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地方行財政-三位一体改革

三位一体改革50

20日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」15回「新潟会議」を載せていました。国から意見を求められ、補助金廃止案を打ち返した際の議論の検証です。
中央教育審議会で義務教育費国庫負担金一般財源化議論が続いています。私の主張は、何度も書いたとおりですが、記者さんの問い合わせが多いので、改めてかいつまんで、私の意見を述べましょう。もっとも、政治学的な観点からの意見です。
1 審議の場の設定間違い
①中教審は教育内容を議論する場
まず、中教審で「教員の給料の財源」を議論することが、間違いです。中教審は、教育の内容とか質を議論する場所でしょう。教育条件なども議論することは良いと思いますが、今回は教育条件を議論しているのではありません。教員の給料を減らそうとかを、議論していないのです。その財源を議論しているのですから。そして、総務省も地方団体も、一般財源化しても、ちゃんと財源を確保すると言っているのです。
義務教育に関しては、もっと議論しなければならない重要なテーマがあるでしょう。それは教員の給与の財源でなく、教育の質の低下であり、学級崩壊などです。重要なテーマを放っておいて、優先順位の低いことを議論していると、国民はあきれてしまい、審議会への信頼が落ちると思います。
②審議会は、官僚の隠れ蓑
次に、中教審は文科大臣の諮問機関です。大臣は「国庫負担金堅持」を言っておられます。大臣に選ばれた委員が、それに反する答を出すと思えません。会長も早い段階で、「負担金堅持」を言っておられました。
教科の内容など専門的なことについて、専門家の意見を聞くのは、まだ意味があります。しかし財源は、大臣が決めればいいことです。財務大臣と総務大臣と協議すればすむ話です。審議会は、責任の所在がはっきりしない「隠れ蓑」であり、政治主導の対極にあるものです。
この問題を中教審で議論することが、間違っています。政治的な議論の過程でこうなったのですが。まあ、あまりにひどい過程を見せると、国民が「審議会はだめだ」と勉強する機会になるとはおもいます。委員の方には、申し訳ありません。日本の政治を、官僚主導から政治主導へ転換する、教材です。
2 議論の内容の間違い
次に、一般財源化反対論者の議論は、「交付税にすると、将来総額が減るので心配だ」「一般財源化しても、自由度は高まらない」に集約されるようです。
①地方税と交付税より、国庫負担金の方が先細り
地方財政より国家財政の方が赤字幅は大きく、より心配なのは国家財政なんですよ。財務省も、文教費を削りたいと思っているのですから。
②一般財源化しても教育の質は落ちない
「一般財源化しても自由度が高まらない」という主張に対しては、「じゃあそれでも良いですよ」と答えましょう。自由度を高めるかどうかは、文科省が縛りをゆるめるかどうかにかかっています。縛りをゆるめたくない文科省が言うべきことじゃないですよね。
それよりは、「高校は国庫負担金なしでうまくやっている」という主張に対する、反論を聞きたいものです。
一般財源化しても、教育の質は落ちません。国庫負担金を配っている文部官僚は、数を減らすことができます。その人たちは、お金ではなくもっと教育の内容を考えることができるようになるのです。一方、地方団体の職員も、補助金申請作業がなくなり、減らすことができます。
(失業のおそれ)
20日に香山総務次官が「三位一体改革のために、何が何でも国庫負担金の一般財源化を実現したい」述べたことに対して、文科省の課長がコメントを発表した、との報道(21日付読売新聞、日経新聞)がありました。以下、記者さんとのやりとりです。
記:他省の意見が自分の考えと違うからといって、いちいちコメントを出すのですかね。
全:うーん、そんなことしていたら、経済財政諮問会議の原案や予算原案がでたら、各省は何百もコメントを出さなければならないね。各省の審議会も、他省庁の気にくわない意見も言うしね。忙しいぞ。
記:また、次官の意見に対し、課長がコメントを出すのですか・・。
全:聞いたことがないね。僕が、よその省の次官の記者会見についてコメントを出したら、記事にしてくれるかい?
記:考えときます(笑い)。まあ、国庫負担金を配ることが仕事の課ですから、一般財源化されると失業するからでしょうがね。(6月21日)
21日に、政府税制調査会が「所得税と個人住民税に関する報告書」を出しました。その中で、「三位一体改革による国から地方への本格的税源移譲を、2006年度に行う必要がある」と明記しました。着実に準備が進んでいます。
21日には、「骨太の方針2005」が閣議決定されました。三位一体改革については、特に目新しいことはありません。地方6団体は「全体として評価できる内容だ」と好意的です。
22日の読売新聞では、坂田真記者が「地方の自立ー課題突きつけた骨太の方針、住民が納得する具体案を」を解説していました。(6月23日)

