カテゴリー別アーカイブ: 三位一体改革

地方行財政-三位一体改革

三位一体改革36

【新聞の論調】
政府・与党案に対する各紙の論調は、厳しいものが多いようです。整理してみると、次のようなものでしょうか
①「3億円に達せず」=補助金削減も、税源移譲も3兆円に達していない。
②「あいまい、先送り」=義務教育費の扱いなど、未確定の部分が多い。
③「地方は不満」「族議員と省庁の抵抗」=政府の依頼により地方が提出した案が、かなり骨抜きにされたこと。それは、族議員と官僚の抵抗による。
④「数字あわせ、分権効果が見えない」=今回の決定が制度や理念を議論せず、目標数字達成を急いだ。
⑤「総理の姿見えず、三方一両損」=各省・与党との妥協を優先し、地方や国民の期待した改革になっていない。その際、総理のリーダーシップが見えなかった。
このうち①②③は、ご指摘の通り。④は昨日書いたとおり、当たっていません。理念や効果は、はっきりしています。効果はすぐにはでてきませんが。今回は、そのような戦略を取ったのです。そうでないと進まないでしょう。⑤についても、昨日解説しました。
①~③については、ごもっとも。地方案から見ると後退が目立ち、批判されることは多いでしょう。そして、今回達成しなかった部分を批判し、さらに進めることは必要です。なれど、今回の決定を価値が無いかのように書くのは、いかがなものでしょうか。昨日書いたように、中期的に見ると良く進んでいるのです。
27日の記事の中でも、読売新聞青山彰久記者による解説は、その点を良くとらえています。「10年を振り返れば、『よくここまで来た』という声があるかもしれない」と。
さて問題は、総務省の主張と地方団体の案と新聞の論説だけでは、分権改革は進まないということです。分権は、日本の統治構造・政治システムを変えることです。そして、その決定権は、現在の政治システムが握っているのです。それは政治家であり官僚です。
既存の統治構造・政治システムを変えるには、革命か政権交代が必要でしょう。自民党と官僚が、それをできるか。そこに「自民党をブッ壊す」という、小泉改革の持つ意味があります。
その点については、各紙の批判は「ないものねだり」でした。今回の三位一体改革は、日本の政治システムの改革過程でもあるのです。独裁者のいない民主主義で、既得権益グループが政治システム改革を達成できるか。その壮大な実験をしているのです。
この点についても、青山解説は正確に指摘しています。「補助金を要求するだけだった地方6団体側は改革に向けて政治的に結束する変化はあったが、各省・与党側に集権型から分権型に転じるという合意は十分にはなかった」。
もっとも、新聞が果たした効果も、正当に評価する必要があるでしょう。振り返ってみると、三位一体改革がここまで進んだのには、マスコミの後押しが、大きな役割を果たしたと思います。この秋には、連日この問題を大きく取り上げ、また日本の構造改革のためには、分権・三位一体改革が必要であることを、書いていただきました。これは、感謝しなければなりません。
いくつか「各省の御用記事」もありましたが、大きな論調の流れの中では、取るに足らないものでした。それは、「各省の操作によるもの」が見え見えで、「笑われるだけ」。取り上げたデスクが評判を落とすだけ、の結果になりました。
三位一体改革は、この秋ほぼ唯一の政治争点となり、政界と論壇を独占しました。私は、そのことの逆効果=あまりに大きな問題となって、もみくちゃにされ良い結果がでないことを恐れていました。一部は当たりましたが、杞憂でした。政治家、識者、国民が、分権を勉強する、また日本の政治過程を勉強する、絶好の機会になりました。
省庁と族議員の抵抗が大きいこと、しかし理屈はないこと、分権を進めることは重労働であること、裏返って日本はいかに中央集権であるかということ、地方団体の気概と改革を進める際の大きな主役になることなどなど。続きはまた今度。(11月28日)

