カテゴリーアーカイブ:災害復興

被災地に人材を送る。スターティングオーバー三陸

2014年8月12日   岡本全勝

藤沢烈さんが、ブログで、「スターティングオーバー三陸」を紹介しています。求人紹介会社のリクルートが、三陸で働く人向けの求人サイトを立ち上げました。
三陸での仕事の紹介です。ホームページを読んでいただくと、単なる求人や支援でなく、ここで働くことがどのような意義を持つのかが説明してあります。藤沢さんのほか、編み物事業を興した女性、横浜からパン屋さんに行った男性などの発言が紹介されています。
釜石市役所の石井重成さんの発言から。
・・行政、市民、NPO。それぞれにやりたいことがあるのですが、なかなか進まない。お互いの状況や背景を理解して連携していくための、コミュニケーションの隙間を埋める調整役が必要だと考えました。そこで、総務省の復興支援員制度を活用した、釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)を全国から募集し、立ち上げたのです・・
・・釜石市では企業1社だけでは解決できないような大きい社会課題に取り組むことになる。元に戻すという復旧・復興事業だけではなく、少子高齢化の問題や、人の人生そのものに関わることの難しさ。そうった解のない問題に向き合い続けることで、人間としても大きく成長することができる。私もこちらに来てから、コンサルタント時代の倍以上、頭と身体を使っている気がします・・
被災地、そして日本の地方、特に僻地であり中山間地域では、具体の課題が目の前にあります。そこで働くと、東京や日本全体を相手に仕事をするのと違い、自分の仕事が「見える」のです。これは、復興庁で働いている公務員や、地元に支援に入っている公務員にも共通します。
他方で、域外から入って働く職員は、地元の自治体や企業、地域社会に、新しい刺激を持ち込んでくれます。もちろん、課題は簡単に片付くものではなく、「よそ者」が働くことの難しさもあります。しかし、それが社会に貢献しながら働くことの意義です。楽をして得られることは少ないです。
9月に東京で説明会があります。(税金を使った)行政による支援でなく、このように民間の事業として(無償支援でなく)行われることは、ありがたいです。うまく行くと、長続きします。
行政も、被災市町村にたくさんの人を応援に送っていますが、これは公的な復興に関してです。税金でまかなっているので、送る範囲や仕事の内容には限りがあります。そして、あくまで復興です。地域が自律的発展をするためには、産業復興が必要です。
なお、スターティング・オーバーとは、「再出発」「新しい旅立ち」という意味のようです。

被災者支援のNPO、2

2014年8月11日   岡本全勝

2つめは、「震災復興における支援アプローチ調査」です。
被災して、なくなった町を復興するには、道路をつくり家を建てただけでは、町の暮らしは復興しません。住民達が自らどのような町を作るか考え合意する必要があります。国や県が街並みを作って「はい、できました。入居してください」と言えば簡単でしょうが、それでは住民は満足しません。施設に入ってもらうのではないのです。
そこには、住民による合意形成の過程と、できあがった町の運営があります。自分たちの町か、あてがいぶちの施設かの違いです。町はできあがった建物(写真に写るモノ)ではなく、暮らしている住民が作り続けるプロセス(住民の活動)です。
・・復興とは、被災した人々が失った力を取り戻し、自らの手で新しい日常をつくりなおしていくプロセスである。支援者は支援者でしかなく、復興は住民自身の手によって成し遂げられる必要がある。本調査ではこうした前提に立ち、震災から3年目を迎えいよいよ本格化する東日本大震災の被災地において、復興への支援アプローチがいかにあるべきかという観点から行ったもので、住民の合意形成組織を対象に実施した。
「復興まちづくり」という概念は、ともすればハードの設計と建設、あるいはスピードとボリュームだけが注目される「まちの再建」に、議論と合意形成による住民参加のプロセスをより色濃く意味づけたものである・・(p3)
阪神・淡路大震災時の経験を活かした、調査です。
調査対象の6か所ごとに、住民組織の範囲やありようも違います。また、これらに特徴的なのが、NPOや大学などの団体や復興支援員が、支援に入っていることです。住民の意思が必要ですが、それだけを待っていては、うまくいきません。市町村がどのような支援をするか、支援団体や支援員がどのような支援をするか。よい事例を積み上げ、その他の地域に展開することが重要です。
これらの調査結果と報告された課題を、どのように解決していくか。国が法律を作ったり通達を出せば解決する問題ではありません。地元自治体や町内会にこの問題を認識してもらい、NPOの力も借りて解決していきます。
ダイバーシティ研究所、3県の連携復興センター、そして支援してくださった日本財団に、お礼を申し上げます。