三位一体改革49

7日の読売新聞には、青山彰久解説部次長が「中教審、議論迷走」「義務教育国庫負担金で対立、公立校活性化の視点必要」を書いておられました。
「これまでの審議で見ると、論点の一つは『全国的な教育の水準と質をどう確保するか』であり、もう一つは『確実な財源保障をどうするか』になってきた」「だが、この(財源)論点だけでは、『財政再建に迫られる国の負担金制度と、改革が必要な地方交付税制度のどちらが安定的か』という水掛け論になる可能性もある」
「多くの国民が知りたいのは、どちらの方法なら、学力低下や不登校などの様々な問題を抱える公立小中学校がよくなり、現場の学校が活気づくか、という点だろう」
「地方側にしても、分権を言うなら、国庫負担金を地方税に変えるとどんな教育が今以上に実現するのか、最終的に市町村や学校の権限拡大につながる『都道府県内の分権』の制度設計案まで示されなければ、観念的な主張になりかねない」
指摘の通りです。
1 財源議論なら、一般財源化しても問題ない。いいえ、一般財源化すべきです。
負担金護持派の主張は、「交付税総額の先行きが不安」ということです。でも、かつて解説したように、地方財政より国家財政の方が赤字である=国家財政(国庫負担金)の方が心配なのです。
この主張なら、もし水掛け論になっても、国庫負担金を廃止した方がよいのです。なぜなら、国庫負担金をもらうために、あるいは配るために、膨大な人件費と事務費がかかっているのです。負担金制度を廃止すれば、それだけで大幅な経費削減になるのです。
もっとも、文科省は「職員がいらなくなる」から、一般財源化に反対しているのすが。
2 負担金がなくても、教育水準は変わらない。
どうやら、この点は理解されてきたようです。国庫負担金がない高等学校が、問題なく運営されていることについて、中教審の委員の方々は反論されませんね。
3 地方は、国庫負担金がなくなったら、今以上に教育がよくなることを示すべき。
そうです。一般の人が、三位一体改革を理解しにくいのは、「教育がこれだけよくなりますよ」という、説明が足らないからでしょう。
もっとも、1で述べたように、教育が今まで通りであっても、事務費と人件費が減って、日本にとってはプラスなんです。(6月7日)
月刊「地方財政」(地方財務協会)6月号に、遠藤安彦元自治事務次官の講演録が載っています。前に紹介した矢野浩一郎さんの講演の続きです。バブル期前後から現在までの交付税の歴史を語っておられます。交付税に関心のある方は、必読です。議論のある事業費補正についても、拡大のいきさつなどを知ることができます。私は、交付税課補佐として、財政担当審議官である遠藤さんにお仕えしました。
また、同号には、青木宗明神奈川大学教授が、フランスの地方分権を日本と比較して考察しておられます。「ともに単一制の国家形態をとりつつ、中央集権と官僚主導の代表国家、ワールド・チャンピオンとして名を馳せた末に、今や地方分権に向けた改革を進めている」「ところが、内面を凝視すると、両国の状況はまったくといって良いほど異なっている」「フランスからみて、昨年夏に我が国で繰り広げられた補助金削減をめぐる騒動はまったく理解できない。一国の総理大臣から要請され、地方が苦労の末に削減案を取りまとめたにもかかわらず、最終的には地方の意に反した政府決定がなされるというのは、フランスでは想像すらできない事態なのである」。
その他、井手英策横浜国大助教授の「義務教育費国庫負担金制度をめぐる政策論争史」、平嶋彰英地方債課長による「最近における憲法論議と地方自治、地方財政」なども載っていて、内容が濃いです。(6月13日)
「骨太の方針2005」の策定作業が、行われています。昨年この時期には、「3兆円税源移譲目標を書き込むか」が大争点になりました。また「補助金削減案は地方団体に考えてもらう」という「小泉・麻生ウルトラC」が提案され、すごく盛り上がりました。去年と違い、今年は地方財政・三位一体改革については、争点になっていません。
記者さんたちが、残念そうに「今年は静かですね」と、愚痴を言いに来ます。彼らは「記事を書いてなんぼ」ですから、活躍した去年が懐かしく、今年は力のふるいようがないのです。
今年が静かなのは、三位一体改革の目標数値は昨年すべて決めたこと、また18年度までの「全体像」を去年11月に政府与党で決め、実行中だからです。もちろん、全体像には積み残し(残る6,000億円の補助金廃止、義務教育国庫負担金の扱い)がありますが、これも別途作業がされているので、今回は新しく書き込むことがありません。
もっとも、三位一体改革は、地方団体が「口やかましく騒がないと」前に進みません。静かになって、先送りできたら、守旧派の勝ちですから。その点について、記者さんたちはみんな心配してくれています。「こんなに静かだと、火が消えますよ」。「6団体は何をしているんでしょうか」と。(6月14日)

