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講義など

秋学期の開始

今日から、秋学期が始まりました。ネクタイを締めて、気合いを入れて行きました。重い資料をたくさん抱えて。今月までクールビズなので、ネクタイを締めるのは数ヶ月ぶりです。昨日の最高気温が30度を越えたのに対し、今日は20度とひんやりとした日だったので、ちょうどくらいでしたが。
出席者は39人、事前欠席届が1人いますから、40人前後でしょう。これくらいだと、授業はやりやすいですね。内容は地方自治の意義など、正統派で進めています。しかし、参考書のほか自治六法や自治法の逐条解説を回覧したり、憲法と地方自治ついても、普通の教科書にない視点から解説したり。「日本国憲法は三権分立ではない」とか。いろんな資料も配って、全勝色の濃い授業にしています。

慶応大学2007秋学期

秋学期:行政学特論Ⅱ「地方自治論」
授業計画
前半は、地方行財政の仕組みを説明します。後半は、地方行政と地方自治体が抱えている課題と、それに対しどのような改革が取り組まれているかを解説します。
地方行政や地方財政といったときには、1,800団体(都道府県、市区町村)の集合体としての地方行政や地方財政と、一つ一つの団体(例えばある市役所)の行政や財政があります。前者はマクロの見方であり、後者はミクロの見方です。前者では国家行財政との対比や関連が議論になり、後者ではその団体のあり方とともに、住民との関係が議論になります。さらに、地方や地域といった場合には、市役所という行政機関の課題だけでなく、市域という地域社会の問題もあります。
第1部 地方行財政の仕組み
1 地方自治の意味と機能
2 市役所の仕事
3 市役所の仕組み
4 住民と自治
5 市の財政
6 地方財政
第2部 課題と改革
7 分権改革
8 財政の課題
9 地方行革
10 地域の課題と政策
授業予定
 9月29日 授業計画の説明、第1章地方自治の意味と機能
10月 6日 第1章続き、第2章市役所の仕事 
10月13日 第2章続き
10月20日 第2章の残り、第3章市役所の仕組み
10月27日(早慶戦で休講。雨天中止の場合も休講)
11月10日(公務のため休講)
11月17日 第3章の残り、第4章住民と自治
11月24日(三田祭で休講)
12月 1日 第5章市の財政
12月 8日 第6章地方財政
12月15日 第6章続き、第7章分権改革
12月22日 第7章続き 
 1月12日 第8章財政の課題
 1月19日 第9章地方行革、第10章地域の課題と政策
配付資料
(レジュメ)
p1~5(9月29日)、p6,7(10月6日)、p8,9(10月13日)、p10(10月20日)、p11~13、「レポート課題」(12月1日)、「レポート課題、選択課題追加」(12月8日)、p16,17(12月15日)、p18(12月22日)、p19~21(1月12日)
(資料)
資1-1~1-5(9月29日)、資2-1~2-7(10月6日)、資p13再、資2-8、資3-1、3-2(10月13日)、資3-3(10月20日)、資5-1~5-4、資6-1~6-8(12月1日)、資7-1~7-4(12月15日)、資8-1~8-7(12月22日)、資8-8~8-13、資9-1~9-6、資10-1~10-3(1月12日)
(参考配布)
拙稿・連載「行政構造改革」9月号(10月6日)、10月号(10月20日)、11月号(11月17日)、12月号(12月8日)、1月号(1月19日)
参考書
その都度、紹介します。
拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」(2003年、時事通信社)が、参考になります。ただし、この本は大学院での授業をもとにしてあり、地方公務員を読者と考えて書きました。すなわち、地方自治について、ある程度の知識があることを前提に書いてあります。授業は、仕組みの解説から始めます。
成績評価
平常点(出席状況)とレポートにより、評価します。出席回数4回以下は、不可。
レポートの課題は、配布済み。提出日は、1月24日、25日。

2007.09.24

29日から秋学期が始まるので、準備を続けています。テーマは地方自治なので、話すことには事欠きません。今回も、何をしゃべり、何を切り捨てるかが問題です。自治の仕組みと機能をお話しするため、あらためて勉強し直しています。骨子と内容はすぐにできるのですが、資料の準備が大変です。多くの人の協力を得ています。ありがとうございます。

