カテゴリーアーカイブ:災害復興

被災自治体で活躍する若手官僚

2014年7月17日   岡本全勝

7月17日の朝日新聞朝刊に、「復興前線、やる気官僚」という記事が載っていました。
・・被災自治体にかつてない数の中央官僚が出向している。待ったなしの復興の現場で、あるべき国と地方の関係が芽生え始めている・・という書き出しです。
被災地の市町村役場に、求めに応じて、霞が関の若手官僚が、たくさん派遣されています。被災地の小さな自治体では、これまでにない大きな課題を、たくさんこなさなければなりません。外部人材が、土地や役場内での「しきたり」にとらわれずに、腕をふるうことが期待されています。
若手官僚にとっても、現場で経験を積む良い機会です。霞が関で日本全体を相手にしていると、自分が作った政策でも、現場での実際や成果が見えないのです。それに比べ、現場では、できたかできなかったか、結果が直ちに見えます。
もっとも、現場で腕をふるうことは、そう簡単ではありません。多くの職場は官民を問わず、規則に定められた公式の権限(オモテ)とともに、人間関係やしきたりといった非公式の進め方(ウラ)で、仕事が進みます。前例のない仕事の場合、しがらみを断つために、外部の人材が腕を発揮できる場合があります。しかし、事態が落ち着いてきて、また長期間になると、「非常時の仕事の進め方」は通用しなくなります。組織は人間関係で動いています。法律論や理論、あるいは偏差値だけでは、仕事は進みません。そこで、どのように地元のしきたりと折り合いをつけるか。経験と力量が試されます。
それぞれに、苦労しているでしょう。しかし、それが勉強になるのです。がんばれ。

総理、宮城視察

2014年7月16日   岡本全勝

今日は、総理大臣のお供をして、宮城県に行ってきました。復旧なった水産加工場や農業法人を見ました。七ヶ浜町の水産振興センターは、クロネコヤマトの寄付で復旧できました。ありがとうございます。東松島市の農業法人(アグリードなるせ)は、海水に浸かった農地を除塩し、かつ経営規模を拡大しています。地区の9割を超える農地を受託して耕作しています。東松島市では、災害後に農業法人の設立が増え、経営面積も拡大しています。個人の農家では復旧する意欲が少ないのですが、法人化することで攻めの農業を行っています。
午後は、新しくできた災害公営住宅で、自治会の方や支援員の方と意見交換をしました。仮設住宅での健康や心の支援とともに、新しく移った公営住宅でコミュニティをつくることが重要です。各地で、生活相談員(600人)や復興支援員(180人)が活躍しています。被災者の健康や生活支援には、対人関係、人によるサービスが必要なのです。今回の復興では、インフラ・住宅の復旧、産業・生業の復興と並んで、健康・生活支援を3つめの柱としています。「被災者に対する健康・生活支援の手引き」(平成26年6月)が、具体事例を載せていて、わかりやすいです(特にp2~、p20~)。
今日も、宮城復興局や本庁の関係者、さらには地元関係者の事前準備が良く、円滑に、重要な課題と具体例を見ることができました。ありがとうございます。

産業復興のための施策体系図

2014年7月15日   岡本全勝

今日、「復興金融ネットワーク」を設立することを発表しました。被災地での産業再生のために、ファンドや銀行の協力を得て、投資を促進しようという趣旨です。
発表資料
(4枚目)に、産業振興施策を整理した図をつけました。図の下段(紫色)が、初期の応急復旧段階で、緊急保証や特別貸し出し、グループ補助金や店舗の無料貸し出し、二重ローン対策です。これは主に政府主導で行いました。中段の橙色は、企業の新たな取り組みを支援するもので、「新しい東北」の先導モデル事業支援、企業連携支援、企業のマッチングなど、ソフト面についての官民連携の取り組みです。
そして、上段の黄色が、資金の供給(リスクマネーの供給)です。いくつかのファンドや、経済界による支援、金融機関による融資や経営相談があります。この部分は、民間主導の取り組みです。
わかりやすい図です。ご利用ください。個別施策の詳しい説明は、こちらに載っています。