三位一体改革48

5月30日の産経新聞は「義務教育費国庫負担、三位一体改革に赤信号」を解説していました。「最大の焦点である義務教育費国庫負担金制度をめぐって、存続を求める文部科学省と自民党文教関係議員の巻き返しが功を奏しつつあるからだ。また生活保護費と児童扶養手当の見直し問題でも厚生労働省が押し気味で、いずれも地方側は後退を余儀なくされている。」
毎日新聞は、「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第13回「義務教育論争、国庫負担はなぜ必要?」を載せていました。2004年7月15日の知事会議での義務教育国庫負担金をめぐるやりとりです。(5月30日)
1日の日本経済新聞は、「補助金削減、自治体、足並みに乱れ」「義務教育費巡り溝」を書いていました。その中に「地方案実現率わずか5割」として、各省別の金額が出ていました。拙稿「続・進む三位一体改革」では資料16として、各省ごとに、地方案と、各省回答と、政府与党合意の金額を3つ並べておきました。こちらの表の方が、おもしろいですよ。ちなみに、地方案は3.2兆円、実現したのは1.1兆円ですが、各省回答はたったの810億円でした。これが、日本の官僚の実態です。
骨太の方針で、3兆円の税源移譲を閣議決定したのですから、各省は補助金の一般財源化を拒否するなら、代案を出すべきでしょう。去年の秋には、官房長官が繰り返し、各省大臣に指示を出しました。
また、公共事業補助金の一般財源化について、財務省は反対だと記事は伝えていますが、それなら別の補助金の一般財源化を提案しないと、責任は果たせませんよね。
サボタージュする官僚に対し、内閣がどのような政治主導を発揮するのか、見守りたいと思います。
ところで、中教審を始め、義務教育費国庫負担金の一般財源化に反対する人が、その一番の根拠に「交付税は借入金が多く、今後交付税が減らされ、義務教育費が十分確保されないおそれがある」ことを挙げられます。
でも、これって、一方的な指摘ですよね。国と地方の財政を比べれば、国の方がはるかに悪いのです。借金はフローでもストックでも、国の方が多いです。「プライマリーバランスは地方の方が良い」という、攻撃すらあるのですから。
「今後、交付税が減らされるおそれがある」と主張するなら、「交付税より財政状況の悪い国家財政が削減され、義務教育国庫負担金も交付税以上に減らされるおそれがある」と、主張すべきでしょう。
「国庫負担金だから削減はないだろう」という考えは甘いです。現在でも、不交付団体に対する義務教育費国庫負担金はカットされています。また、これまで国は、財政難を理由に補助率カットを行ってきました。
もっとも、この理由での反対には、反論が簡単です。「じゃあ、財源さえ確保されれば、一般財源化で問題ないんですね」と。この反対は、分権論や制度論には何にも応えていない、いわば逃げですから。(6月1日)
4日の朝日新聞社説は「三位一体改革、決着への論議が始まった」でした。「ことし、まず決着を迫られるのは、この6千億円の中身だ。地方は公共事業への補助金の廃止を求めるだろう。福祉など使い道が限られている負担金に比べ、廃止されれば地方の裁量枠が広がるからだ。義務教育の国庫負担も、廃止か存続かを決めなければならない。」
「三位一体改革の二つの潮流のうち、まず分権を進めて効率化を図り、その結果として財政再建を実現させていくのが筋である。昨年までの論議が混乱した一因は、この道筋が共通認識になっていなかったからだ。今年はまず国と地方で、改革の順序を確認すべきだ。」
「昨年、最終局面で沈黙した小泉首相と、新しい知事会長の麻生渡福岡県知事の責任は重い。」
よく整理してある主張だと思います。このような、マスコミの監視と後押しがなければ、分権は進みません。ありがとうございます。どんどん、注文を付けてください。(6月4日)
6日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘いー地方分権は進んだか」14回を載せていました。
月刊「自治研究」(第一法規)6月号に、岡崎浩巳総務省官房審議官(自治税務局担当)が、「平成17年度の三位一体の改革と税源移譲」を書いておられます。この間の税源移譲に関する議論とあわせ、現在、所得譲与税などで暫定的とされている「移譲」を、実際に地方税とする場合の課題などについても整理されています。(6月6日)