採点

79人のレポートを採点しました。学生時代に、教授が「採点は大変です」とおっしゃっていたのが、よくわかります。これまでの大学院では、人数も少なかったです。79人にもなると、結構な労働です。200人とか400人になると、重労働でしょうね。
まず、全員がワープロで書いてくれたので、読みやすいですね。汚い字だと、それだけで元気がなくなります。誤字はなしとは言えませんが、少なかったです。ほとんどの学生は、文章も読みやすく、レポート慣れしていますね。また、「最初に結論を書き、目次を書くと点が高くなる」と予告しておいたので、かなりの学生は守ってくれました。
もっとも、ページが逆に綴じてあったり、書式がページの途中で変わっていたりするものもありました。締め切りに間に合うよう、あわてて出したのでしょうか。
次に、内容についての評価です。良くこれだけ調べて、また分析し考察したと、うならせるレポートが、1割ほどありました。この人たちは、文句なくAとしました。テーマは司法制度改革、民間委託、規制緩和、放送行政など。「具体事例を取り上げて」という、私の意図をしっかりと受け止めています。もちろん私の授業だけでなく、他での勉強の成果も活用しているのでしょうが、立派なものです。
その他の人達は、具体事例をどの程度調べているか、分析や考察、結論を基準に、BとCをつけました。採点基準や守るべきルール、お勧めの書き方を授業で説明し、紙で書いて渡したのですが、守っていない人もいました。そのような人には、DかCをつけたいのですが。あまり厳しいことを言うのもいかがかと思い、少し目をつむることにしました。次回は、きっちり厳しくします(予告)。
それにしても、エッセイの域を出ないものは、残念ですがCにしました。というか、出席日数が十分あれば、Dにはしませんでした。大甘な採点です。ただし、出席日数が少ない人には、レポートが提出されても、Dにしました。「成績評価は出席とレポートによる」と、最初に書いておきましたから。悪しからず。
内容では分析や考察が少なくても、努力の跡が見られるもの、それなりの分量を書いたものは、Bに格上げしました。我ながら、大甘です。すると、最初にBをつけた人とのバランスが悪くなるので、B+の人をAに格上げしました。これまた、大甘。学生にとっては、他の授業と試験も大変でしょうから、あまり多くを期待してはいけないのでしょう。
公務員制度改革、社会保険庁問題などを取り上げた人が多かったですが、部分的な考察であったり、新聞記事を出ないものが多かったです。「岡本の講義に沿って、または岡本の講義を批判して」を評価基準と示してありましたが、自説だけを述べる人も多かったです。
なお、「岡本先生の官僚批判は厳しすぎる。これでは公務員になる人がいなくなる」とか、「官僚を続けながら官僚批判をするのはおかしい」といった、意見もありました。うーん、問題の指摘が多すぎましたかね。私は、日本の官僚が国民の信頼を取り戻すためにはどうすれば良いかを考えて、批判と代案を述べているつもりです。脱線や冗談が、過ぎましたか。反省します。

授業の終了

今日で、無事に慶応大学の授業(春学期)を、終えました。休講もあり、授業は合計10回でした。予定していた内容・項目は、すべて話すことができました。
私がこれまで受け持った講義や講演の聴衆は、大学院生、公務員、学者がほとんどです。学部生相手の授業は初めてなので、少し苦労しました。学生は、行政学を履修しているとしても、現実の行政を知りません。また、近過去の日本の歴史や出来事を知らないのです。それに新聞も読んでいませんし(おっと、それは授業開始時での調査なので、現在は私の授業を受けている学生は、毎日、新聞を読んでいると思います)。第一次湾岸戦争、バブル崩壊、BSE牛問題・・・といっても、それを解説することから始めなければなりません。
学生の反応は、学期の途中でアンケートを取り、確かめながら進めました。ほとんどの学生が(全員とは言えませんが)、居眠りすることなく、熱心に聞いてくれました。まずは、理解してもらえたと思います。出席者も大きく減ることはなく、最後の授業も、60数人が出席していました。なるべく実例、体験を基に話しました。脱線も、たくさん入れました。90分間、興味を持ってもらうのは、それなりの苦労が必要です。
成績は、出席とレポートです。力作が提出されることを、期待しています。
この授業を基に、この秋から連載をする予定です。乞うご期待。また、秋学期は、地方自治論を担当します。どのような話にするか、夏休みに考えます。本に書いてあるような話だと、面白くないですよね、しかし、自治制度の基本は、教える必要があるでしょうし。難しいところです。