9日の日経新聞「世界を語る」は、「重みを増す金融政策」で、前イングランド銀行総裁へのインタビューでした。イギリスでは、不安定な経済とポンド危機から、中央銀行の政府からの独立とインフレ目標政策を採用し、成功しました。日本でも、日銀が大蔵省から独立し、インフレ目標は立てていないものの、政策決定をより透明にしました。
私は、金融政策という国家の重要な政策が、政府とは独立して行われることに、関心を持っています。素朴な民主主義では、内閣か大統領が責任を持つべきです。しかし、これまでの経験から得られた結論は、政治が関与すると良い結果にならないということでした。もちろん、政府は総裁の任命権を持つなど、関与はします。その代わり、中央銀行には説明責任が生じたのです。
これは、NHKにも共通しています。報道は政治から独立すべきだということは、常識になっています。公共放送ということで、受信料や経営には政府と国会が関与します。しかし、放送内容には関与しないようにしているのです。
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諮問会議審議の公開
15日の経済財政諮問会議の審議内容が、一部非公開になりました。各紙が、批判的に紹介していました。17日の朝日新聞では、大月規義記者が「公開してこそ諮問会議」として、大きく取り上げていました。
非公開の理由は、テーマである地球環境問題が、外交交渉に問題があるという理由です。ただし、会議後の記者会見や議事要旨では公表になりませんが、4年後には議事録が公開されるので、その段階で再度公開するかどうかが判断されると思われます。これまでには、2001年11月に、金融システム問題について非公開にされ、4年後の議事録では公開されています。
閣議は、内容は完全に非公開です。結論だけが公表されます。諮問会議は、非公開になると問題視されます。ここに、諮問会議の機能が表れています。諮問会議は、テーマを国民の前に見せ、民間議員から厳しい提言をだし、会議での議論の対立を見せることで、改革を進めています。関係者が一致したものだけを、議題にし承認する閣議との違いです。
一方、諮問会議は、閣僚間で実質的な議論をする「機能する閣議」という機能も発揮しています。閣議には、そもそも事前に一致していない議題はのせられないのですから、実質的な議論はありません。
またそれは、「少人数閣議」と言ってもいいでしょう。閣僚の全員一致が難しい事項・内閣の重要戦略を、限られた閣僚で議論する場です。そのほか、イギリスの内閣委員会やインナー・キャビネットとしての機能も考えられます。そのような場がないので、諮問会議がその機能も担っているのです。内閣の重要戦略を限られた閣僚で議論するのなら、それは多くの場合、非公開になるでしょう。国際交渉に限らず、手の内を見せるのが愚策の場合は多いです。ここに、議論を公開する諮問会議の原則と、衝突することになります。
このような機能は、諮問会議ではなく、別の場が必要なのでしょう。その場は、民間議員の入らない、少人数の閣僚による「小閣議」「内・内閣」だと思います。
しかし、日本政府が、地球環境問題について戦略的に対外政策を考えているということは、明らかになりました。これまでだったら、そういうことも国民の前にはなかなか明らかにならなかったのです。審議を非公開にしても、政策過程が見えるようになったという功績はあります。(5月18日、19日、20日)
(諮問会議)
月刊『自治研究』(第一法規)4月号・5月号に、小西敦東大教授の「諮問会議の誕生、成長、そして未来-内閣総理大臣の指導性を中心に」が載りました。議事要旨を基に、諮問会議が期待された役割や、総理大臣の指導性への寄与を、どの程度果たしてきたかを分析したものです。