学生の夏休みボランティア

2014年7月14日   岡本全勝

日経新聞7月14日朝刊が、「社会貢献で成長の夏休み。海外ボランティアや被災地支援」で、大学生に向けて夏休みを利用した被災地ボランティアを取り上げていました。
復興庁でも、呼びかけています。「今夏の学生ボランティア促進キャンペーン」です。ポスターもつくって、大学や東京の地下鉄に張り出しています。
藤沢烈さんのブログ(7月11日)から、転載します。
・・ボランティアのピークは2011年5月の18万人。3年経過した2014年5月には7500人と、96%減少しています。
もちろん、支援はいつまでも続くものではありません。地域は自立が求められます。しかし、今だからこそのボランティアもあります。
例えば、引越にともなう清掃ボランティア。三県では災害公営住宅ができ始め、仮設住宅から離れる方が増えました。入居者の減少により仮設住宅も集約されつつあります。そこで出てくるのが引越ニーズ。仮設住宅の多くは高齢者。単身の方も多く、引越しが物理的に難しい方も少なくないのです・・

CSRと復興支援

2014年7月11日   岡本全勝

田久保善彦・グロービス経営大学院研究科長の「企業経営から見たCSR」(東京財団レポート、2014年6月25日)から。
・・広く知られるようにCSR(corporate social responsibility)を日本語で表すと、「企業の社会的責任」となる。そもそも企業とは社会に対し責任を果たしつつ、何らかの価値を提供する事によってのみ、存在できる主体であるという観点に立てば、CSRとは「企業経営そのもの」であることは明らかである。つまり、CSRを何か特別なものかのごとく切り出して議論したり、取り組んだりするものではないという認識を持つことが、健全なCSRの議論を始める第一歩となる。
ここ数年、日本においても、「CSRは経営そのものである」という考え方が広がりを見せてきている。しかしながら、企業の経営者がその概念を頭で理解することと、日々の経営にどれだけ落とし込んでいるかは、別問題であり、従来型のメセナ活動などの延長線上にあるカギ括弧付きの切り離された「CSR」に終始してしまっている企業は未だに数多く存在する。
日本でCSRの議論になると、必ずといって良いほど引用されるのが、『日本には昔から、「三方良し」という概念があり、昔から社会のことを考え上手くやってきた』という話である。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」と、三方それぞれが発展するように商売をすべきという近江商人の哲学と呼ばれるものであり、この哲学自体は、時代を超え、未だに輝きを失わずにいる素晴らしい考え方である。
例えば、各地に存在する工場では、多くの雇用を維持しつつ、様々なコミュニティーの発展に資する活動を展開しているケースが少なくない。時に驚くほど深く地域と関わり合いを持ち、まさに地域と共存しているといえる企業や工場も多数存在する。東日本大震災の折にも、数多くの企業が素晴らしい活動をしたことは記憶に新しく、地域を大切にする日本企業の姿勢は特筆に値する・・
(この文章の主旨はこの部分にあるのではないのですが、それについては次回紹介します。)
田久保さんは、企業による復興支援の記録として、次のような本をまとめています。
『日本型「無私」の経営力ー震災復興に挑む七つの現場』(2012年11月、光文社新書)、『東北発、10人の新リーダー 復興にかける志』(2014年3月、河北新報出版センター)。
前者は、東日本大震災後、日本企業が取り組んだ「無私の支援」、「利他の経営判断」とも言える復興支援について、具体的にどのような活動が行われ、また何がそうした行動を生んだのか、関係者への取材を基に書かれたものです。7つの企業の活動が取り上げられています。
・・そうした活動の模様は、これまでテレビや雑誌などの速報性のあるメディアで何度も取り上げられ、目にした方も多いと思います。しかし、それらは必然的に一過性の報道となり、「フロー情報」としてすぐに忘れ去られてしまったのではないでしょうか。そのような活動は、きちんと評価・分析するべきではないか、そして、「ストック情報」として後世に伝えることに大きな意味があるのではないかーそんな問題意識から、私たちは今回の取材・執筆に着手しました・・(同書「はじめに」から)。
後者は、被災地で新しい東北をつくることに取り組んでいる若いリーダー達を紹介したものです。この項続く