カテゴリーアーカイブ:行政

世界の変化とアメリカのパワーの低下

2012年11月18日   岡本全勝

久保文明ほか著『オバマ・アメリカ・世界』(2012年、NTT出版)の続きです。
・・オバマ政権の高官は、クリントン国務長官をはじめとして「スマート・パワー」ということをことさら主張しますが、これはたんにスマートなパワーの行使が規範的に望ましいということではなく、アメリカが力を効率的に行使しようとすれば、そうする以外に方策がないという認識です。それはいわば、アメリカ後の世界におけるアメリカ外交のかたちを探ろうとする試みでもあります。こうした問題意識を具体的に展開したスピーチをクリントン国務長官が行っています・・
この演説の中で、クリントンは世界は否応なしにつながってしまったことを強調し、アメリカは単独では解決できない問題群に直面していることを認めます。それは、アメリカの力の低下というよりも、直面する問題の性質の変化によるものであり、このような世界にあっては、協調行動の基盤を積極的に形成していく以外にない。クリントンは、そのような世界を「マルチパートナー世界」と呼びます。それぞれの極が対立しあうような世界とするのではなく、それぞれの極が協力して問題を解決していく世界とでも言えばよいのでしょうか。
ゲーツ前国防長官も(若干別の文脈ではありますが)アメリカにとっては「ビルディング・パートナー・キャパシティ」が非常に重要だと繰り返し述べています・・(p22)
条件の変化を認識し、これまでの戦略では通用しないことを、自ら認識する。そして、次なる戦略を立てる。当然のことですが、なかなかできることではありません。しかも、国内問題ではなく、全地球的問題についてですから。

アメリカ大統領選挙、どちらが日本にとって得か

2012年11月18日   岡本全勝

久保文明、中山俊宏、渡辺将人著『オバマ・アメリカ・世界』(2012年、NTT出版)から。この本は8月に出ているので、大統領選挙の前です。久保先生の発言です。
・・アメリカ大統領選挙の年になると、よく受ける質問がある。「民主党政権と共和党政権のどっちが日本にとって得か、教えてほしい」というものである。そして多くの場合、とくに経済界や政界の場合、共和党政権の方が日本にとってよい、あるいは日米関係は改善するという認識があるようだ・・日本では、アメリカ大統領選挙の時に、既述したようにほぼ決まって「どちらが日本にとって得か」を尋ねる傾向が強いが、それと同程度に重要なのが、日本が何をするかである。本来、日本の総選挙の際、どの政党が日米関係強化にもっとも積極的であるか、あるいはそのための良案を携えているかも、問うべきであろう。G・W・ブッシュ(子)時代に、日米関係がいい状態であった一つの理由は、日本側が既述したような貢献をしたからであるということを、忘れてはならない・・
ケネディ大統領の名言を借りれば、「アメリカが日本に何をしてくれるかを尋ねてはなりません。日本がアメリカのために何をできるかを考えてほしい」ですかね。

アメリカ大統領選挙、有権者の意識の差

2012年11月15日   岡本全勝

11月9日の読売新聞に、6日に投票が行われたアメリカ大統領選挙の出口調査の結果が載っていました。両候補に投票した人の考え方の違いが、見事に浮き彫りになっています。
「現在の米国」について、46%の人が「ほぼ正しい」と考えていますが、その内訳はオバマ氏に投票した人が93%、ロムニー氏に投票した人6%です。反対に「かなり間違っている」と考えている人は52%。その内訳は、オバマ支持者が13%なのに対し、ロムニー支持者は84%です。
「アメリカ経済の状態」について、「良い」と考えている人は23%です。その内訳は、オバマ支持者が90%、ロムニー支持者は9%です。逆に「悪い」と考えている人は53%。その内訳はオバマ支持者が38%、ロムニー支持者が60%です。
「アメリカの経済問題の責任は誰にあるか」という問に対して、オバマ大統領と考える人が38%。そのうちオバマ支持者は5%、ロムニー支持者が94%。ブッシュ前大統領にあると考える人が53%。その内訳はオバマ支持者が85%、ロムニー指示者が12%です。
「政府の役割」について、強化すべきだと考えている人が43%います。その81%がオバマ支持者で、17%がロムニー支持者です。民間移譲を進めるべきだと考える人が51%で、その内訳はオバマ支持者が24%、ロムニー支持者が74%です。
こんなにはっきりと分かれると、わかりやすいですね。

国会質問の答弁案作成

2012年11月1日   岡本全勝

10月31日、11月1日と衆議院本会議で代表質問が行われ、明日11月2日には参議院本会議が開かれます。毎日、復興関係の質問が出ています。職員は、その総理答弁案と復興大臣答弁案を作成しています。
1日の質問の中には、31日の夜11時過ぎに通告があったものがありました。それから答弁案を作るので、できるのは真夜中になります。いつものように、私は自宅のパソコンに答弁案を送ってもらって、確認しています。すみません、私だけ早く家に帰って。
でもねえ、23時過ぎに質問が通告されるとは・・。部下に常々「残業するな」「早く帰れ」と言っているのですが、これではどうにもなりません。

内弁慶の旧軍、官僚

2012年10月24日   岡本全勝

「国内で威張っている」ことと「世界での評価」のズレを書いていて、思い出しました。先日紹介した、ハンチントン著『国家と軍人』です(9月26日の記事)。
そこでは、旧日本軍の軍人の特徴として、物質的要素がきわめて低く評価され、その代わりに精神的要素が決定的な意味を持っていたことが指摘されています(p127)。これは、通説になっています。私が考え込んだのは、次のような指摘です。
・・知性の低下と精神の高揚は、日本で職業軍人の著述の著しい欠如という結果をもたらした。1905年から1945年まで、日本は、強大な海軍力を持っていたが、海軍力の本質とその行使についての重要な理論を定式化した評論家は、日本には一人もいなかった。第二次世界大戦以前におけるこの問題についての日本人の著作は、人気取りのものか、極めて初歩的なものかのどちらかであった。学問的な分析はみられなかった。同じことは、陸上作戦についても当てはまる・・(p128)。
世界一の行政サービス水準を達成した後の、日本の官僚にも当てはまるかもしれません。日本の官僚機構は、「日本で最高のシンクタンク」と、高く評価されていました。しかし、各省の組織がどれくらい政策を提言し、官僚が個人として政策を提言しているでしょうか。
また国際的には、例えば発展途上国に対し、どれくらい知識を輸出することでそれらの国の近代化に貢献したでしょうか。我が身を振り返り、反省。
「海外協力庁」をつくって、制度や経験を「輸出」すれば良かったですね。モノの輸出やお金の支援以上に。後発国に比べ先に発展した日本の経験は、後発国にとって良いお手本(良い面も悪い面も)になると思います。日本が、法制度を輸入しながら輸出には熱心でなかったことについては、「2011年10月19日」の記述を見てください。