カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

福島再生の会議

今日は午後に、福島県庁で、「国と県との協議会の幹事会」(第3回目)と「双葉郡8町村+県+国の会合の実務者協議」(第1回目)の、2つの会議を行いました。それぞれ、大臣・知事・市町村長が出席する親会議があるのですが、今日はその下に作った実務者の打ち合わせです。
前者では、福島再生特別法に基づく、「基本方針」の案をつくる作業を、しています。後者は、双葉郡8町村から出されている、いろいろな要求に応えるための作業を、開始しました。
国の職員も精一杯がんばっているのですが、地元の方からは、まだまだ現場の実情を知らない、早さが足りないと、お叱りを受けています。避難をされている住民のご苦労を考えると、私たちもなるべく早く、質問や要求に応えなければなりません。

地元から強く求められているのは、除染、健康管理、賠償の3項目と、双葉郡の将来像です。地域には、なお高濃度の放射線が残っている場所があります。そして、自然減衰を予測しても、当分の間、人が暮らすことができない=戻ることができない地域もあります。放射能汚染は、焼却しても減りません。それらを前提とした、対応をしなければなりません。現在の技術では直ちに解決できないこともあります。難しい課題が、たくさんあり、「一挙に解決」とは、いかないのです。しかし、どこに問題があるかがわかれば、手を打つことができます。また、直ちに対応できないことは、その旨を説明することができます。

もちろん、会議を開催することや、方針を作ることが目的や目標ではありません。そこで地元の意見を反映して、避難されている方が早く戻ることができるように準備することと、当分戻ることができない人たちの生活を支えることです。私たちができること、しなければならないことは、できることを一つずつ早急かつ着実に、誠実に進めることです。

福祉のまちの再建

津波被害地では、住宅や街並みの復旧が大きな課題です。もちろん、建物などの再建が鍵ですが、それだけでは住みよいまちにはなりません。各種のサービスが必要です。特に今回の被災地は高齢者が多く、医療や福祉が重要になります。ハードだけでなく、ソフトもあわせて考える必要があります。国土交通省が、市街地の復旧のためにいろいろと手を打っています。その中に「東日本大震災の復興における都市政策と健康・医療・福祉政策の連携及びコミュニティ形成に関するガイドライン」があります(概要本文)。コミュニティの復旧には、施設などの都市政策とサービスなどの医療福祉政策・商業政策の両方が必要です。

復興交付金第2回目

今日25日に、第2回目の復興交付金交付可能額を発表しました。今回は事業費で約3,200億円。申請額を上回る額を、配分します。一つには、来年度に予定される事業の一部を前倒しで配分すること、もう一つには効果促進事業の一定割合を配分したからです。もちろん、要望の全てを拾ったのではなく、熟度の低いものや他の制度があるものは、今回も対象としていません。
第1回目の配分の際には、いろいろとご批判も頂きましたが、新聞報道によると、宮城県知事は、「想定していなかった額が認められた。百二十点の回答だ」、
「復興庁、復興局が被災地のことを重く受け止め、われわれに寄り添ってくれたと肌で感じた」と、高く評価していただいたようです。

ところで、しばしば忘れられるのですが、被災地の復旧復興は、まずは復旧が先であり、原則です。復旧を上回る部分、それでは対処できない部分を、復興交付金で支援します。ちなみに、復旧には約3兆円の経費をつぎ込みます。

非常時の法制

5月22日の日経新聞経済教室に、佐々木毅先生が「巨大地震と法制。緊急時権限、内閣に委任を」を書いておられました。平常時と非常事態との政府の役割や権限の違い、大災害時の内閣とその下に置く組織のあり方について指摘しておられます。
東日本大震災の際に、地震津波災害を担当した被災者生活支援本部では、法的権限論は問題にすることなく、運用でほぼ対処できました(もちろん、対策のために新規立法や法令改正はたくさんしましたが)。また、内閣の下に置く組織としても、一つのモデルケースを示すことができたと考えています。ただし、原発事故災害については、この外の議論です。

ボランティア活動、求められる内容の変化

5月13日の読売新聞が、「被災地支援ミスマッチ。ボランティア、短期に集中。ニーズは生活密着型」を伝えていました。
・・東日本大震災のボランティア活動に、ミスマッチが起きている。大型連休中も県外から多くの問い合わせがあったが、受け入れた自治体は少ない。被災地では、大人数が必要ながれき撤去などの作業が減る一方、仮設住宅見回りなど地域に密着した活動が求められている・・

指摘の通りです。原発避難解除区域などは、がれきの片付けはこれからです。しかし、それが済んだ津波地震被災地では、現地で求められる活動内容が変わっています。
例えば、仮設住宅への支援(どのようなことが求められ、何をするかも含めて)、これから進める「まちづくり」(区画整理、高台移転など)に際しての住民意見のとりまとめへの支援などです。これらは、元気な個人が「はじめまして」と訪ねていっても、できる仕事ではありません。「単純肉体作業」でなく、組織的な活動と専門的知見が必要なのです。

個人ボランティアから組織ボランティアに、求めが移行しています。あるいは、個人ボランティアを組織し、その人たちを「使う」組織ボランティアが必要なのです。どのようにその動きを進めるか、専門家の知見を借りて検討中です。

他方、読売新聞16日の夕刊は、仮設住宅での孤立防止のため、自治体が行っている見守り活動が、住民の拒否にあっている例を取り上げていました。石巻市では、調査に回答した6,000世帯のうち3,300世帯(55%)が、見守りを希望しないと答えています。毎日のようにボランティアが訪ねてくることを、煩わしく感じるのだそうです。しかし、訪問拒否をしていた世帯で、2人が死んでいるのが見つかりました。