連法案の審議ですから、まず衆議院そして参議院の順に審議が進みます。しかし4月になると、衆議院と参議院それぞれで、別の法案を審議するので、時間(と大臣)の取り合いになります。それぞれの本会議とそれぞれの総務委員会の、時間の調整が大変なのです。それに、火曜日と金曜日は閣議があり、その時間の調整も必要になります。(4月9日)
13日は、午前中は衆議院総務委員会で電波法改正の質疑採決、その後、参議院総務委員会で任期付き任用法改正の提案理由説明、引き続き衆議院本会議で国民保護法案の趣旨説明と質疑がありました。国民保護法制は、消防や地方団体が主役なので、総務大臣の出番も多いです。それで、大臣はずっと出ずっぱり=休憩・昼ご飯抜きでした。私は、大臣が本会議に出ておられるのをTVで見ながら、弁当を食べました。申し訳ないと思いつつ、朝7時半から大臣にレクチャーをしたら、お腹が空いて・・。(4月13日)
16日には、参議院本会議で「地方公務員の任期付き任用法改正」が、衆議院本会議で「電波法改正」が可決されました。来週は、それぞれの委員会で、次の法案の審議に入ります。また、衆議院事態特別委員会では、国民保護法案が審議されています。14日には、久しぶりに「党首討論」も行われました。もっとも、年金法改正をめぐって16日夕刻、与野党が「激突」したので、来週の審議がどのようになるのか心配です。(4月17日)
【市町村合併特例法】
国会の方は、火曜日に正常化し、衆議院総務委員会では「市町村合併関係3法」の審議が続いています。合併推進関係者の方には、近く掲載される委員会議事録をご覧いただきたいと思います。参議院総務委員会では「国家公務員総定員法改正」が可決されました。国家公務員総数は、独立法人化等で、大幅に減っています。(4月22日)
今日の衆議院総務委員会と本会議で、合併3法が可決されました。議論のポイントは、地方行政2へ。(4月27日)
今日は、衆議院総務委員会で「地方公務員共済法改正」が審議可決されました。内容は、①厚生年金等と同様の給付と負担の見直しのほか、②国家公務員共済との財政の一元化、③市町村共済の事務の一元化です。案外知られていませんが、重要な改正です。(5月20日)
18日、参議院総務委員会で合併3法案が審議、可決されました。今日の本会議で、成立しました。市町村合併関係が主な内容ですが、地域自治組織など新しい仕組みも導入されています。(5月19日)
今日は、衆議院総務委員会で「消防法等改正」が可決されました。昨年相次いだ、石油タンク・タイヤ工場・ごみ発電所の火災対策や住宅への火災報知器設置を内容としています。明日からは、参議院で国民保護法制の審議が始まります。(5月25日)
今日は、衆議院総務委員会で、「国家公務員総定員法改正」と「地方公務員任期付き任用法」が可決されました。3日の本会議で成立する予定です。総務省提出法案としては、残っているのは、参議院での「地方公務員共済法改正」だけになりました。この他、わが省関係では、国民保護法制もあります。(6月1日)
今日、参議院総務委員会での質疑採決の後、本会議で「地方公務員共済法改正」が成立しました。これで、総務省提出法案はすべて成立しました。わが省関係では、国民保護法も成立しました。(6月14日)
【国会閉幕】
今日、159回国会が閉会しました。総務省提出案件(法律13本、承認案件1件)は、すべて成立しました。関係者のみなさん、ありがとうございました。(6月16日)

レーガン元大統領の国葬

6月5日に93歳で死去したドナルド・レーガン元米国大統領の国葬が、11日11時30分から、私の職場からも程近いワシントン大聖堂で行われました。ゴルバチョフ、サッチャーなどという懐かしい名前と共に、日本からは中曽根元首相が国葬に参列しました。大統領経験者の国葬としては、1973年のジョンソン元大統領のとき以来、31年ぶりです。
11日は、連邦政府機関も証券取引所も休みだったのですが、残念ながら私の職場は平常どおり。当日は、主要道路の封鎖、いつもよりずっと多い警官&パトカーの数、上空を飛ぶヘリコプターなどが、「厳戒態勢」であることを感じさせていました。
日本でレーガン元大統領の死がどのように扱われたのかは知りませんが、米国においては、レーガン元大統領の死後、氏が残した業績を検証する追悼番組、新聞の特集記事等が、「これでもかっ~」というくらい相次ぎました。毎日の新聞の2~3面以上を必ずレーガン元大統領の記事が占め、毎日のニュースでもその大部分が氏にまつわるニュースに充てられていました。
もちろん、その論調は、冷戦の終結を導いたこと、「レーガノミックス」による成果等レーガン元大統領に対する賞賛一色。「二十世紀で最も偉大な大統領に列せられる」「ベスト3に入る大統領」など、最上級の賛辞が贈られていました。
レーガン元大統領の遺体を収めた棺は、9日にカリフォルニア州からワシントンに運ばれ、連邦議会の議事堂に安置されており、11日の国葬当日まで夜を徹して一般弔問が行われました。弔問に訪れた人は全米各地から数十万人、弔問に並び始めて弔問が終わるまで6,7時間かかるとのことでした。このことからも、元大統領の死に対する米国民の感情がどれほどのものであったか、理解してもらえるのではないかと思います。
今や、レーガン元大統領のスローガンであった「小さな政府」や「規制緩和」は、日本を含む各国の政策の主流になっています。しかしながら、、私が大学で経済を学んだ1990年前後には、その経済政策は、「ラッファー曲線」という変な経済理論を基に財政赤字を急増させるとともに、貧富の差を増大させるなど(少なくとも私が大学にいたころには)どちらかといえば否定的に捉えられていたような気がします。また、レーガン時代の「強いアメリカ」を彷彿させるブッシュ現大統領の外交政策も、支持の声がある一方、多くの批判を受けているのも事実です。
11日は朝から、「3大ネットワーク」すべてが国葬の生中継していました。ミーハ-な私は、「なぜ故レーガン元大統領はこんなに人気があるんだろうか」「やはり亡くなったときにその人の悪口を言うことはないよね」などということを考えつつ、小雨の中、オフィスから少しだけ外に出て、同じように最後の見送りをする多くのアメリカ人とともに、マサチューセッツ通りを通り抜ける故レーガン元大統領を乗せた車列を眺めたのでした。