4月19日の朝日新聞が、「仮設入居、原則5年に 岩手・宮城、13市町村で方針」を伝えています。仮設住宅の入居期限は、原則2年となっています。しかし、今回の大震災では住宅再建に時間がかかるので、1年ずつ延長をしてきました。4年が経って、順次住宅が再建しています。そこで、移転先が完成した自治体から、仮設住宅を終了することにしています。自宅の建設が遅れている方には、特例として延長を認めます。住宅の完成がまだ先になる自治体は、仮設住宅全体を1年延長します。仮設住宅は、学校の校庭などに建っていることもあり、早く撤去して、子どもたちに解放してあげたいのです。記事にも紹介されていますが、これは単純な話ではありません。
仮設住宅は無料ですが、公営住宅に移ってもらう場合、有料になります。もちろん、所得に応じた家賃の軽減があります。また、生活保護制度もあります。
さらに難しいのが、借り上げ仮設です。今回の大震災では、プレハブ仮設の他に、アパートを借り上げて提供しています。プレハブを造っているより、早く提供できるので、活用しました。しかし、無料で、かつプレハブ仮設と違い住環境は快適で便利ですから、出て行こうという誘因が働かない場合があります。記事で紹介されているように、震災前には2DKの賃貸アパートに月2万円払って住んでいた家族が、アパートが壊れ、市の中心部の3LDK、月8万8千円の賃貸マンションに、無料で避難している例もあります。この8万8千円分は国費(税金)で負担しています。(「賃貸住宅に住んでいた人は、津波でアパートが壊れて借り上げ仮設住宅に入った場合、住宅を移ったと考えて、以前に払っていた家賃相当分を払ってもらってはどうか」という意見も聞いたことがあります。)
昨日紹介したように、行き先を決めかねている老夫婦もおられます。丁寧に相談に乗って、次の住宅に移ってもらう必要があります。
原発災害の場合は、少し複雑です。避難が解除され自宅に戻れるようになった場合は、そこで仮設住宅を出てもらいます。自宅に帰れなく、公営住宅で帰還を待つ方には、公営住宅ができたら、仮設住宅を出てもらえます。帰還ができず、新しい生活を選ばれた方は、賠償金が払われた時点で仮設住宅を出てもらうのが原則になります。
直近の調査では、プレハブ仮設が3万9千戸、8万3千人。民間住宅が4万2千戸、9万8千人。公営住宅などが、7千戸、1万9千人です。資料p4。
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仮設住宅を出る人への相談
三菱商事復興支援財団
宮城沿岸南部視察
今日は、宮城県沿岸南部を視察してきました。南から、山元町、亘理町、岩沼市、名取市です。津波によって、大きな被害を受けました。
山元町では駅を内陸部に移し、その近辺に住宅(防災移転による戸建て住宅、戸建ての公営住宅)を再建します。たくさんの住宅が、できています。集団移転した海辺の元の土地は、大区画の農地にします。これも計画ができ、工事が始まります。亘理町でも住宅ができつつあり、仮設住宅の空き家が多くなっています。漁港が復旧し、直販店もできています。大きな真鱈が丸ごと1匹で、300円でした。またこの地域は、イチゴが特産です。復興交付金を使ってできた大きなハウスが建ち並び、イチゴが作られています。一粒千円のイチゴもあります。
岩沼市では、10キロにわたって存在していた6つの集落が、津波にのみ込まれました。それらを集約して、団地を造っています。玉浦西地区です。元の集落ごとに議論をし、団地の中でもまとまって住むことにしました。東京から比べると広い敷地に、新しい住宅が並んでいます。中庭を共有するような作りにしたところもあり、近所付き合いがあふれる町内になりそうです。ほぼすべてが完成し、7月には町開きをするそうです。名取市は、海辺の大きな集落だった閖上地区が、津波で壊滅しました。移転するか現地で復旧するかをめぐり、意見がなかなかまとまりませんでした。これも計画ができました。
この地区を視察するのは久しぶりです。他の2つに比べ、山元町と名取市は住民合意と計画策定に時間がかかっていたのですが、それもできました。かつていろいろと悩みを言っておられた首長さんたちも、今日は自信に満ちたお顔でした。
被災地での挑戦
NHKクローズアップ現代、4月14日は「復興イノベーション~被災地発 新ビジネス」でした。
・・多くの命が、町が失われた東日本大震災の被災地。4年あまりたつ今、ここで新たな産業を創出する「イノベーション」が起きている。宮城県山元町では、従来の農業にはなかったブランド戦略で1粒1000円のイチゴを開発。水産業が壊滅的な被害を受けた三陸の沿岸部では、ライバル同士だった各地の若手漁師たちがグループを作り、高品質の魚介類を直接、消費者や海外へ販売する動きを始めている。これらの動きを後押ししているのが、都会の企業でバリバリ働いていた若手の人材たち・・
番組を8分間、無料で見ることができます。ぜひご覧ください。
被災地の復興には、産業・生業の復興が不可欠です。しかし、発災前の産業をそのまま復興しても、じり貧です。どのように新しい産業に取り組むか。これまでは、つくったら売れる、採ったら売れるでした。しかしそれでは、もはや通用しません。これらの成功事例は、「売れるものをつくる」です。重要な要素は、新しいことに挑戦し、地元で頑張る人材。そして、外とつなぐ仕組みや人材です。鍵は「人」です。復興庁でも、民間企業やNPOなどの協力を得て、新しい試みを支援しています。