被災者の心の健康診断(メンタルヘルスケア)は、大きな課題です。8月25日に発表した「被災者の健康・生活支援に関する総合施策」でも、強調しました。
しかしその支援は、素人ができるものではありません。その担い手の育成をしてくださっている団体があります。岩手医大の鈴木満先生がやっておられる「心の架け橋いわて」を紹介します。例えば、「メンタルヘルス研修」です。
がれきの片付けや、荷物運びをしてくれる、個人ボランティアもありがたいです。今月の広島市での豪雨災害でも、効果があるでしょう。しかし、長期にわたる避難者支援になると、一見さんの個人ボランティアでは、限界があります。組織的支援、継続的支援、そして専門的支援が必要です。
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公営住宅建設加速支援
災害公営住宅の建設を促進するため、「工事加速化支援隊」を発足させました。
今回の大震災で、住宅再建(高台移転の敷地造成や公営住宅建設)は膨大な作業量になります。これまでに、計画策定、用地取得を進めてきました。市町村では経験したことのない大事業で、専門職員もいません。そこで、応援職員を送ったり、制度改正をしたり、技術相談などの支援をしてきました。
おかげで、計画は全て出そろい、用地取得も8割ができています。次は、住宅建設です。これから1年半の間に、約2万戸を作る計画です。そこで、専門の知識や経験を持つ職員で「支援隊」をつくり、各自治体の悩みに相談に乗って、課題を解決しようとするものです。
今日の、NHKニュースで紹介してもらいました。映像で、私もちらっと写っています。私は見送る側ですが、みんな紺のスーツを着ているのに、1人明るい夏用ジャケットで、すぐにわかります(苦笑)。
健康・生活支援に関する総合施策
今日25日、復興大臣の下で、関係府省の局長たちに集まってもらい、「被災者に対する健康・生活タスクフォース」を開いて、「被災者の健康・生活支援に関する総合施策」を決めました(本文、概要)。
昨年12月に、「被災者に対する健康・生活支援に関する施策パッケージ」をつくり、現地で実行してもらっています。その後、現場での問題を拾い上げ、今回それに対する対策の方向を決めました。
詳しくは本文を見ていただくとして、ポイントは次のようなものです。
・公営住宅が順次完成すると、仮設入居者が移転していきます。そこで、新しいコミュニティを作る必要があります。
・他方、まだ当分の間、仮設住宅暮らしを続けなければならない人も多いです。すると、心身のケアが必要です。生きがいつくりも必要です。
・歯抜けの状態になる仮設住宅の集約も必要です。
・これらの支援のためには、生活相談員や復興支援員を確保する必要があります。また、大勢の人数になっているので、これらの方を支援することも必要です。
・お年寄りだけでなく、アルコール依存の方、子どもなどにも配慮が必要です。
・心と体とつながりが、重要です。そして、仮設住宅と新しくできた町と両方で必要です。それには、関係者の理解と支援が必要です。
協力していただいた関係者の方に、感謝します。また、これをまとめるに当たって頑張った、牛島参事官以下の担当者にも、お礼を言います。もちろん、文章をまとめるのが目的ではありません。これを、現場で実行する必要があります。「総合施策」では、NPOやCSRへの期待と、それらとの調整も書き込みました。順次実行していきます。
被災地に人材を送る。スターティングオーバー三陸
藤沢烈さんが、ブログで、「スターティングオーバー三陸」を紹介しています。求人紹介会社のリクルートが、三陸で働く人向けの求人サイトを立ち上げました。
三陸での仕事の紹介です。ホームページを読んでいただくと、単なる求人や支援でなく、ここで働くことがどのような意義を持つのかが説明してあります。藤沢さんのほか、編み物事業を興した女性、横浜からパン屋さんに行った男性などの発言が紹介されています。
釜石市役所の石井重成さんの発言から。