三位一体改革47

18日の読売新聞は、青山彰久記者が「三位一体、税源移譲・交付税改革、見えぬ決着点。最終年度に問われる小泉政権の力」を解説しておられました。
「改革のヤマ場は越えたかのような空気が漂う。だが、補助金を削って税源を移し、地方の自由を広げて歳出構造を変え、交付税をスリムにするのがゴールとすれば、現状は遠い」。
ご指摘の通りです。(5月18日)
18日の経済財政諮問会議で「三位一体改革の議論」が再開されました。麻生大臣は、「地方税財政改革の推進」を説明されました。
19日の日本経済新聞は「三位一体改革攻防再び」「義務教育争点に」を書いていました。「『6000億円の税源移譲に結びつく補助金改革を確実に実施すべきだ』会議では麻生太郎総務相がこう述べ、公共投資関連の施設設備の補助金などを削り税源移譲するよう主張した」。朝日新聞は「財務・総務省対立再び」「地方交付税改革、抑制・維持、深い溝』と書いていました。
財務省は、地方の歳出削減ばかり要求していますが、平成13年度(小泉内閣発足時)を基準に取ると、平成17年度では、国の一般歳出は1.4兆円削減なのに対し、地方の一般歳出は6.6兆円もの削減です。しかも、国の予算は、この間の国庫補助金の一般財源化での減も含めてです。これを考慮すると、横ばいです。交付税総額も3.4兆円削減しました。この点は、拙稿「続・進む三位一体改革」をご覧ください。(5月19日)
18日の経済財政諮問会議での麻生大臣が説明した「地方税財政改革の推進」のうち注目すべきは、情報公開です。今までも各団体の財政状況や職員給与の状況は公表されていましたが、住民によりわかりやすくするため、全団体について同じ様式で公開することを進めます。インターネットで見ることができます。これによって、他団体との比較が簡単にできます。「地方税財政改革の推進」のp10です。(5月21日)
月刊「地方財政」5月号(地方財務協会)に、坪井ゆづる朝日新聞論説委員が「3年目の三位一体改革、民意の追い風が要る」を書いておられます。
「だれのための何の改革なのか、がはっきりしない。改革がうまくいけば、主権者である国民、住民が恩恵を受けるはずだが、その具体的な中身がなかなか見えてこない。だから、論議が3年目を迎え、いよいよ決着が図られるというのに、住民の生の声はほとんど聞こえない」
「国民、県民、市民といった、さまざまな立場を併せ持つ住民が主役である以上、個々の自治体が担う役割は大きい。住民がそれぞれの場面で主権者として発言し続けなければ、この改革は進まない。今こそ民意をまとめ、それを追い風にする工夫が自治体に求められている。」
また、矢野浩一郎元自治省財政局長の講演録「高度経済成長から安定成長へ~地方交付税の成長と質的転換」が載っています。交付税の歴史に関心のある方は、是非お読みください。昭和30年代から50年代の間の、交付税改革の歴史、交付税が果たした役割などが、コンパクトにまとまって、またポイントが的確に解説されています。長い論文より、わかりやすいです。
矢野さんは、交付税創設期、充実期、投資的経費算定改革期に担当された方です。また、その後も財政局幹部として、交付税に携わってこられました。私もご指導を受け、矢野さんを「交付税の生き字引」と尊敬しています。(5月23日)
25日の毎日新聞社説は、「三位一体改革-地方分権推進が出発点だ」でした。「既得権益や省益をからませてはいけない。地方財政改革といいながら、自らの権限を維持しようという思惑が見え隠れするのでは、住民自治に反する。」
「その観点からすれば、今秋までに中央教育審議会で結論を得ることになっている義務教育費8500億円の扱いは、補助金削減、税源移譲が当然である。文科省や自民党文教族の主張は、義務教育には国が責任をもつべきだという論理のもと、地方への関与を継続しようという意図が明白である。」(5月25日)
25日に中央教育審議会義務教育特別部会で、国庫負担制度の本格的な議論が始まりました。今朝の各紙は、大きくその様子を伝えていました。「制度堅持派と廃止を主張する地方側との間で、激しい応酬となった」と。(5月26日)