三位一体改革35

「政治過程・政局論」
(政局論)
今回の決定過程には、「小泉総理裁断」がありませんでした。総理は「地方案を真摯に受け止めるように」と指示を出しつつも、「私の出番がないように」ともおっしゃったようです。「与党と政府との調整がつかず、総理の裁断がある」というのが、私の予想だったのですが。外れました。
その分、汗をかかれたのが政調会長と4大臣、特に麻生大臣でしょう。「麻生大臣が孤軍奮闘」と、いった方が正確でしょうか。それでもここまで進んだのは、6月に「3兆円を税源移譲。秋までに全体像を決定」を閣議決定していたからです。これを、反故にはできません。
さて、これまでの小泉改革のうち、「総理裁断(独断)」だといわれているのが、9月10日の郵政民営化基本方針決定です。一方、「党に委ねた」のが、道路4公団民営化でしょう。前者は、思いきった改革を決定できますが、その後の具体化過程で不安があります。後者は、「改革は骨抜きされた」との批判があります。さらに、総理の指導力が疑問視されました。
今回は、その中間にあると思います。党の手続を尊重し、また政府内でも協議を連日、しかも深夜まで続けました(それぞれ1か月にわたる協議)。官房長官と麻生大臣が、森前総理を訪ねるということまで。そして、政府・与党の決定にこぎ着けたのです。
「五分五分」という形を取っていますが、内容は基本的には地方案を採用しています。党との間で難しい項目は、方向を示し先送りにしてあります。顔を立てつつも、来年に実行すれば実現します。
今回のような手続が良いのか、それともある段階で総理裁断を示し、総理の存在感を見せた方がよかったのか。特に、党内の「抵抗勢力」との関係では。難しいところでしょう。
(政治過程論)
そのような政治勢力のせめぎ合い、総理の指導力論を含みつつも、改革は進みました。
総務省による争点(補助金廃止・税源移譲)の提案、総理による争点(三位一体改革)の採用、経済財政諮問会議の場、目標数値と期限の設定、地方への原案作成依頼、政府内と党内の調整、といった「過程」と「面白い政治学の対象」を見せてくれました。この部分は「進む三位一体改革ーその評価と課題」に詳しく書きましたので省略します。その続きは、続編で書きます。
「理念無き数字合わせ」といった批判を書いている紙もありましたが、それは全体像、大きな流れを見ていません。「補助金廃止・税源移譲で分権を」という理念は、はっきりしています。それを実現するのに、これだけの手順がかかっているということです。数字と期限を決めて、少しずつ進めるしかないのです。それは、日本の政治過程・政治主導の改革でもあるのです。
嫌になりますね、お定まりの批判をして。こんな批判をしていても、何も進みません。こんなことを書く記者さんには、もう少し今回の過程を勉強してほしいです。今回の三位一体改革が、日本の政治過程の改革であることを。前掲の拙稿を読んで下さい。
この3か月で、誰が抵抗勢力であるかが、よく見えました。ある記者さんに言わせると、抵抗勢力の第一は財務省、第二は厚生労働省だったそうです。総理の指示に抵抗し、地方への権限移譲に最後まで抵抗し続けているからだそうです。文部科学省は「教育を考えていない」というのが、彼の評価です。
環境省は「補助金廃止が少なくなって、省の解体が避けられた」とのこと。補助金がなくなると、省庁はなくなるのでしょうかねえ。官僚がどちらを向いているかが、よくわかりました。悲しいことですが。
「総括」
さて、まだまだ書くことはあるのですが、それは別途書くこととして。
私としては、「よくここまで来たな」というのが実感です。数年前では、考えられなかったことです。しかし、まだ予算査定過程に残されたこと、来年の決定に残されたことがあります。そして、その次の「三位一体その2」と「財政再建」も。
また、日本政治論としても面白い現場に立ち会えたな、と喜んでいます。今日の新聞各紙の1面を見て、感慨無量のものがあります。「地方財政」とか「地方交付税」という文字が、これだけ大きく取り上げられています。
国民の多くは三位一体改革を正確には理解していない、という世論調査もあります。しかし、中央集権が地方分権に変わりつつあること、また改革しなければならないということは、多くの方に理解していただけたと思います。次なる改革にも、着手しなければなりません。
(続きは、月刊『地方財務』に「続・進む三位一体改革」として載せる予定です。)(11月27日)

