カテゴリー別アーカイブ: 2017年秋学期・地方自治論Ⅱ

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第2回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第2回目でした。今日は、前回に続いて、相模原市役所から提供してもらった住民サービス案内冊子「ナイスガイドさがみはら」を、少々丁寧に説明しました。学生にとって、市役所や市役所のサービスは、ふだんあまり縁がないでしょうから。それを踏まえて、市の予算を説明しました。

相模原市からいただいた「予算説明書」「主要施策説明書」など、分厚い議会提出資料を見せて(回覧して)、予算書ってどんなものかを見てもらいました。一般の方がこれを見ることは、まずはないでしょう。「欲しい」という学生がいたので、進呈しました。
もっとも、これらは数字の羅列で、あまりに細かく難しいです。公務員一年生の時に、徳島県財政課で、予算書の作成と校正をしたことを思い出しました。当時は活版印刷で、印刷所に行って「長時間労働」で、間違いがないか校正をしていました。

予算内容については、これもいただいた「予算事始」を配って説明しました。この冊子は、なかなか良くできていて、使いやすいのです。
たくさん印刷物を提供いただいた相模原市役所に、お礼をいいます。学生たちにも、好評でした。

地方財政の説明は、多くの場合、制度論や国と地方の関係などを説明するのですが。これまでの経験を踏まえて、説明の仕方や順番を変えることにしました。
自治体の職員に講義するなら、そのような学者的説明が良いのでしょうが、大学の学部生、多くは公務員にならない学生に話すには、まずは市民の暮らしと市の財政がどのように関わっているかを考えてもらい、制度論はその次にすることにしました。
予算で見える成果と見えない成果があること。予算で達成できることとできないこと。多い方がよいとは限らないことなども。

そして、細かいことを詰め込みすぎず、一つのことに絞って丁寧に説明するようにしました。私の講義、講演の欠点は、詰め込みすぎと早口、場面展開の多さなのです。これまでも、そのようにすることを試みていたのですが、より意識するようにしました。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第1回目

今日から、慶應大学秋学期の授業が始まりました。秋学期は、地方自治論Ⅱです。
今日も朝9時から、学生たちが熱心に聞いてくれました。資料を70部持ち込んだら、数枚余りました。
今日はまずは、今学期の講義計画と進め方を話しました。
「自治体の経営」といった際に、二つのものがあります。市役所の経営と、地域の経営です。
民間会社だと組織の効率化が利益を生みます。しかし、自治体の場合は、市役所組織を効率化するだけが、経営ではありません。地域の暮らしがよくなければ、よい市長とは言えません。市役所のコストカットだけでは、ダメなのです。企業なら、不採算部門を切り捨て、選択と集中ができますが、自治体では教育や福祉サービスをやめることはできません。「行政改革」だけでは、よい市長ではありません。

で、早速本論に入り、地方自治体の住民サービスを具体的に説明しました。抽象論より、身近な実例の方が分かりますよね。
また、相模原市役所からいただいた住民サービス冊子「ナイスガイドさがみはら」を配って、説明を始めました。これも、学生たちには好評でした。大量に提供いただいた市役所に感謝します。
ふだん受けている行政サービスは、空気のようなもので、意識しませんよね。しかし、私たちは、保育、教育、清掃、介護、道路など、朝から晩まで、生まれてから死ぬまで、かなりの部分を市町村役場の世話になっています。
この冊子は今日の授業では終わらずに、来週も使います。

秋学期の準備

9月22日から、慶應大学での講義が始まります。秋学期は、地方自治論Ⅱ(金曜1限)です。春学期は週に2駒でしたから、少しは楽になります。ぼちぼちと準備を始めていたのですが、いよいよ本格的に取り組んでいます。
シラバスは春に作ってあるので、講義ノート、レジュメ、配付資料を準備しています。2010年秋に、慶應大学で地方財政を講義したので、そのときの資料が役に立ちます。とはいえ、7年も前のことなので、骨格を利用しつつ、全面的に更新する必要があります。
前回は、片山善博教授が総務大臣に就任され、ピンチヒッターでした。この授業を終えたら、3月に東日本大震災が発生して、私はそちらに駆りだされました。

地方財政に関しては、たくさんの教科書が出ています。7年経つと、入れ替わっていますね。この間に出た新しいものとして、
神野直彦・小西砂千夫『日本の地方財政』(2014年、有斐閣)
持田信樹『地方財政論』(2013年、東京大学出版会)
があります。授業でも参考書として使います。
また、
林宏昭他「入門地方財政第3版」(2014年、中央経済社)は、第3版が出ています。
中井英雄他「新しい地方財政論」(2010年、有斐閣アルマ)も使えます。

総務省から、新しい資料をもらいました。また、相模原市役所にお願いして、各種の印刷物をもらいました。
理論と数字だけは、学生に実感してもらえないので、予算書の現物はどんなものか見てもらいます。また、自治体の財政(予算)が、住民の暮らしとどのように関わっているかを知ってもらうためです。教科書だけを講義していたら、楽なんですがね。

近々ある講演(3つ)の準備を終え、連載原稿をひとまず片付け、講義の準備に励んでいます。とはいえ、連載は次の締めきりが追いかけてきて、もう一つ締めきりが迫っている原稿もあります。人間、同時にはいくつものことはできないものです。

2017年秋学期・地方自治論Ⅱ

2017年秋学期・地方自治論Ⅰ―役所の経営と地域の経営
(金曜日1限)。講義の記録

春学期(地方自治論Ⅰ)では、地方行政の仕組みを学びました。秋学期は、役所の経営(特に地方財政)と地域経営をお話しします。
地方自治体には、大きく分けて2つの仕事があります。
1つは、役所を運営し、行政サービスを提供することです。
もう1つは、地域の課題を解決することです。社会で生じているさまざまな課題、例えば子ども子育て支援、高齢者対策、産業振興など、住みよい地域をつくることです。
前者は役所という組織の経営であり、後者は地域の経営です。その仕組み特に地方財政と、地域の課題と取り組みを学びます。

(第1部 地方財政)
第1回 授業計画の説明
第2回 地方財政1―地方財政の概要
第3回 地方財政2―市のサービスと財政
第4回 地方財政3―税と収入
第5回 地方財政4―支出
第6回 地方財政5―地方交付税
第7回 地方財政6―地方公営企業
第8回 地方財政7―課題
(第2部 地域の経営)
第9回 地域経営1―地域の課題
第10回 地域経営2―地域振興
第11回 地域経営3―生活支援
第12回 地域経営4―被災地で町をつくる
第13回 地域経営5―地域の公
第14回 これからの地方行政
その他 総括とまとめ