「行政」カテゴリーアーカイブ

行政

メンバーの能力と組織の能力

19日の日経新聞経済教室は平野雅章教授の「企業の人的投資、組織の能力が成果を左右」でした。教授の主張は原文を読んでいただくとして、私が納得したのは、次のような部分です。
「組織の優秀性は、組織メンバーの能力とは別物である。何となれば、メンバーが入れ替わっても、組織の能力は変わらないから。組織の能力は、メンバーの資質と組織の優秀さによる。」
この主張には、目から鱗が落ちるですね。いくら優秀な職員をそろえても、あるいは育てても、組織の能力が変わらないことは、多くの管理者が経験済みです。
私の研究フィールドでは、官僚機構の問題が、一部これに該当します。優秀な職員をそろえながら、官僚機構のアウトプットは上がらない。それは、組織に問題があるのです。
民間でも、過去に効果的だった仕組みと人が、新しい環境では機能不全になることがあります。しかし、過去の伝統で育った管理職は、それを変えようとしません。メンバーも、時代遅れの組織原理に染まっています。ここに、メンバーと組織の伝統・エトスは同調します。
このページで書いた「組織のガバナンス」「民間ベストプラクティス」などが、改革への道しるべだと、私は考えています。これについては、別途、議論をまとめようと考えています。

都市的集積

先に、定住自立圏構想の紹介をしましたが、忘れていたことを書きます。大きなデパートや病院は、一定の人口が必要です。では、どの程度の人口があれば、そのような施設は成り立つか。それぞれ地理的・歴史的条件が違いますから、なかなか標準化は難しいです。山間部・離島では条件が違います。大都市の近辺だと、これまた大都市の影響を受けます。最も簡単な試算は、いま全国にあるそのような施設の数で、全国の人口を割ってみるのです。すると、単純な平均が出ます。定住自立圏の研究会では、そのような試算もしています。
第4回研究会の配付資料「定住自立圏域のあり方とイメージ」のp2です。これによると、新幹線の駅は300万人の後背人口が必要です。高速道路のインターチェンジは9万人。デパートは38万人、映画館は18万人。うーん、インターの数より映画館の方が少ないのか。スーパーは1万5千人です。塾は2千人あれば良く、飲み屋は400人あれば成り立つようです。結構面白いですよ。もちろん、単純平均値ですが。ご覧ください。

官僚の評価

28日の分権委員会第1次勧告に関連して、委員である露木順一神奈川県開成町長が、次のようなことを書いておられます。29日付け朝日新聞私の視点「分権委勧告、中央支配脱却へ正念場」
・・国からの地方自治体への権限移譲に「ゼロ回答」を繰り返す中央省庁の官僚たち。やり取りは、一筋縄ではいかなかった。「露木委員もすでにご承知のこととは思いますが」。官僚の言い回しは実に丁重だ。しかし、煮え切らない議論。同じことの繰り返しが続く。せっかちな私には耐えられなかった・・そうか、官僚は自分の組織と権益を守ることを最優先に考えているのだ、と思えてならなかった。ほとばしる情熱を感じる官僚は少ない。理屈ではない。さすが中央官僚、と思わせる心底からの訴えが欲しかった・・

危機の際の指導者論

19日の日経新聞経済教室は、ジョセフ・ナイ教授の「指導者のリーダーシップ発揮、状況を察する知力が重要」でした。危機への対処で指導者は鍛えられる、良くある危機とまったく新しい危機を見分けよ、何を自分が決定し、何を委ねるか分別を、と主張しておられます。
リーダーが存在を発揮できるのは、危機の時です。平常時なら、官僚組織が処理してくれます。また、改革をする時に存在を発揮できます。官僚機構は改革を嫌いますから。上に立つ者は、何を自分が判断するか、何を部下に委ねるか、その判断が最も大切だと、私は考えています。これは危機の時だけでなく、平常時においてもです。

その7 目標による管理

民間ベストプラクティスで、官庁組織でも、目標による管理を試みることになりました。先日、県庁の方とお話ししていたら、二つの県でうまくやっておられることを聞きました。
部長が各課長と、年度初めだけでなく、年に何度か、仕事の目標と達成具合を確認しているのだそうです。両部長曰く「やってみると、部下との間でいかに認識が違うか、よくわかりました。部下は何でもないことを悩み、私の意向を測りかねていたんですね」とのこと。ポイントは、定期的に部下との間で、目標と達成度を確認をしあうことのようです。
私も、県の総務部長の時、各課長に年度の主要事業計画表を作ってもらい、お互いに確認しあっていました。「明るい係長講座」中級編p12。
それを、制度化したということですね。簡単なことですが、重要なことです。あまり難しい仕組みは導入しても、定着しませんよね。簡単・イズ・ベストです。
次に課題になるのは、そこに挙げた項目が適切かどうかです。さらに、この結果を、評価に結びつけることです。それには、列記した項目に、ウエイト付けをする必要があります。
さらに進んだ方法で、かつ、うまくやっておられる県や市町村もあると思います。具体的にお教えいただければ、幸いです。