カテゴリーアーカイブ:災害復興

後期5か年事業、地方負担

2015年6月3日   岡本全勝

今日3日、復興大臣が「平成28年度以降の復興事業にかかる自治体負担の対象事業及び水準等」を発表しました
負担水準は、通常の地方負担額の5%としました。例えば、国直轄の道路事業では、国が事業費の3分の2を負担するので、通常の地方自治体負担は3分の1(33%)です。その5%にするので、実質負担は33%×5%=1.7%となります。通常の場合に比べ、はるかに(20分の1に)小さくなっています。これは、自治体や与党からの「自治体が負担できる範囲で」との申し入れを反映し、最低限の水準にしたものです。ちなみに、災害復旧事業は、通常、自治体の負担が5%です(ただし今回は、災害復旧事業は地方負担無しで行います)。
なお、5月12日公表したように、災害復旧事業、復興事業(元に戻すだけでなく新しくつくる事業など)で高台移転などの基幹的事業、原発事故由来の事業などは、今後とも全額国費(地方負担無し)で行います。規模が大きく予算がかかる事業はほとんどがここに入るので、地方負担を求める事業は範囲が小さいです。地方負担対象事業の範囲も、負担率も、かなり小さくなっています。
地方負担対象とするのは、これら基幹的事業以外で、全国的に他の地域でも行われる地域振興事業などです。被災地から離れた内陸部での、道路改良事業(地震で壊れたのでないもの)もあります。これらを、他の地域との公平性の観点から、地方負担を求めたのです(ただし通常の20分の1)。他の地域で同じ事業を行う場合、上に述べたように通常の負担割合になります。

社会科学による大震災の分析、2

2015年6月1日   岡本全勝

日本学術振興会(村松岐夫先生ほか)による東日本大震災学術調査プロジェクト「大震災に学ぶ社会科学」の第2回配本、第7巻『大震災・原発危機下の国際関係』が刊行されました。
内容は目次を見ていただくとして、今回の大災害では外国との関係、特にコミュニケーションが問題になりました。今後の危機管理には、国際関係的視点が不可欠なのです。被災者支援本部でも、国際班をつくりました。

第2章 外国支援の受け入れ
第3章 自衛隊と米軍の共同作戦の成果と教訓
第4章 日米協力の国内外への影響
第5章 対外的な危機時コミュニケーション
第6章 外国メディアの大震災・原発危機報道
第7章 外国人と外国政府の避難行動
第8章 放射能汚染の対外関係への影響
第9章 国際機関との関係
第10章 世界の原発政策への影響
第11章 結論:大震災・原発危機の対外関係への影響

このような観点からの分析は、このようなシリーズでなければ行われなかったでしょう。ありがとうございます。
シリーズ全体は、「社会科学による大震災の分析」(2015年5月6日)で紹介しました。

復興事業のコスト意識

2015年6月1日   岡本全勝

6月1日の日経新聞地域面「時流地流」は、山本朗生記者の「新・復興事業コスト精査を」でした。
・・・被災地にも一部負担を求める国と、全額国費の継続を求める地元自治体が対立するが、どんな結論になるにせよ、事業採算を高めるという点では、しっかり共同歩調を取る必要がある。
国が「集中復興期間」と定めた11~15年度は、いち早く被災地の生活インフラを立て直すために、適正なコストをじっくり精査できないのもやむなしという面があった・・・
として、次のような例を紹介しています。
宮城県多賀城市で建設中の工業団地。当初計画47億円が54億円に膨らみました。増加分7億円は国費で支援していますが、この多くを市が負担するのであったら、規模を縮小したかもしれないこと。
宮城県南三陸町の下水処理場。かつては370世帯の下水を処理していました。大半の世帯が津波被害で移転したのを機に稼働をやめ、町内の移転先では個別の浄化槽で処理してもらうことになりました。全額国費で再建する手もありましたが、佐藤仁町長が「下水管敷設や維持にコストがかかりすぎる」と断念した例。
原文をお読みください。

朝日新聞社説、復興事業地方負担

2015年5月31日   岡本全勝

5月31日の朝日新聞社説は「復興と負担―国は地元と協議尽くせ」です。
・・・復興の進展と事業内容に応じて、地方にも段階的に負担を求めていくことは必要だろう。
復興予算は当初5年間で26兆円を超え、次の5年でも6兆円程度が必要になる見通しだ。当初5年分は所得税などの臨時増税を中心に手当てしたが、次の5年分は毎年度の剰余金や国の資産売却でまかなえそうだという。とはいえ、国民による負担である点は変わらない・・・
・・・事業を一つひとつチェックすることは、負担を抑えつつ効果をあげるためにも欠かせない。
震災が起きた11年、政府が当初10年間の予算枠を決めた際には、阪神・淡路大震災の例などを参考にしながら、ある程度「見込み」で判断するしかなかった。それが被災地以外でのさまざまな事業への「流用」や、被災地での過大な事業につながった面は否めない。
震災から4年がたち、より確実な見積もりと検証ができるはずだ。状況の変化に合わせて見直しが不可欠な事業もあるだろう。不断のチェックは予算編成と執行の基本である・・・

JR仙石線再開

2015年5月30日   岡本全勝

5月30日、JR仙石線(仙台と石巻を結ぶ鉄道)が、復旧しました。東松島市野蒜地区では、沿岸部の市街地が津波で壊滅したので、高台に街を移す工事と一緒に、線路も移設しました。大工事です。街の建設工事はまだ続いていて、先に駅ができました。宮城県山元町や福島県新地町でも、鉄道と駅を内陸に移す工事が続いています。