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行政
行政の失敗と反省
28日の読売新聞は、「中教審、ゆとり反省。授業減らしすぎた」を解説していました。副題は、「失敗の原因列挙、異例の報告書」です。
・・中央教育審議会が、近く公表する中間報告の中で、現行の指導要領による「ゆとり教育」が行き詰まった原因を分析し、「授業時間を減らしすぎた」などと反省点を列挙することがわかった。中教審はすでに、小中学校での授業時間増など「脱ゆとり」の方針を決めているが、反省の姿勢を明確に打ち出すのは初めて・・
確かに、行政が自らの政策の間違いを認め反省することって、珍しいでしょう。「行政の無びゅう神話」は、行政が間違わないから生まれた神話でなく、間違いを認めないことから生まれたのかも知れません。
一方、薬害C型肝炎も、大きな話題になっています。輸血や血液製剤によって、C型肝炎ウイルスに感染して起きる病気です。薬害エイズに似ています。この場合は、製薬会社から副作用の報告が厚生省に届いていたにもかかわらず、患者に告知しなかったことが問題になっています。患者より会社の利益を優先したのではないか、と批判されています。例えば、26日毎日新聞「厚労省、不作為明確に」、28日読売新聞「87年、2002年まとまった報告書。告知なし、患者不在」など。どのような評価がなされ、反省をするかが、問われます。(10月31日)
10月31日に、年金記録問題検証委員会の調査結果が、報告されました。1日の各紙が、詳しく報道しています。
私が考えるに、原因としては次のようなことが挙げられます。
1 職員の責任(横領者、ミスをしたのに隠した職員、これだけ多くの問題がありながら放置した職員たち)
2 管理監督者の責任(大量の間違いが生じているのに放置した上司、もしそれに気づかなかったとしたらそれが監督者として失格)
3 組織・制度の問題(このような大量の犯罪とミスが生じているのに、長年放置できた仕組み。また、それを生みやすかった組織。年金の申請主義や地方事務官制度)
すると、自ずから対策も見えてきます。組織を解体しただけでは、これらの問題の解決には、ならないと思います。
1 お金を扱う部門には通常必要な監察組織
2 お金を預けた本人に確認させる「年金通知」などです。
情報開示、透明性、第三者の監視、預けた本人の監視などが、有効です。
さて、昨日書いた「行政の失敗と反省」の延長では、厚生労働省でなく総務省に置かれた機関が調査したこと、そしてその委員は民間人だったことを挙げておきましょう。二重の意味で、外部による調査だったのです。もっとも、外部の者の調査では、権限が制限されていて、相手方の協力がないと追求が難しいという制約もあります。(2007年11月1日)
読売新聞は、「年金の明日」という連載を続けています。2日は「流用を生んだ法の不備」でした。そこに、年金財源が保養施設に使われ、結局大きな損失を生んだことが書かれています。そして、「年金の福祉還元事業に関する検証会議」が出ています。厚労省が設置した、第三者委員会です。
どこかに、このような行政の失敗と反省を整理した資料がないですかね。(11月2日)
地域振興と国家行政機構
高松での地方版経済財政諮問会議に出席して、いくつかのことを考えました。
地域の経済振興を考えることは、地方自治体の仕事でしょう。しかし、現在のような国内での大きな不均衡が生じると、中央政府としても放っておけなくなります。しかし、各省にはそれを担当する部局がありません。総務省(旧自治省)は、主に地方制度と税財政です。国土交通省は、道路などのインフラ整備が主です。経済産業省は、中小企業などを所管していますが、各地域ごとの産業対策までは手が回っていないようです。農業は農水省の所管ですが、農業はGDPに占める割合が1%(従業者で4%。訂正します)でしかなく、農業振興では地域経済は支えられません。いずれにしても、「地域の振興」を総合的に所管する部局はないようです。
かつては、国土庁に地域振興局がありました。それがどれだけ機能したかは別として、今あれば、そこが主たる任務を担うと思われます。道州制になれば、中央政府でなく各道州の責任になるでしょう。
次に、地域の経済状況を、中央政府に吸い上げる機関がありません。それぞれのデータは、各省の系列で本省に上がっているのでしょうが。各省の出先機関は、中央で決めたことを実行する、あるいは地方自治体に伝達する機関であって、情報を吸い上げる機関ではないのです。
これまでは、地域間に差がありつつも、地方もそこそこに経済が発展しました。また、高度経済成長期には、人口が工業地帯に大移動することで、格差を吸収しました。組立型工場も、地方へ進出しました。中央政府は、公共事業、農業保護で「国土の均衡ある発展」を達成できました。そして、国庫補助金と地方交付税とで、地方自治体の財政力も平均化しました。
農業保護が行き詰まり、工場がアジアへ流失し、近年第二の失業対策としての機能を担っていた公共事業が削減されたことで、この仕組みが成り立たなくなりました。そして、日本全体がマイナス成長・低成長になることで、新たな成長産業を持たない地方の疲弊が目立つようになりました。
もっとも、かつてもエネルギー革命で、山村での炭焼きの暮らしが成り立たなくなり、石炭から石油への切り替えで、炭坑が成り立たなくなりました。それらも、経済成長はかなり吸収したのです。対応できなかった部分が、今になって、山村での限界集落、夕張などの旧産炭地の疲弊となって表れています。
キャリア官僚の責任
変わる公務員の働き方
19日から朝日新聞は「働く」で、公務員の働き方を、職員一人ひとりを追いかける手法での連載を始めました。初回は、「リストラの嵐、役場へ。増える仕事、減らされる給与」です。親方日の丸だとか、首にならないといった、これまでの公務員像が変わっていることを、明らかにして欲しいですね。