今日11月11日、復興推進委員会を開催しました。取り組みと課題を報告したほか、大臣から観光に力を入れたい旨の発言があり、委員からもぜひ進めるべきだとの意見が相次ぎました。日本への外国人観光客が急増していますが、東北地方は増えず、ある人の言葉を借りれば「一人負け」の状態です。復興のためにも、地域の活性化のためにも、訪問客を増やす必要があります。これまでは、住宅やインフラの復旧などに重点を置いてきましたが、5年を迎えるいま、次に進める段階に来ています。
また、来年で5年の節目を迎えるので、復興の進捗を全国に向けて発信するべき、国が前面に立って進めて欲しいとの意見もあり、取り組むことにしました。
定例の資料を更新したので、ご利用ください。また、パンフレットを新しくしました。
カテゴリーアーカイブ:災害復興
社会科学による大震災の分析5、その2
日本学術振興会「大震災に学ぶ社会科学」第2巻『震災後の自治体ガバナンス』第4章、伊藤正次先生の「復興推進体制の設計と展開」から。
・・・復興庁が現に発揮している「司令塔」機能とは、復興に必要な行政資源を一元的に管理し、関係府省に対する強力な総合調整権限を発動しながら復興事業を主導していく「統率型」の機能ではない。むしろ復興庁は、関係機関との人的交流に基づいて柔軟な組織体制を模索しながら復興を推進する「連携型」の機能を担っている。復興局の「ワンストップ」対応も、そこに相談すれば被災自治体の要望がすべて満たされるといった類いのものではなく、被災自治体の側面支援を行う場を提供し、課題を抱える現場に手をさしのべることを企図したものである。
こうした期待と現実のギャップこそ、復興の「遅れ」を批判する議論の根拠となっているのかもしれない。だが、仮に復興庁が「司令塔」機能と「ワンストップ」対応を字義どおりに追求するならば、「市町村主体の復興」や県レベルでの復興事業の調整・支援は後景に退かざるを得ない。地方自治の尊重と復興の加速化という2つの課題に応えるには、復興庁が、自治体を含む関係機関と連携しつつ、関係機関間の連携を取り持つことによって、その主導性を発揮していくことが求められているように思われる。いわば多機関連携のハブ機能を果たす復興庁という姿こそ「行政の現実」(牧原(2009))を踏まえた復興推進体制の望ましいあり方なのではないか・・・(p117)
復興庁を設計するに際しては、任務と権限や内部組織のあり方のほか、内閣・各省との関係、職員集めなどが課題になりました。いかに理想的な組織を考えても、それを動かす職員が伴わないと、仕事は進みません。高台移転、土地区画整理、道路や農地の復旧などの専門家は各省にいます。というか、各省にしかいないのです。民間には、その専門家はいません。
各省から専門職員を吸い上げて復興庁ですべてを行うとすると、各省の人材が不足します。そして各省は、被災地以外での事業も抱えています。そこで、各事業の実施は各省に残しつつ、復興庁に専門職員を派遣してもらい、各省に指示をし(その権限をもらいました)、現場との調整をするという機能分担をしたのです。そのために、各省各部局からは、事業に精通した精鋭を送ってもらっています。これでうまく回った、そしてこれしかなかったと思います。
社会科学による大震災の分析、5
日本学術振興会(村松岐夫先生ほか)による東日本大震災学術調査プロジェクト「大震災に学ぶ社会科学」の第5回配本、第2巻『震災後の自治体ガバナンス』が発刊されました。被災自治体の対応や復興事業の分析がたくさん載っていて、自治体関係者には、特にお薦めです。
そのほかに、
第4章 復興推進体制の設計と展開(伊藤正次・首都大学東京教授)
第5章 被災自治体に対する政府の財政措置(北村亘・大阪大学教授)
の分析もあります。ありがとうございます。
経済界の人材育成支援
経済同友会の広報誌「経済同友」10月号は、「震災復興支援で持続可能な地方を創る」を特集しています。同友会は、NPO法人アスヘノキボウが行っている女川町の人材留学プログラムを支援してくださっています。簡単にいうと、被災地の人材を大手企業が研修に受け入れてくださるのです。地方の小さな企業では、なかなか得がたい経験です。詳しくは、座談会(p3~6)とその後についている研修の概要(p7~14)をご覧ください。この仲立ちをしているのが、NPOのアスヘノキボウです(ホームページ)。このほかにも、復興庁が主催しているビジネスコンテストの入賞者も、研修に受け入れてくださっています(p15~16)。
企業による、持っている能力を生かした新しい形の支援だと思います。ありがとうございます。
被災者支援
「被災者支援ニュースレター」第12号が、発行されました。読者は、被災者支援関係の団体・職員(被災3県、市町村、社会福祉協議会、相談員・復興支援員、NPO等支援団体など)です。復興庁のホームページでも、読むことができます。被災者支援総合交付金等に関する説明会の様子が載っています。現場でこの交付金を使う方との意見交換です。この交付金は、住宅・生活再建支援、コミュニティ形成支援、心の復興、コーディネート事業、見守り・相談支援などを含んでいます。交付金制度解説よりわかりやすいですね。
他方で、このような意見交換を通じて、制度を使い勝手の良いものに進化させています。これまで政府がやったことのない分野ですので、試行錯誤を重ねて、ここまで来ました。復興庁の担当者を含め、関係者の方々にお礼を言います。
後ろのページには、「被災者が作った被災者のための地縁団体石巻仮設住宅自治連合推進会、石巻市」と「複数の団地をつなぎ、交流を深める取組NPO法人「みんぷく」、会津若松市」の活動が紹介されています。参考にしてください。