日経新聞2月18日の社説は「現実を直視した帰還困難区域の復興を」でした。
・・・帰還困難区域の復興に向けてはまずこの地域の現実を直視する必要がある。帰還を望む住民が減っているなか、復興拠点を地域の再生にどうつなげるのか、政府はその道筋を示すべきだ・・・
・・・事故から6年近くたち、帰還困難区域の中でも放射線量がかなり下がってきた場所がある。一律に帰還困難とするのでなく、拠点を設けて復興の足がかりとする考え方自体は妥当だろう。
重要なのは、どこを拠点に選び、どんな将来像を描くか、住民の声をきめ細かくくみとり、計画に反映させることだ。
県外を含めて他の地域に避難している住民の中には、移転先で生活再建をめざしている人も多い。復興庁などが避難者の意向を聞いたところ、帰還を希望する住民は1~2割にとどまり、「戻らない」とした人が半数を超える・・
原文をお読みください。
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融けた核燃料の処理
2月19日の朝日新聞が、福島第一原発2号機の格納容器の調査を詳しく取り上げていました。本文を読んでいただくとして、竹内敬二記者の「視点」から。
・・・これから、溶けた核燃料との長い闘いが始まる。
同様の例は1986年に爆発事故を起こした旧ソ連チェルノブイリ原発しかない。原子炉底部に核燃料が丸くかたまった「ゾウの足」がある。昨年、その原子炉全体を包む新シェルターができた。事故後30年でようやく完全な封じ込めが完成した。核燃料の処理は「50年くらいたってから考える。放射能も下がるし」という。百年作業なのだ。
福島に並ぶ炉心溶融した三つの原発は、「日本では過酷事故が起きない」という安全神話の帰結だ。
事故処理を通じて、私たちは原発への正しい恐れを身につけ、安全神話を消さなければならない。
しかし、東電は、2021年に「燃料取り出し」を始めるという。実際には核燃料をどう管理して、どこに運ぶかさえも決まっていない。無理だといわざるを得ない。
事故処理や費用では、しばしば楽観的な数字、スケジュールが示される。後に、小刻みに数字が変わる。早く終えたいのだろうが、廃炉の難しさについての誤ったメッセージになりかねない・・・
原発事故後始末費用
2月15日の朝日新聞オピニオン欄「21.5兆円、私も払う?」として、次のように問うています。
・・・6年前の東京電力福島第一原発の事故で、避難住民への賠償や廃炉に必要な費用は、広く電気を使う人たちが負うしくみがつくられてきた。「想定外」の事故の費用は、いま、総額で21兆5千億円。だれが負担するべきなのか。この先も原発を使い続けるのか・・・
NPO法人国際環境経済研究所理事・竹内純子さんの発言「つぶせば東電が楽になるだけ」から。
・・・東京電力という一企業の失敗を、なぜ国民が負担するのかという指摘は、感情的にはわかります。でも、一日も早く福島復興への責任を果たすという目的を考えれば、当面は昨年末に国が決めたこのしくみ以外に、解はないと思います。簡単に言えば、国が東電に資金を出して時間的猶予を与えるという制度で、昨年末に決まったものは、これまでの大枠と同じです。私は一定の評価をしています・・・
・・・「東電をつぶすべきだった」という声がありますが、事故当時の東電の純資産は2兆5千億円ですから、必要額に届かないのは明らかでした。泣くのは賠償を得られない被害者です。東電をつぶすことは、東電を楽にしてあげることと同義です。たとえば会社更生法などの事業継続を前提とした破綻(はたん)処理では、賠償を含む東電の債務を一定程度で区切ることになります。これでは東電が責任を果たすことにはならないので、いまの枠組みがつくられたのです・・・
反論も載っています。原文をお読みください。
地域の課題を解決する企業
河北新報が連載「トモノミクス」を続けています。趣旨は「企業の社会的責任(CSR)。21世紀、世界の企業に浸透し始めた概念だ。東日本大震災後、東北の被災地には無数の企業が足を踏み入れ、試行錯誤を重ねた。艱難の地へ、生活の糧を、癒やしを、希望を。企業を突き動かした衝動は何だったのだろう」です。
2月14日は1面で「ヤマト運輸、客貨混載で課題解く」を取り上げていました。
・・・宮崎県西部の西米良村。昼すぎ、蛇行する川沿いの街道を宮崎交通の路線バスが走ってきた。役場近くの停留所で待つのはクロネコマークのトラック。荷物のリレーが始まった。ヤマト運輸のドライバーが、村内で集めた荷物を手早くバスに積み込む。作業が終わると、バスは隣の西都市に向けて出発した・・・
・・・「客貨混載」の共同事業は2015年10月に始まった。宮崎交通はヤマトから安定収入を得られる。ヤマトは物流効率が向上し、取扱量が増えた。同社宮崎主管支店安全推進課長の下久史(しもひさふみ)さん(45)は「ドライバーが現地にいる時間が増え、お客の利便性が上がった」と手応えをつかむ。
「三方よし」の精神が地域の生活と経済を回す。その原点は岩手県にあった。
15年6月、ヤマト運輸は岩手県北バス(盛岡市)と提携し、盛岡市と宮古市重茂地区を結ぶ全国初の客貨混載バスの運行を始めた。発案者は震災直後、同県内の救援物資輸送を担った松本まゆみさん(現ヤマト・スタッフ・サプライ)・・・
被災地で暮らしを支える、にぎわいを取り戻すために、企業が様々な試みをしてくれました。この「ひとものバス」もその一つです。バスも宅配便も、地域にはなくてはならない生活インフラです。しかし、乗客や荷物が少ないと、経営は成り立ちません。さらに運送業は、近年は運転手不足に悩んでいます。それらを解決する方法です。ありがとうございます。詳しくは原文をお読みください。
被災地での挑戦が、全国に広がると良いですね。
原発事故放射線量の減少
原子力規制委員会が、福島第一原発周辺の放射線量地図を公表しました。毎年この時期に、公表しています。
4ページ目を見ていただくと、事故直後に比べ、線量の高い地域が劇的に減っています。このことで、避難指示を解除し、住民に戻ってもらえるようになったのです。
事故直後に「この後どうなるんだろう」「人は住めるのだろうか」と議論していたことが思い出されます。もっとも、まだまだ線量が高く帰還の見通しが立たない地域(地図では赤と黄土色の区域)もあります。
71%の減少だそうです。放射性物質の物理的減衰だけだと59%ですが、雨に流された、地中に潜った、除染したことなどで、さらに減ったようです。放射性物質、これは目に見えな小ささですが、土にくっついてしまいます。なので、風が吹いても飛ばず、雨で水に溶けることもないようです。ただし、泥水になって流れ出ることはあります。透き通った水なら、含まれていないので安全です。