被災者支援のNPO

2014年8月10日   岡本全勝

被災者の生活支援に活躍しているNPOも多いです。今日は、田村太郎さんが主宰している「ダイバーシティ研究所」がまとめた、2つの報告書を紹介します。
1つは、「3地域仮住宅アセスメント2013年調査報告書~自治会参加活動とQOL」です。
この調査は、仮設住宅で暮らす世帯に、自治会活動への参加状況と他の住民との会話の有無、生活の不安などを聞いたものです。3県にある、NPOの中間団体「連携復興センター」との共同作業です。
仮設住宅には、次のような課題があります。
・建設時は、なるべく早く建設しなければならない。今回の大震災では、公営住宅や民間住宅の借り上げの他、5万戸のプレハブ住宅を建設しました。23年秋にはほぼ完成したのですが、これだけの戸数を早期に建設することは、大変な作業でした。用地の確保、資材の確保などです。
・通常の災害の場合、仮設住宅は2年を想定しています。しかし今回は(何度も書いているように)、既に4年目に入り、さらに2年入居してもらう世帯も多いです。すると、建物が傷んできます。根太が腐ったり、カビが生えたり。この補修も必要です。
・従来の町内でのつきあいから切り離され、孤立しがちです。ふだんのつきあいが、なくなるのです。
そして、将来の見通しが立たないと、さらに心配が増えます。今回の調査は、ここに焦点を当てています。
・順次、公営住宅や自ら家を建てて、移っていただきます。しかし、「元気な方」から引っ越していくと、仮設住宅はさらに寂しくなります。
・引っ越していった先でも、コミュニティを作る必要があります。
このように、建物(ハード)の問題だけでなく、それ以上に住民の人間関係(ソフト)が課題なのです。報告書の表題に「アセスメント」とありますが、自然環境調査で使われる用語の「アセスメント」ではありません。「地域で暮らす際の人とのつながり、満足度アセスメント」です。これを把握するのはなかなか難しいのですが、この調査では自治会活動をその指標・とっかかりとしています。詳しくは本文を読んでいただくとして、お忙しい方は、p2の「はじめに」を読んでください。
・・住宅は「仮設」でも、そこで暮らす人々の人生には「仮設」はない。社会とのつながりや生きる喜びを持ちながら次の暮らしの場に移るために必要な支援に向け・・(報告書p2)
この項続く。