三位一体改革34

各紙が連日、推測による(一部は誘導による)記事を載せていますが、紹介は省略します。24日の日本経済新聞「経済教室」は、梶原拓知事会長の「税源移譲で財政再建へ」を載せていました。なかなかの学術的論文です。同じく「ニュースがわかる」は、「都市財政悪化止まらず」を解説していました。
関西大学の林宏昭先生が、関西社会経済研究所で発行しているヌーベルエポックという小冊子に、「住民が支える地方行政へ-官対官の三位一体改革」を書かれました。(11月24日)
関係閣僚の協議が、続けられています。24日は深夜0時半(25日ですね)までだったそうです。新聞記者さんたちが「どう決まりましたか」と尋ねてきますが、小生にはわかりません。関係大臣も全体像が決まるまで、一部分をしゃべるわけにいかないでしょう。
25日の日経新聞は「大詰めの三位一体・地方から問う」で山出保全国市長会長のインタビューを載せていました。産経新聞は、政治ジャーナリストの細川珠生さんの意見を載せていました。東京新聞は、24日の国と地方の協議の場で、地方団体側は「裏切られた場合は地方案を撤回する」と通告したと伝えています。(11月25日)
26日の日本経済新聞「大詰めの三位一体」は、松下正幸関西経済同友会代表幹事のインタビューを、読売新聞は地方分権に関する世論調査を載せていました。(11月27日)
【政府・与党案決定】
お待たせしました。26日に政府・与党案が決定しました。「2兆4千億円税源移譲決定。一部の詰めは先送り」といったところでしょうか。なかなか微妙な決定です。各紙が、内容・評価・論説を大きく伝えています。
私の評価を、簡単に書いておきます。大きく「財政・分権論」と「政治過程・政局論」に分けて見ましょう。
「財政・分権論」
これをさらに、この3か月という短期的視点と、この数年という中期的視点から見てみます。
(短期)
地方団体案が、後退したことは事実です。与党との調整(妥協)を経て、与謝野政調会長は「100点満点とはいかないけれど、党半分、政府半分」とおっしゃってます。
①しかし、2.4兆円の税源移譲は確定し、3兆円も目処が立ちました。「3兆円に達せず」と書いている新聞もありましたが。昨年、1兆円補助金を廃止した際、税源移譲が4千億円しかなかったことに比べれば、格段の進歩です。
今回の決定文の別紙1が「税源移譲」で、別紙2が「補助金改革」でした。これが象徴的です。議論の順は、別紙2が先で別紙1が次でしょう。こうなったのは、別紙1が政治決定され、別紙2が事務的に作られた、という経緯と思われます。税源移譲額が争点になり、もはや交付金化では、ごまかせないのです。
②生活保護費補助率削減など、地方が反対すること回避したこと。
③17・18年度の交付税総額を確保したこと。
この3点で、合格点をもらえると思います。また、今回の決定は、地方案を基礎にし、それを骨格にしていることは間違いありません。
梶原知事会長は、60点と言っておられました。私は75点くらいかなと思ってます。いくつも詰めが残っていること、特に国民健康保険県負担導入、国債を財源とするものの税源移譲未定などが、減点要素でしょうか。
(中期)
第1次分権改革が進んだ2000年の時点、諸井分権委員会が最終報告を出した2001年の時点で、今日のこの日を予想した人がいたでしょうか。累計4兆円の補助金見直しが行われ、3兆円の税源移譲に目処がつきました。所得税から住民税へ移譲することも決まっています。財政の分権は、大きく進みます。
そして、日本政治の大きな争点として位置付けられました。この秋は、三位一体一色でした。今後、後退することや、放置されることはないでしょう。もちろん、関係者の努力が必要ですが。