三位一体改革46

22日の日本経済新聞は、「三位一体改革最終攻防・下」を解説していました。朝日新聞は「失速小泉改革・中」で、官僚任せでは改革は進まないことを解説していました。その中で、三位一体改革が取り上げられていました。(4月23日)
25日の毎日新聞は、連載「知事たちの闘い-分権は進んだか」第8回「茹でガエル」を載せていました。「族議員や官僚が既得権益にしがみついているから改革が進まないとよく言われるが、当の本人らにその認識は全くない。中央による補助金行政は国民のためだと、大真面目に反論する。官僚のこの真面目なかたくなさが、改革遂行にはやっかいなのだ」(4月25日)
28日に、今年初めての「国と地方の協議の場」が開かれました。麻生大臣の「残り6,000億円の補助金削減について、地方6団体が考えを示していただければ、参考になる」との発言に対し、麻生渡・全国知事会長は、「地方6団体が昨年まとめた補助金廃止案を元に、6,000億円分の削減策を7月までにまとめ、政府に提示する」と応えました。
「地方団体が案を考え、政府が実行する」という仕組みが、今年も機能を発揮しそうです。(4月29日)
3日の朝日新聞は、「国vs地方攻防再燃へー連休明けに協議本格化、見えぬ税源移譲」を大きく解説していました。「地方側は『政府も与党も三位一体改革への熱意が冷めている』との危機感を背景に、補助金削減の具体案を突きつけて、政府の対応を促そうとしている」。
そうです。与党側は昨年秋の「疲れ」が残っています。郵政民営化という大きな争点もあります。霞が関は、このまま冷めたままで逃げおおせたら、勝ちです。地方団体が熱くなるしか、進まないのです。マスコミや国民の理解を得て、政治家を動かすしかないのです。
第2期についての「足並みの乱れ」も、指摘されていました。ありがとうございます、内田記者。
麻生大臣と麻生知事会長の写真が並んで載っていました。余談ですが、お二人は親戚ではないとのことです。(5月3日)
5日の読売新聞は、「中央vs地方再燃、三位一体残り6000億円どう削減」「連休明け議論本格化」を書いていました。3日の朝日新聞といい、この読売の記事といい、論点は絞られています。
①「骨太の方針2005」にどのような記述をするか
②義務教育国庫負担金と生活保護費負担金の一般財源化
③残る6000億円の内容決定、です。(5月6日)
3日の毎日新聞は「知事たちの闘いー地方分権は進んだか」第9回を載せていました。「補助金返上、地方から言い出そう」。2003年7月の、知事会議の記録です。(5月6日)
9日の毎日新聞は、「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第10回を載せていました。16年度予算で地方交付税が大きく削減されたことに、地方団体が怒ったことについてです。
月刊「地方財政」2005年4月号では、神野直彦東大教授が「地方財政改革とセーフティ・ネットの張り替え」を書いておられます。その中で、所得税から住民税へ3兆円税源移譲することに続き、次のようなことを主張しておられます。
①消費税から地方消費税へ3.7兆円(税率で1.5%分)移譲。これで、消費税率は2.5%、地方消費税率も2.5%になります。
②法人住民税のうち1.7兆円を国税とし、交付税財源とする。
③その代わり、交付税財源となっている消費税のうち1.7兆円を、地方消費税とする。
このようにして、国から地方への税源移譲と、地域間格差の是正をしようという構想です。詳しくは原文をお読みください。なお、4月号にはその他の研究者の論文も載っています。(5月9日)
14日の毎日新聞は「三位一体、来年度分調整に着手」を解説していました。「義務教育、生活保護で攻防」「3兆円を目標とする地方への税源移譲は残り6000億円分が実現できるかが焦点。全国知事会など地方は同額の補助金削減案の策定に着手、見返りとして税源移譲を実現するよう求めている・・・」
16日の毎日新聞は連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第11回を載せていました。「交付税って何?」です。
一般の方には、なじみがないですよね、地方交付税は。そんなに難しい制度ではないのですが。わかりやすく説明してこなかった、私たちが悪いのでしょうか(元交付税課長の反省です)。(5月16日)