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三位一体改革74

2006年9月3日   岡本全勝
1日の朝日新聞連載「検証構造改革」は、辻陽明記者の「地方分権かけ声倒れ、ムダ生む構造なお温存」でした。
補助金削減といっても、国の権限を残したまま補助率を引き下げたりで、自治体の裁量範囲はほとんど広がらなかった。地方への負担の押しつけもあった。
所得税が3兆円税源移譲されたが、交付税率を変えなかったので、交付税は1兆円削減となっている。補助金削減4兆円と税源移譲3兆円との差額1兆円と併せ、地方は2兆円損をした、との解説です。
「歴代政権が手を付けなかった難題に数値目標を設けて挑もうとした首相に、地方自治体は当初、期待した。だが、最終局面で詳細な設計を官僚任せにした改革は、不発に終わったと言ってもいい」と厳しい評価がされています。こう言われても仕方がない部分もありますが、3兆円の税源移譲は評価して欲しいですね。どうでしょうか、辻さん。
6月7日の経済財政諮問会議。地方6団体の代表からの意見聴取後、改革を振り返った小泉首相の発言は、敗北宣言とも受け取れるものだった。「地方が自由にできることをやってあげないといけないが、全部の府省が抵抗している」との記述もあります。重い発言ですね。
東京新聞1日の社説は、「地方分権、流れを止めてはならぬ」でした。(8月1日)
4日の産経新聞は、「ポスト小泉、三位一体改革どう継承」を書いていました。「破綻への道?新型交付税、危ぶむ地方」「参院選で一人区反乱?おびえる自民」です。(8月4日)
(今後の進め方)
三位一体改革の今後の進め方を、学陽書房の本(9月刊行予定)に書きました。詳しくはそれを読んでもらうとして、ここでは少し違った角度から、政治学的に分析してみましょう。
三位一体改革には、二つの意図がありました。「財政の分権」と、「財政の再建」です。この二つは、全く方向の違ったものですから、別々に考える必要があります。そして、それぞれ、「主たる担い手」「内容」「手続き」を考える必要があります。
1 担い手
まず、担い手です。分権は、国(各省)は反対です。総務省の力だけでは、無理でしょう。進めるとしたら、地方から働きかけるしかありません。
再建は、地方も担う必要があります。しかし、交付税と地方歳出削減によって国の歳出削減を進めようとするなら、国が地方に働きかける必要があります。
2 内容
次に、実現を目指す内容、すなわち相手方に提案する内容です。
(分権ー具体リスト)
分権にあっては、廃止する補助金リストと金額、移譲してもらう税源の税目と金額を、地方から提示しなければ進みません。もちろん、このような補助金廃止・税源移譲といった財源の分権でなく、規制の緩和を当面の目標にすることも考えられます。その場合は、どのような項目について規制を廃止・緩和してもらいたいのか、そのリストを提示する必要があるでしょう。いずれにしても、具体的項目を提示しないと、議論は進みません。
(再建ー国が率先して行革)
再建にあっては、国と地方を含めた、歳出削減項目と金額(削減割合)を、国が提示すべきでしょう。この点、「骨太の方針2006」では歳出歳入一体改革を示し、2011年までに必要な対応額(歳出削減か、さもなくば増税)を示しました。今後、それぞれの歳出項目で、具体化されるでしょう。
その際に、「地方歳出を削減せよ」と言っても、地方団体は納得しません。地方団体は、国以上に職員数削減や給与カットをし、国がやっていない配置転換や出先の統廃合もしています。「国は地方を見習って、もっとやったらどうですか」という首長も多いです。全体的には、「国と同一歩調で進めます」がせいぜいのところでしょう。国は「国はこれだけも削減したから、地方もつきあってくれ」と範を示すべきだと思います。
3 手続き
(分権ー政治主導)
分権については、地方団体は意見書「七つの項目」を内閣と国会に提出しました。今のところ、はかばかしい回答ではないようです。その中で、「新分権推進法」が具体化に入っています。これがどのようなものになるか。もっとも、力学的には、総務省をのぞく全霞ヶ関が反対ですから、通常の法案作成手順では実のある内容は期待できません。三位一体改革は、官僚をパスし、政治主導で進んだのです。どのような政治主導が発揮されるか、そのような道筋をつけるかが課題でしょう。