・・行政、市民、NPO。それぞれにやりたいことがあるのですが、なかなか進まない。お互いの状況や背景を理解して連携していくための、コミュニケーションの隙間を埋める調整役が必要だと考えました。そこで、総務省の復興支援員制度を活用した、釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)を全国から募集し、立ち上げたのです・・
・・釜石市では企業1社だけでは解決できないような大きい社会課題に取り組むことになる。元に戻すという復旧・復興事業だけではなく、少子高齢化の問題や、人の人生そのものに関わることの難しさ。そうった解のない問題に向き合い続けることで、人間としても大きく成長することができる。私もこちらに来てから、コンサルタント時代の倍以上、頭と身体を使っている気がします・・
被災地、そして日本の地方、特に僻地であり中山間地域では、具体の課題が目の前にあります。そこで働くと、東京や日本全体を相手に仕事をするのと違い、自分の仕事が「見える」のです。これは、復興庁で働いている公務員や、地元に支援に入っている公務員にも共通します。
他方で、域外から入って働く職員は、地元の自治体や企業、地域社会に、新しい刺激を持ち込んでくれます。もちろん、課題は簡単に片付くものではなく、「よそ者」が働くことの難しさもあります。しかし、それが社会に貢献しながら働くことの意義です。楽をして得られることは少ないです。
9月に東京で説明会があります。(税金を使った)行政による支援でなく、このように民間の事業として(無償支援でなく)行われることは、ありがたいです。うまく行くと、長続きします。
行政も、被災市町村にたくさんの人を応援に送っていますが、これは公的な復興に関してです。税金でまかなっているので、送る範囲や仕事の内容には限りがあります。そして、あくまで復興です。地域が自律的発展をするためには、産業復興が必要です。
なお、スターティング・オーバーとは、「再出発」「新しい旅立ち」という意味のようです。
被災者支援のNPO、2
2つめは、「震災復興における支援アプローチ調査」です。
被災して、なくなった町を復興するには、道路をつくり家を建てただけでは、町の暮らしは復興しません。住民達が自らどのような町を作るか考え合意する必要があります。国や県が街並みを作って「はい、できました。入居してください」と言えば簡単でしょうが、それでは住民は満足しません。施設に入ってもらうのではないのです。
そこには、住民による合意形成の過程と、できあがった町の運営があります。自分たちの町か、あてがいぶちの施設かの違いです。町はできあがった建物(写真に写るモノ)ではなく、暮らしている住民が作り続けるプロセス(住民の活動)です。
・・復興とは、被災した人々が失った力を取り戻し、自らの手で新しい日常をつくりなおしていくプロセスである。支援者は支援者でしかなく、復興は住民自身の手によって成し遂げられる必要がある。本調査ではこうした前提に立ち、震災から3年目を迎えいよいよ本格化する東日本大震災の被災地において、復興への支援アプローチがいかにあるべきかという観点から行ったもので、住民の合意形成組織を対象に実施した。
「復興まちづくり」という概念は、ともすればハードの設計と建設、あるいはスピードとボリュームだけが注目される「まちの再建」に、議論と合意形成による住民参加のプロセスをより色濃く意味づけたものである・・(p3)
阪神・淡路大震災時の経験を活かした、調査です。
調査対象の6か所ごとに、住民組織の範囲やありようも違います。また、これらに特徴的なのが、NPOや大学などの団体や復興支援員が、支援に入っていることです。住民の意思が必要ですが、それだけを待っていては、うまくいきません。市町村がどのような支援をするか、支援団体や支援員がどのような支援をするか。よい事例を積み上げ、その他の地域に展開することが重要です。
これらの調査結果と報告された課題を、どのように解決していくか。国が法律を作ったり通達を出せば解決する問題ではありません。地元自治体や町内会にこの問題を認識してもらい、NPOの力も借りて解決していきます。
ダイバーシティ研究所、3県の連携復興センター、そして支援してくださった日本財団に、お礼を申し上げます。