三位一体改革33

【基本的枠組み決定】
18日に、政府与党で「基本的枠組み」を決定しました。内容は各紙が伝えているとおりです。「補助金3兆円削減は明記、具体的内容は先送り」というのが、大方の見方です。昨日、私が示した評価基準で見てみましょう。
①3兆円の補助金削減と税源移譲は、明記されました。この点は合格。
②補助金廃止の各論は先送り。この点は来週の決定まで、判定はできません。ただし、補助金廃止各論の枠組みは、地方団体案を基礎としています。この点は評価。
焦点の義務教育費は、「含まれる」と官房長官が記者会見していますが、どうなるかわかりません。国民健康保険に新たに県負担を導入するとのことですが、これも詳細が不明で判定できず。公共事業費も一部含まれるとのことですが、税源移譲問題は先送りで、これも判定できず。
③交付税は、17、18年度は「財源措置を行う」として、大幅な削減は無いとのことで、これは評価できます。
もう一つの「決定過程論」ですが、あれほど隔たりがあった「総理・麻生大臣・地方案」vs「各省・自民党」が、一定の方向を合意したことは大きく評価できます。今後の具体化の過程でも、よい影響を与えるでしょう。しかも、ゼロ回答に近かった各省・自民党案に対し、基本は地方団体案になっています。
問題は、これから1週間の詰めです。それがいい結論だと、今回の決定はそれに至る過程として、良いことだったと評価されるでしょう。私がよく使う「ホップ・ステップ・ジャンプ論」です。そうでない結論だと・・。
さて、総理は「最後は私が決断する」とおっしゃっていました。今のところ、方向を示しつつも、総理の決断の場面は出てきていません。、朝日新聞は「融和 根回し 新小泉流」と書いていました。
各紙とも、社説で取り上げていました。朝日新聞は「教育を変える好機に」、毎日新聞は「最終決定に首相は指導力を」、日本経済新聞は「補助率引き下げは構造改革に値しない」、産経新聞は「原点に戻ってつくり直せ」、東京新聞は「地方案の骨は抜くな」です。いずれも、改革を後押しする論調です。読売新聞は、青山彰久記者による「見えぬゴール」を解説していました。(11月19日)
【関係者の誘導と新聞のミスリード】
各紙がそれぞれ勝手に予測記事を書いていること、そして一部の関係者の誘導に乗せられていることは、何度かここで批判しました。前日まで「義務教育費は補助金廃止対象外」と書いた社もありました。そのような記事は誤報であるばかりでなく、抵抗勢力に加担し世論を誤った方向に誘導しています。
この時期に合わせて、財務省が「地方財政には過大なムダがある」と新聞を使ってキャンペーンしたこと、各省が「補助金がなくなると、こんなに地域間で差がつきますよ。事業が無くなりますよ」と書かせたことは、賢明なる読者は既におわかりだと思います。極めつけをご紹介します。15日の経済財政諮問会議の議事録p3の麻生大臣の発言部分です。
「それでは、お手元に配付してある『三位一体の改革の推進のための地方税財政制度』について説明する。この資料について、最初にぜひ確認をしておいていただきたい。私が出した交付税改革の資料が11月13日の土曜日に一部の新聞に掲載されている。金曜日にマスコミにリークされ、財務省の反論を含め、土曜日に掲載されたのだろう。こういった重要なタイミングでこの種のことがおこるのはルール違反である。このようなことが度々あると、情報は出せないということになる。そういった意味では以後慎重にしてもらいたい。ぜひお願いを最初に申し上げておく」。(11月20日)
20日の日本経済新聞は「財政攻防」で動きを、21日の「視点」で義務教育費国庫負担金一般財源化を解説していました。21日の朝日新聞は「文科相に包囲網」で解説するほか、「時々刻々」で市町村合併を解説していました。(11月21日)
21日の産経新聞「解答乱麻」は、小川義男高校長の「義務教育費国庫負担は聖域か」を載せていました。「これほどの経費が学習塾に支出されているとすれば、何のための義務教育費無償化だったのかと、考え込まざるをえない。文部科学省はどのように受け止めているのであろうか」「学習指導要領が守られている限り、教育水準の維持や全国的均質性が害されるものではない」。
21日の毎日新聞「発言席」は増田寛也知事の「地方が自立できる最終案に」を、22日の「グローバル・アイ」は「三位一体の時代的意味:分権、米欧の流れと通底」を載せていました。22日の日本経済新聞「インタビュー領空侵犯」は、渡辺正太郎経済同友会副代表幹事の「分権で新小日本主義:日本人である前に地方人」を載せていました。
23日の日本経済新聞は、「大詰め三位一体、地方から問う」で増田知事のインタビューを載せていました。「地方案を軽視、約束違反」です。また、11月9日のシンポジウム「地方分権と地域の創造」の概要を全面広告で載せていました。(11月23日)

