岩手県山田町が、価格を低く抑えたモデル住宅(の設計図)を造ります。6月12日の毎日新聞が伝えています。「山田型復興モデル住宅」です。小さい型では、2LDKで52平米です。770万円ですみます。戸建てを望む被災者に、モデル住宅のプランを作り、業者に安く作ってもらおうという趣旨です。
視察に行った際に、佐藤町長からこのアイデアを聞きました。私は「そんな小さな家でよいのですか」と聞くと、「戸建てを作ろうか公営住宅に入ろうかと悩んでいる、高齢の単身または夫婦の世帯なら、そんな大きな家は要らない。公営住宅並みでよいのです」との答え。なるほど。そもそも、大きな住宅を建てようとしている人は、公営住宅に入るかどうかは悩んでいませんわね。
現場では、悩みに応じて、様々な工夫が試みられています。
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産業振興の新しい形、企業お見合いの成果
被災地では、インフラ復旧が進みつつあります。しかし、それだけでは町の賑わいは、復旧しません。地場産業、中小企業に、事業を再開してもらう必要があります。でも、これは、国が補助金を交付したらできるものではありません。漁船も、漁港も、魚市場も、水産加工施設も、補助金によって復旧したのに、水産加工物(干物、すり身など)の売り上げが回復していないのです。そこで、復興庁は、被災地企業が抱える課題(どうしたら売れるか)を解決するため、大手企業が持っている技術、情報、販路などを被災企業に提供する場を作っています。支援企業と支援を受けたい企業の「お見合いの場」、地域復興マッチング「結の場」です。このような試みは、初めてだと思います。もちろん、参加してくださる企業があるから、できることです。
また、「開催しました」だけに終わらないように、成果も評価しています。平成26年度に実施した「結いの場」の成果を公表しました。概要は資料1(p2)、主なものは資料2(p5)をご覧ください。何をもって、成果の指標とするか。これが難しいのです。「数字による評価」と識者はおっしゃいますが、そんな簡単なものではありません。少なくとも、当日の参加企業や参加者の数は当日の成果であっても、産業振興の物差しではないでしょう。この資料を見ると、職員が工夫をしてくれたことがわかります。
日本学術振興会、東日本大震災学術調査
日本学術振興会で村松岐夫先生が中心となって、社会科学者を動員して東日本大震災の分析をしてくださいました。「東日本大震災学術調査」。3年にわたる大事業です。このページでも紹介しているとおりです。その成果が、順次、本となって刊行されています。
このたび、それとは別に「事業報告書」が公表されました。内容は、本文を見ていただくとして、目次は次のようになっています。
第1 章 調査の経緯
第2 章 発災と初動
第3 章 震災への政府の対応
第4 章 復旧と復興
第5 章 未来への教訓
第6 章 各班の調査研究活動
「はじめに」p2にあるように、今回の大震災では、技術・工学からの分析だけでなく、社会科学からの分析も必要であり、重要だったのです。このような多角的な分析をしていただき、ありがとうございます。
この報告書では、研究調査のいきさつや概要だけでなく、第2章から第5章までで、簡潔に政府の対応が検証されています。この部分だけでも、お読みください(合計20ページ余り)。分厚い報告書も必要ですが、短い文章にまとめることは一般の読者にとって有用です。しかし、それは非常に難しいことです。全体を知り、重要なことを選び、しかもバランスよく記述する。村松先生でなければ、できないことでしょう。また、第5章未来への教訓も、重要です。
なお、p12には、次のような文章も載っています。
・・・被災者生活支援チーム、次いで復興対策本部の担当大臣は、内閣府特命防災担当大臣(当初は松本龍氏、2011 年7 月からは平野達男氏)であったが、事務局次長として実務を動かしたのは岡本全勝内閣審議官(当時)であった。この支援組織は、東日本大震災復興基本法(平成23 年6 月24 日法律第76 号)の規定により、2012 年2 月に復興庁として組織替えになったが、平野―岡本のコンビはそのまま続いた。この復興庁は、複数の省庁にまたがる問題の調整権をもつワンストップ機関になることを理念としていた・・・
過分な評価をいただき、ありがとうございます。
原発事故風評対策
原発事故による風評被害が減っては来ていますが、まだ続いています。6月4日に復興大臣の下で、「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」を開催し、これまで1年間の取組状況の進捗管理とともに、これからの風評対策の強化を決めました。進めている対策は3つです。
1 源を取り除く。これについては、しばしば汚染水が漏れたりすることが報道され、不安を作るので、この対策が重要です。
2 正確でわかりやすい情報提供。
3 風評被害を受けた産業支援。農水産物と観光が被害を受けています。
「関連データ」を見ていただくと、農産物の価格はかなり戻りつつあります(p5)。しかし、購入をためらう消費者が一定数います(p4)。観光客もまだ戻らず(p6)、学校の遠足や修学旅行が事故前に比べまだ半分です(p7)。