(再建ー信頼と参加)
再建については、地方団体をどれだけその気にさせるかです。もちろん、地方団体の意向を無視して進めることも可能でしょうが、長期的に見て良い手法とは考えられません。政治的には愚策です。一回は強引に進めることができても、次が進みません。相手が喜んで取り組むことは無理としても、「信頼関係」の上に進める方が上策です。
その際には、内容以上に手続きが重要です。簡単に言えば、「発言と責任」です。歳出削減と増税は、誰だっていやなことです。どんな内容であっても、反対者がでるでしょう。その際には、その決定過程に地方団体にも参加してもらうのです。
内容に不満があっても、手続きに参加したら、人間は納得します。内容による正統化以上に、手続きによる正統化が重要だと思います。これは、民主主義の基本であり、負担の配分の際の王道です。「代表なくして課税なし」です。具体的には、「国と地方の場」の格上げでしょう。(8月24日)
昨日、今後の進め方を書きました。その続きで、分権推進法について書きます。平成7年に分権推進法が定められ、その一部は第一次分権改革として成就しました。今回、新分権推進法を定めるとすると、どのような点がポイントとなるかです。
私は、旧分権法の功績は、分権の理念を法律に定めることで分権を国家の政策と定めたこと=動かなかった分権を動かしたこと、そして推進委員会で基本計画を定め機関委任事務を廃止したことだと思います。では、これと比べると、新分権法はどうか。
分権の理念は、その後分権が進んだこともあり、共有されています。事態は進展して、理念から実行の段階を進んでいます。地方六団体は、「7つの提言」をまとめ、国に意見書として出しました。この項目を、どれから順に、どの程度実現するかが問題となっています。
次に、第三者機関=審議会方式です。第一次分権はこの方式で成功したのですが、その後継機関である地方分権改革推進会議は、失敗でした。三位一体改革の過程で見えたのは、官僚に任せては進まない、第三者機関でも進まない、責任ある政治家が決断しないと進まないと言うことでした。
新法をつくるには、旧法のうち何が残されているのか、項目を洗い直すことと、どのような手法をとったら進むのかを検討すること、この二つが重要になると思います。(8月26日)
19年度地方財政計画の試算が発表されました。現時点での見通しです。骨太の方針に則り、いくつかの推計を置いた数字です。うーん、これが総務省の地方財政のHPからは、たどり着かないのですよね。(8月31日)
9月1日の朝日新聞社説は「自治体の破綻、自己責任を問うなら」でした。
「自己責任を問うのならば、やるべきことがある。 まずは自治体に権限や税源をもっと移し、自立できる基盤をつくることだ。それなしに責任だけ求めるのでは筋が通らない。分権を進めつつ、自立に見合った責任を問う破綻(はたん)処理策をつくってゆく手順が欠かせない。 自治体の場合、破綻したからといって日々の行政サービスを止めるわけにはいかない。会社更生法のような再生型の制度にするのは当たり前だ」 (9月1日)
持田信樹先生編の「地方分権と財政調整制度-改革の国際的潮流」(東大出版会)が出版されました。財政調整制度改革の動きが先進国共通の潮流であり、交付税改革もその中で位置づけるべきだという考えから、編まれた論文集です。10か国との比較と、それを踏まえた地方交付税のあり方が論じられています。
日本の交付税改革では、国の歳出削減のための改革論や、事務の義務づけを無視した人口面積での配分を論じる人がいます。私は「諸外国を学べ」という主義者ではありません。しかし、世界的な、21世紀の福祉国家、新自由主義主潮の中に交付税を位置づけ、相対化して考えるのは良いことだと思います。そうすることによって、単純に歳出削減のために交付税を改革するという主張がおかしいこと、逆に交付税を「死守する」という発想もおかしいことがわかると思います。
私も、少しだけお手伝いをしました。ご関心ある方は、お読みください。(9月3日)

