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行政

続・政策の意図と効果、その検証

昨日、上のように優遇税制の検証について書いたら、8日の朝日新聞は、租税特別措置全般についての、民主党の検証結果を伝えていました。来年度に向けて、各省が延長や新設を求めている137項目についてです。もっとも、この検証は、それぞれの租税特別措置の当否ではありません。それぞれの効果について、必要性の説明を求めたのに対し、各省が説明できたかどうかです。民主党によれば、4割が説明不十分とのことです。
租税特別措置の多くは、ある政策目的のために、税金を優遇する=まける制度です。形を変えた補助金です。
ここでは、政策の検証について、二つのことが問題になっています。一つはもちろん、それが、どのような目的に対しどの程度効果があるかです。もう一つは、それを判断するために、十分な説明がなされるかどうか、情報開示と説明責任です。後者がないと、前者の判断はできません。
もっとも、新設の場合は、効果は推測にならざるを得ません。

政策の意図と効果、その検証

税制改革議論の中で、証券取引優遇税制の議論がなされています。6日の朝日新聞は、「誰が恩恵を受け、効果はどうだったのか」と解説しています。この税制は、株式と公募投信の譲渡益と配当の税率が、20%から10%に引き下げられているものです。2003年に、株価が大きく落ち込んだとき、個人マネーを株式市場に誘導しようと作られました。
それから5年たって、株価は倍以上に回復しました。個人マネーも増えたようですが、欧米に比べれば、その比率はなお低いようです。
一方問題になるのが、この税制で誰が恩恵を受けたかです。株や投信を持つ個人の64%が、50歳以上です。もちろん、所得の高い世帯の方が、株・投信の保有は多いです。金持ちの高齢者が恩恵を受けているのではないか、という指摘です。

地域経済の分析

内閣府から、「地域の経済2007-自立を目指す地域経済」が、発表されました。インターネットでも見ることができます。図表が多いですが、文章はそんなに多くないので、ご関心のある方は、ご覧ください。簡単には、最後のページ「おわりにー自立構造を模索する地域経済」をお読みください。今回の景気回復過程で、地域間のばらつきが指摘されています。そして、地域間格差は政治問題になっています。いくつも興味深い分析がされているので、参考になると思います。
今回の景気回復は、製造業が牽引していて、製造業の比率の高い地域が好調。公共投資が減って、それへの依存度が高い地域ほど減っている。建設業に代わる雇用の場がなく、就業者全体が減っているところもある。公務員数は減少しているが、全体の就業者数が減っているので、公務員の比率が上がっている地域がある。工業立地件数は1990年代前半に激減、海外生産比率は着実に上昇(図1-1-14)。設備投資額1億円につき、0.5人の新規雇用が発生(図3-4-6)。

国際社会での世間づきあい

28日の産経新聞に、岡本行夫さんが「インド洋に補給艦戻せ」を書いておられました。前半部分は、HPでも読むことができます。私は外交防衛には疎いので、勉強になりました。
イラクでの戦いと違い、アフガニスタンでの戦いは、文明がテロから自衛する闘争であること。
アフガンへの関与には、危険な順から、1アルカーイダ・タリバン掃討作戦(不朽の自由作戦)、2国際治安支援部隊(ISAF)、3地方復興チーム(PRT)、4インド洋海上阻止活動(MIO)がある。1はまさに戦い、2は治安維持支援だけどテロリストの標的になっている。3も護衛部隊がつくように危険、4は比較的安全。そして、日本がやっていた洋上給油活動は、これらの欄外にある、超安全な活動であること。
世界から40か国が参加しているが、危険な行為は他国に任せ、日本は安全な活動しかしなかっただけでなく、それも中断してしまいました。さらに、日本人の安全確保を、他国の軍隊に頼っているのです。
1991年の第1次湾岸戦争時に、金だけ出して他国から批判を浴びたことに比べ、日本は人を出しての貢献をするまでになりました。しかし、まだ「世間並みの付き合い」はできていません。