福島、国と地方の協議会

2014年8月9日   岡本全勝

今日8月9日、福島市で、「原子力災害からの福島復興再生協議会」を開きました。いわゆる「国と地方の協議会」で、今回で9回目になります。国からは、「復興・再生に向けた取り組み状況」「第1原発の廃炉・汚染水対策」「除染・中間貯蔵施設」について報告をし、福島県からは、現下の問題と平成27年度予算への要望が説明されました。また福島側の出席者から、それぞれ意見が出ました。
工事が進み、めどが立った津波被災地区と違い、原発事故被災地は、まだまだ課題が大きいです。今日も、たくさんの課題が指摘されました。資料は、おって復興庁のホームページに載せます。
→資料が復興庁のホームページに載りました(8月11日)。
ただ、誤解を恐れずに言うと、福島の復興も、だんだんと道筋が見えてきたと考えています。
初めてこの会合を開いたのは、3年前の8月でした。事故が起きて5か月後です。その立ち上げに参画しましたが、会合を開くこと自体が、難しかったのです。
「加害者」の一員である国と、「被害者」である県や地元関係者とが、会議を持つことが難しかったのです。場所も福島にして国が出て行くこととし、ようやく開催できました(私は、この場合は東京ではなく、当然地元福島で開催すべきだと考えていました。2011年8月27日の記事)。
会議の雰囲気は、出席していた私にとって、凍り付いたようなものでした。信頼関係が壊れていたのです。地元側から、お叱りばかりを受けました。指摘される問題について、国は的確に対応できていなかったのです。当時は、さまざまな課題に対して対策が追いつかず、後手後手に回っていました。そして、道筋も見えていませんでした。当時は、協議会の議題を何にするか、課題の整理から議論していたのです。当日は、予定していた時間を大幅に超えて、会議を延長しました。
その後、放射線量に基づき、地域ごとに避難指示区分を定めました。賠償も次々と基準が示され、それに基づき支払いを行っています。除染計画もでき、作業も進めています。原子炉の状態も安定し、汚染水対策も進みつつあります。
全国に避難した被災者も、所在を把握しています。避難指示を解除できた地区もあり、解除に向けて作業を進めている地区もあります。
「早期に帰還することができる地区」「待っていただく地区」「新しい生活を選ぶ方」に分けて、対策が進んでいます。大きな道筋が見えてきたのです。そして、きめ細かに現地の課題を吸い上げることで、課題も見えて、対策が後手に回らなくなりました。何が進んで、何が進んでいないか。そして何に時間がかかるかが、見えてきたのです。
もちろん、まだまだ復興には至っていません。廃炉や除染には、長い時間と大変な作業が必要です。しかし、道筋が見えてきたことで、議論がかみ合い、課題も明確になりました。それを解決していけば良いのです。今日は地元側出席者から、「国も良くやっている」と、評価の声もいただきました。私は、会議中と帰りの新幹線の中で、3年前、2年前、去年の会合を思い出しながら、違いを考え、感慨にふけっていました。
被災者の皆さんには、大きな被害を与え、またご苦労をおかけしています。時間がかかりますが、政府の力を総動員して、解決していきます。

民間の復興支援、小口の寄付を集めて力にする

2014年8月8日   岡本全勝

大阪コミュニティ財団が、被災地支援をしています。この財団は、企業や一般の方から寄付を集め、目的ごとに基金を作って、支援する仕組みです。「マンション型基金」「基金の集合体」と表現しています。
一人ひとりの寄付額は小さくても、集まると大きくなります。また、個人ではどこに支援してよいかわからない場合に、この財団がその事務をやってくれます。
その基金の一つに、大震災の復興活動支援基金があります。8月1日に開かれた報告会では、「内職プロジェクト」「地域コミュニティ形成を目的とした生活支援事業」「コミュニティの新再生」「手仕事現地事務局設立」「空き店舗を活用した避難住民のビジネス・サロンを通した起業化・雇用創出支援」が報告されました。報告概要には、それ以外の援助先の事例も載っています。
企業や企業が主体となった基金による、被災地での復興活動支援もたくさんあります。その他に、このような多くの人から集めたお金で基金を作り、それを元手に支援してくださる例もあるのですね。ありがたいことです。
行政では手が回らない、また公金では支援しにくい活動を支援してもらえるので、その面でもありがたいです。
国も、阪神・淡路大震災の時に、細々とした活動に支援を行えるように、自治体に基金(金利運用型)を作りました。評価が高かったので、今回も、取り崩し型基金を作れるように、各自治体に交付税を配分しました。これも喜んでもらっているのですが、コミュニティでの事業支援は、お金だけではできません。ノウハウや人材による応援が必要なのです。