地方財政改革の経緯

2006年9月1日   岡本全勝
平成13年
6月14日 地方分権推進委員会「最終報告
6月21日 経済財政諮問会議「骨太の方針」
8月30日 諮問会議で「片山プラン」発表(段階補正・事業費補正見直し、留保財源率検討)
11月2日 諮問会議で片山プランの具体案公表

平成14年
1月 全国総務部長会議で段階補正・事業費補正見直し説明
5月21日 諮問会議で「片山プランⅡ」(税源移譲案)発表
6月21日 諮問会議「骨太の方針2002」(国庫補助負担金・税源移譲・地方交付税の三位一体改革)
7月26日 平成14年度普通交付税額決定(段階補正・事業費補正見直し実施)
8月28日 諮問会議「片山ビジョン」(県分留保財源を平成15年度から5%引き上げ表明)
10月30日 地方分権改革推進会議意見(国庫補助負担金の見直し等)
10月31日 諮問会議での議論(片山大臣の批判)
12月     15年度予算案(一般財源化の芽だし)
3月26日 地方交付税法改正成立(県分留保財源5%引き上げ)
4月 1日 経済財政諮問会議で、小泉総理からハッパがかかる。
5月中旬 地方分権改革推進会議水口試案騒動
5月23日 地方制度調査会意見概要意見
6月18日 小泉総理三位一体改革決断(3年間で4兆円の国庫補助金削減。相当額を基幹税で税源移譲)
6月26日 経済財政諮問会議「骨太の方針2003」(3年間で4兆円の改革) 
7月25日 平成15年度普通交付税額決定(県分留保財源5%引き上げ)
11月18日 諮問会議で総理から「16年度予算で1兆円の補助金削減・縮減や税源の移譲を目指す」との指示
11月28日 経済財政諮問会議で、麻生大臣「交付税改革」を発表
(総額の削減加速、算定方法の大幅簡素化、地方団体の不安解消)
12月10日 16年度分の国庫補助金削減案決定
(児童保護費負担金(公立保育所)などは一般財源化、義務教育費負担金(退職手当等)は「税源移譲予定交付金」に、その他は事務の廃止縮減)
12月18日 平成16年度地方財政対策決定
(一般財源化分は「所得譲与税」で、暫定分は「税源移譲予定交付金」で。交付税総額は1.2兆円減少)
4月26日 麻生大臣「三位一体改革のプラン」を発表
(①所得税から個人住民税への税源移譲(3兆円)の先行決定、②残り3兆円の国庫補助負担金改革、③17年度の一般財源(地方税・地方交付税等)総額を前年度と同水準に)
5月28日 総理「3兆円税源移譲」指示
6月 3日 経済財政諮問会議「骨太の方針2004」決定
(18年度までに3兆円の税源移譲。補助金削減案は地方団体に作ってもらう)
8月19日 全国知事会「補助金削減案」を決定。6団体合意。
8月24日 6団体が総理に「案」を提出。経済財政諮問会議に提出。
9月14日 閣僚と地方団体代表との協議会(その後継続)
11月26日 政府・与党全体像「三位一体の改革について」決定
12月18日 17年度地方財政対策決定(交付税総額は横ばい、臨時財政対策債は1兆円削減。所得譲与税化は7千億円、税源移譲予定特例交付金化は4千億円)
4月28日 「国と地方の協議の場」で、麻生大臣から知事会長へ、残り6,000億円の補助金改革案提出を依頼
5月18日 麻生大臣「地方税財政改革の推進」公表
6月20日 経済財政諮問会議「骨太の方針2005」決定
7月13日 知事会、1兆円の補助金改革案決定
10月 4日 地方6団体代表が経済財政諮問会議に出席
10月12日 国と地方の協議再開
10月17日 各省ゼロ回答
10月26日 中教審答申、1/2の国庫負担金制度は維持するべき。
11月 8日 各省へ目標額を割り当て(合計6,300億円)。各省からは最終的に1,178億円の回答。
11月25日 生活保護協議会打ち切り、厚生労働省案は地方の合意を得られず。
11月30日 政府与党協議会、残る6,000億円の補助金改革を決定。合計3兆円の税源移譲達成。
12月     18年度予算案。税源移譲は6,106億円。16~18年度の総額は3兆94億円。
平成18年
1月 地方6団体が「新地方分権構想検討委員会」を発足
   竹中総務大臣の「地方分権21世紀ビジョン懇談会」発足
5月 8日 地方6団体研究会が、「分権型社会のビジョン(中間報告)」を発表
6月 7日 地方六団体が、地方自治法第263条の3第2項の規定に基づき、内閣と国会に対し「地方分権の推進に関する意見書」を提出。地方6団体代表が経済財政諮問会議に出席
7月 7日 「骨太の方針2006」閣議決定
7月 21日 内閣から意見書に対する回答書
より簡単な年表は、三位一体改革の経緯(簡略版)を、
さらに簡単な数字の表は「三位一体改革の目標と実績」を
簡単な解説は「三位一体改革の基本解説」をご覧ください。
地方団体の主張などは三位一体改革推進ネットをご覧ください。
経済財政諮問会議への提出資料は自治財政局のHPに載せてあります。