三位一体改革32

【麻生大臣の「三顧の礼」】
政府内では、調整が続けられています。麻生大臣は官房長官と一緒に、森前総理に義務教育負担金廃止について理解を得るべく訪問されました。
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(両大臣の間に写っているのは、篠原総務大臣秘書官。左端は、麦田警護官)
「三位一体の改革をめぐって、細田官房長官や麻生総務大臣、谷垣財務大臣ら関係閣僚は、小泉総理大臣の指示を受けて、18日に補助金削減などの大枠をとりまとめることにしており、17日午前、総理大臣官邸で、その具体的な方向性について協議しました。
その結果、焦点となっている義務教育の補助金の取り扱いについては、地方団体の意向を尊重したいという小泉総理大臣の意向は固いとして、来年度から削減の対象とする方向で、与党側との調整に入ることで一致しました。
これを受けて、細田官房長官と麻生総務大臣は、自民党内で文教議員に強い影響力を持つ森前総理大臣と会談し、来年度から義務教育の補助金を削減したいという考えを伝え、理解を求めました」(画像及び文章は11月17日NHKニュース(HP)から転載)
これは、かつて無い行為だと思います。政府の2大高官が尋ねていくのですから。お互いの意見の違いはあるでしょう、というより、あるからこそ行かれたのですが、膝を屈して行かれた重みは違うと思います。地方団体の方には、よく見ておいていただきたいと思います。
【新聞記事のミスリード】
各紙は、いろんな記事を書いています。それらがいかにいい加減か、このHPをご覧の方はよくわかると思います。
記者はこう言うでしょう、「確かな人から聞いた」。しかし、その人たちは、ある意図を持って発言してます。部分部分は正しかっても、全体の流れから見ると間違っているのです。その記事を載せるかどうかの取捨選択が、各社のデスクの力量だと思います。
政治家や官僚の意図的発言に喜んで食らいつき、勝ったかのように記事にして喜んでいるようでは、レベルは低いですね。これに対しては、「お先棒担ぎ」という適切な名前があります。
17日には、地方6団体の決起集会が開かれました。
日本経済新聞「経済教室」は、小西砂千夫教授が「地方歳出、税と同時決定を」を書いておられました。読売新聞は「基礎からわかる三位一体改革」を解説していました。(11月17日)
新聞もいろんな記事を書きますが、見通しは簡単です。総理が守らなければならない条件は、2つです。
①6月の閣議決定(基本方針2004)で決めた、3兆円補助金削減と税源移譲の達成
②地方団体が納得できる案であること(補助率削減と交付金化は不可)これです。
各紙は、「政府・与党の大枠」の決定に向けて調整が続いていると伝えています。社によって、違った内容(予想)が書かれています。
今回決定されるのは「大枠」とのことで、どの程度具体的かは不明です。その点を除いて、評価のポイントは6月閣議決定と地方提案がどの程度守られたか、すなわち次のような点でしょう。
①3兆円の補助金削減と税源移譲が、書き込まれるか。
②補助金削減項目(各論)が、どの程度書かれるか。特に、義務教育費、公共事業費の扱い。また生活保護費など(削減と書き込まれたら困るもの)の扱い。公共事業費にあっては税源移譲の扱い。
③交付税の扱い(大幅な削減でないこと)。
見守りましょう。
もう一つの視点は、決定過程です。今回は、政府と与党がすりあわせを続けています。これまで三位一体改革は、総理のリーダーシップで進むことが多かったのです。今回のプロセスの意味と影響は、どうかという見方です。
朝日新聞「私の視点」は、大森弥先生の「自治体信頼して推進を」を、同社説は「地方交付税減量に智恵を絞れ」を、毎日新聞は「混迷・三位一体の改革」(下)を、東京新聞は「保育所への補助金削減・反対の声」を載せていました。(11月18日)