三位一体改革の目標と実績

2006年8月20日   岡本全勝
                                    (単位:兆円)
補助金改革
税源移譲
交付税改革
平成14
年度
交付税総額0.8減
段階補正・事業費補正
縮小開始

「三位一体改革の方針決定」
(骨太の方針2002)
15年度
 芽だし 0.6

「目標設定 4.0」
(骨太の方針2003)
              0.2
総額1.5減
県分留保財源引き上げ
16年度
           1.0


「地方に案を考えても
らう」
(骨太の方針2004)


「H17・18分地方案3.2」
政府案2.8
             0.5
    
 

「目標設定 3.0」
(骨太の方針2004)

「H17・18分地方案 3.0」
「政府案1.7+α
総額1.2減
臨時財政対策債を含め2.9の減
17年度
1.8
「残る0.6分の地方案1.0」
「政府案1.2」
1.1.
「政府案0.6」
総額は前年並み
臨財債含め1.0の減
計画と決算の乖離是正
18年度
1.8
(H16決定分0.6、
H17決定分1.2)
1.2
(H16決定分0.6、
H17決定分0.6)
総額は1.0減
臨財債含め1.3の減
計画と決算の乖離是正
合 計
           4.7
(15年度分を含まない)
          3.0
(15年度分を含む)
5.1抑制
(16~18年度、
臨時財政対策債を含む)
補助金改革と税源移譲については、順次、数値目標が設定されたが(表中「」で示した)、交付税改革には数値目標は設定されていない。
税源移譲は、平成19年度に所得税から住民税へ移譲され、それまでは所得譲与税、税源移譲予定交付金で一般財源化されていた。
総務省の発表では、平成16~18年度の国庫補助負担金改革総額は、4兆6,661億円(平成15年度分を除く)。税源移譲に結びつく補助金改革額は3兆1,176億円(平成15年度改革分を含む)。税源移譲額は3兆94億円、となっている。

三位一体改革73

2006年7月30日   岡本全勝
13日の日経新聞経済教室は、佐藤主光一橋大学助教授の「交付税は財政調整に特化」「補助金で財源保障、機能分離の視点を明確に」でした。(6月13日)
原稿の校正をしていて、HPの間違いを見つけました。「地方案の実現度」の表です。17年秋に官房長官が各省に補助金廃止の割り当て(合計6,300億円)をしました。各省はほとんどそれに答えなかったのですが、いくつかの省が回答しました(合計1,178億円)。もっとも、その中には地方団体が求めていなかったもの(166億円)が含まれていました。それをこの表でどう表示するか、悩ましいのです。例えば、総務省は10億円の割り当てに対し、10億円の満額を回答しました。しかし、そもそも地方団体の要求に、総務省分はなかったのです。今回、各省回答数字を改め、地方案以外は括弧書きにしました。(6月19日)
今日20日の日経新聞は、連載「分権のデザイン、財政から描く」を書いていました。「地方交付税見直し。我田引税、改革遠く」という内容です。夕張市の財政再建団体への記事も、載せていました。(6月20日)
21日の日経新聞は、連載「分権のデザイン、財政から描く」で「自治体の起債自由化、道半ばの市場原理」でした。(6月21日)
21日の日経新聞連載「分権のデザイン、財政から描く」は、人件費の削減でした。(6月22日)
23日の日経新聞連載「分権のデザイン、財政から描く」は、破綻寸前の過疎地でした。(6月23日)
22日の朝日新聞は、坪井ゆづる論説委員と松田京平記者が「骨太、分権置き去り」「作業大詰め、届かぬ地方の声。財政再建に追いやられ」を大きく解説していました。
「昨年までの骨太作りと大きく違う。三位一体改革で論じられた分権の影が薄いのだ。巻き返しを図る自治体側は12年ぶりに、内閣と国会に意見書を提出し、新地方分権推進法の制定を求めるが、地方交付税の減額といった財政再建の大合唱にかき消されている」。ぜひ原文をお読みください。(6月22日)
毎日新聞6月25日の「発言席」は、交付税の削減に関して、井戸敏三兵庫県知事の「過疎地に住むな、なのか」でした。(6月26日)
三位一体改革によって、国と地方の税収配分がどう変わるかを表にして、「国と地方の税源配分」に載せました。また、税目別の国と地方の取り分を図示したものも載せました。どの税金が大きいか、どの税金で地方の取り分が小さいかがよく分かります。「続・進む三位一体改革4」の原稿用に作った表です。自治税務局寺崎補佐の協力を得ました。ご利用ください。(6月23日)
27日から日経新聞で、神野直彦東大教授による「やさしい経済学-地方財政改革」の連載が始まりました。(6月27日)
2日の日経新聞ニュース入門は、地方交付税改革を大きく解説していました。(7月2日)
28日の日経新聞夕刊は、知事に対する地方交付税に関するアンケート結果を載せていました。改革で重視すべき点は、1番が行政サービス維持に必要な財源保障機能の維持、2番が算定・総額決定への自治体の参画、3番が国が特定の事業に誘導する算定方法の廃止、4番が特別会計への直接繰り入れでした。(7月1日)
3日の朝日新聞は、交付税アンケートを大きく載せていました。「削減、小自治体に打撃」です。この記事の当否は別として、近年の交付税の削減は、小規模自治体にきつく利いているはずです。
まず、小さな自治体の方が、交付税依存が大きいのです。同じように交付税が削減されても、財政力の強い団体と弱い団体とでは、効果が違うのです。東京都、名古屋市、過疎の町を比較してみてください。東京都はそもそも交付税をもらっていない、名古屋市は少ししかもらっていないから減っても影響は少ない。ここでは、小さな町=財政力の弱い町と考えています。次に、近年、段階補正と事業費補正を削減しました。これらの補正は全国的な制度ですが、小さな町に大きく利いています。その削減は結果として、小さな町に削減が大きいのです。
この記事では別に、「身にしみる負担」が取り上げられていました。もっとも、これまでその町が独自で行ってきた優遇策が削減されるのなら、それは致し方ないことです。そのための財源を、他の事業を縮小するか増税するかで、確保するしかないのです。どこからも、お金は降ってきません。(7月3日)
(続三位一体改革は?)
7日に、「骨太の方針2006」が閣議決定されました。各紙が、歳出歳入一体改革の具体的方針を決めたことを伝えています。しかし、地方財政・地方交付税については、総額の抑制などが議論になっているだけで、三位一体改革その2や分権については、ほとんど取り上げられていません。8日の日経新聞地方面が、交付税総額減額を回避したことを、いくつかの知事の意見とともに紹介していました。(7月8日)
7日の朝日新聞は、地方交付税に関する全国市区町村アンケート結果を大きく解説していました。小自治体に削減の大波。検診やごみ収集有料化、行政の役割問う機会に。公共事業、実質ゼロも。柱は職員数カット、などの見出しです。(7月7日)
月刊『地方財務』2006年7月号が発行されました。拙稿「続・進む三位一体改革」4が載っています。
早速訂正です。p114資料37の注4で「30.094億円」とあるのは「30,094億円」の間違い、注5で「7.393億円」とあるのは「7,393億円」の間違いです。(7月4日)
遅ればせながら、留守中の記事などを紹介します。
(骨太の方針2006)
11日の朝日新聞では、松田京平記者らが「分権、役割論議から」「骨太方針に一括法見直し。カネの攻防一休み」「闘う知事会、色あせ」を詳しく解説していました。
11日の日経新聞は「財政、次への課題・上」で、地方財政を取り上げていました。「かみ合わぬ国と地方」として、骨太の方針2006で地方財政改革が不十分だった点を指摘しています。「財政優先か地方分権優先かの水掛け論をしている余裕はない。税源と権限を地方に移す基本に沿って、国と地方の関係を一体的に見直し、制度を再設計することが求められている」。
12日の日経新聞経済教室「正念場の財政再建、小泉後の課題2」では、小西左砂夫教授が「地方は財政責任果たせ」「国依存から自立を、相互扶助を軸に収支均衡」を書いておられました。骨太の方針と地方財政の将来像について、バランスよく解説しておられます。ぜひご一読ください。
(全国知事会議)
12、13日と松江市で、全国知事会議が開かれました。
13日の日経新聞地方面では、中西晴史編集委員が、これについて「分権改革、論議今ひとつ」と解説しておられました。「三位一体改革推進も闘う知事会議も消えた。12日の全国知事会議最大のテーマは国・地方の税財政改革(三位一体改革)の第1ラウンドを終えた来年度以降の分権改革の進め方だったが、論議は迫力を欠いた・・」。17日の日経新聞は「全国知事会の研究・上」を載せていました。「色あせる闘う姿勢」「陳情復活、目立つ形骸化」です。(7月17日)
11日の読売新聞「論陣論客」では、増田寛也岩手県知事と堺屋太一さんが、「骨太方針、見えぬ分権改革」のインタビューに答えておられました。14日の読売新聞では青山彰久記者が「岐路に立つ闘う知事会」「分権改革の議論停滞。歳出削減圧力に防戦一方」を解説しておられました。(7月18日)
21日に政府は、先に地方6団体が提出した意見書に対する回答を閣議決定し、全国知事会長らに渡しました。回答は、まだ関係のHPには載っていません。日経新聞21日夕刊などによると、回答は「骨太の方針2006」の引用に終始し、事実上のゼロ回答だということです。(7月23日)
24日の日経新聞は、谷隆徳記者の「全国知事会の研究・下」「かすむ分権の理念。市町村に配慮、守りに腐心」を載せていました。「最近の知事会の議論は低調だ・・」「各県トップが一堂に会する知事会議は本来、もう一つの政府である。国のかたちを論議するふさわしい場だ。地方から矢継ぎ早に改革案を突き付けないと、分権改革は小休止になりかねない。知事会の真価が問われている」(7月24日)
産経新聞は25日から、「小泉構造改革の決算」を連載しています。第1回は、規制緩和でした。第2回の今日は、三位一体改革です。「三位一体改革は、地元に補助金を運ぶ代わりに票を集めた地方選出議員にとって最も痛い改革になった」「三位一体改革は、地方財政が抱える問題点を浮き彫りにした。しかし、地方の自立に向けた処方箋は示されていない」。(7月26日)
地方6団体の三位一体改革推進ネットに、6団体からの意見書に対する内閣総理大臣の回答と、それに対する6団体の評価が載っています。(7月26日)
28日の毎日新聞連載「縦並び社会、格差克服への提言」では、「地方の自立へ向けて」として、長野県栄村村長が「交付税を本来の姿に」、石原信雄さんが「経済の原則を抑えると活力がなくなるが、放置すると地域格差が大きくなる。その格差に政治がどうかかわるかが重要だ。ある程度の地域格差はしかたがない。しかし、東京一極集中を放っておくと地方の購買力が低下し、企業の経営や経済全体にも跳ね返ってくる・・・東京に本店のある企業が納める法人税などは、全国で上げた利益によってもたらされる。都会が地方に税金を回すのは当然だ・・・中央省庁が持つ経済政策の権限を道州制で地方に移し、地域が企業にとって魅力ある施策を打ち出せるようにすることも不可欠だ・・」といった趣旨のことを主張しておられます。(7月30日)

一橋大学講義終了

2006年7月20日   岡本全勝

今日で、一橋の講義が終了しました。合計13回でした。終わってしまうと、あっという間でした。準備は大変で、毎回終わるとへとへとに疲れるのですが。だいたい、当初の計画通りにしゃべることができました。もっとも、どの程度、受講生に理解してもらったかは、不安です。出席率が高かったので、理解と反応は高かったと推測しています。新聞やテレビで見聞きしている日本の行政の問題ですが、体系だって聞くことはないでしょう。その点、オリジナルな授業だと自負しています。成績評価は、レポートで行います。力作を期待しています。岡本先生は、評価は厳しいですよ。