カテゴリーアーカイブ:行政

朝日新聞社説「震災復興10年の教訓」

2021年3月8日   岡本全勝

3月8日の朝日新聞社説は、「震災復興10年の教訓 「制度」見直しに踏み込む時」でした。3つの提言をしています。
第1は、縮む社会に適応する街づくり制度の必要性だ。
第2は被災者への資金支援の少なさである。
第3は防災庁の創設である。
簡潔でわかりやすいです。詳しくは、原文を読んでいただくとして。

大震災の復興では、これまでにない政策をいくつも取り入れました。社説にも「そんななか、復興現場で「行政哲学の転換」と評価された施策があった。被災地の産業再生のために、初めて企業や事業主も支援した「グループ補助金」などだ。新しい現金給付策につながる可能性もありそうだ」と書いてもらいました。

復興政策、終わってからの教訓」にも書きましたが、私たちが走りながら考え実現した新しい政策と哲学を総括し、次への備えとして欲しいです。
1 費用対効果を考えると、現物給付より金銭支援の方が効果的な(安上がりで満足感が高い)場合もあります。
2 人口減少下での復興は、意識にも制度にも、十分に生かされていないようです。

NHKアンケート、復興状況への評価

2021年3月7日   岡本全勝

NHKウエッブサイトに、復興への評価のアンケート結果が載っています。「東日本大震災 復興状況への評価分かれる」(3月6日掲載)岩手・宮城・福島の4000人余りを対象に、回答は1805人です。

震災当時暮らしていた地域の復興状況をどう感じているか尋ねた質問では、
「復興は完了した」が12%、「思ったよりも進んでいる」が34%、合わせて46%。
「思ったよりも遅れている」が43%、「まったく進んでいない」が7%、合わせて51%でした。
去年に比べると肯定的な回答の割合は、およそ6ポイント高くなりました。
肯定的な割合は、宮城県59%、岩手県45%、福島県は29%です。津波被災地での工事が終わったのに対し、原発被災地はまだ始まったばかりですから、当然でしょう。

「当初、思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えるか」を尋ねた質問では、「思い描いていたより良い」が23%、「思い描いた通りだ」が21%、「思い描いていたより悪い」が53%です。
「思い描いていたより悪い」と答えた人にその理由を複数回答で尋ねたところ、「住民同士のつながり」が59%、「にぎわい」が47%、「商業施設の充実」が40%、「暮らしやすさ」と「交通環境」が39%、「風景」が37%、「雇用」が24%などです。
住民同士のつながりは、行政の力だけでは実現できず、にぎわいの回復も、災害復興だけでは達成できません。

有識者会議の長所と欠点

2021年3月6日   岡本全勝

2月28日の読売新聞「地球を読む」は、御厨貴先生の「戦場と化した復興会議」でした。
・・・はや10年前の話になったが、2011年3月11日の東日本大震災に対応したのが、同年4月14日から開かれた「東日本大震災復興構想会議」だった。議長代理を引き受けた私は、いかにも自民党政権時代の前例踏襲を嫌がる民主党政権らしいと感じた・・・

・・・そんな中で発足した復興会議のメンバーは、これまた通常の審議会とは違う異色の人材ぞろいだった。
16人のうち、知事3人、防災・建築関連3人を除くと、大半は行政や復興事業の門外漢である。特に東北地方にゆかりのある、従って思い入れの強い方々が過半を占めていた。
議長団の政治学者3人(五百旗頭いおきべ真議長、御厨、飯尾潤検討部会長)も、いわゆる審議会人ではない。有り体に言えば、会議の進行がどうなるかや、議論の着地点が見えなかった。
石原信雄元官房副長官から、「この審議会は、どこに着地するのかが分からない。危険だからやめた方がよい」とのアドバイスを受けたほどだ。
「素人集団」の会議は、海図なき航海に出帆するや、たちまち「会議は踊る。されど進まず」を地でいく展開となった。メンバーが過剰な役割意識を持ったためだろうか。“踊る”という表現がぴったりとくる劇場的な様相を見せた。
各委員は長々と自説を論じ、会議は時として5時間にも及んだ。議長団の制止も聞かず、委員の怒号が飛び交う戦場と化した。民主党政権下、官僚は委員との直接的な接触を止められていたから、説得工作も議長団が行い、大変な苦労を強いられた・・・

・・・復興会議の議論が空転するうち、委員の多くが、“東北への思い”を形にしたいと思っていることが分かってきた。それは「阪神・淡路復興委員会」の下河辺しもこうべ淳委員長が、「地域への思いを語る人がいないと結局はまとまらない」と言ったことと合致していた。
ただ“思い”を形にするのはきわめて難しい。我々議長団は、事務局のマンパワーを動員して委員の思いのたけを短冊化し、平台に載せては方向性を見いだす作業を繰り返した。普通の審議会なら言いっ放しで終わらせるようなことも、丁寧にすくい上げた。
その結果が、6月25日に提出した「復興への提言―悲惨のなかの希望」である。各論は検討部会が各省と調整して作り上げた具体案で網羅されたが、「前文」から各論の「序」や「結び」の部分は全体として、詩のリズムと劇的セリフで満たされた雰囲気に仕上げた。国の提言としては空前絶後のことだろう。“東北への思い”を口にする委員の多数派と議長団が、かろうじて歩み寄った形だ。

「提言」が出された後、事情を知らぬ方々からは、「自己陶酔か?」「自意識過剰!」とのお叱りを受けた。政治学者トリオが議長団にいながら心情吐露に終わったのか、という批判もあった。しかし、たまたま会議に姿を見せた菅かん首相でさえ「この会議は崩壊するのじゃないか」と独りごちたという会議の実態を考えれば、妥当な解決だったろう。10年後の今、もし同じような提言をすれば、SNSを含むメディアに“復興劇場”は徹底的にたたかれるのかもしれない・・・

御厨先生は、日経新聞にも寄稿しておられます。3月4日「人と人つなぎ「災後」切り開け 東日本大震災10年

被災地首長、復興はできた

2021年3月5日   岡本全勝

3月2日の朝日新聞が、被災地42自治体の首長アンケートを載せていました。「絆再生・心のケア、課題

2013年からの変化も、載っています。2013年では、「進んでいる」(どちらかといえば進んでいるを含む)が22、「進んでいない」(どちらかといえば進んでいないを含む)が19でした。年を追って好転し、2020年では、「進んでいる」が39、「進んでいない」が1でした。2017年までに、急速に進んだようです。
2021年は質問項目が変わり、「10年で復興できましたか」について、「できた」が36、「できていない」が3です。できていないのは福島県です。残っているのは、コミュニティ再生や心のケア、農林水産業再生です。

別途、復興状況を100点満点で聞いた質問もあります。岩手県と宮城県では100~90点がほとんどで、福島県は80点台~40点台です。原発被災地では、避難指示解除がまだのところ、最近解除されたところが多いのです。

提言、原発事故復興基本法案、2

2021年3月4日   岡本全勝

提言、原発事故復興基本法案」の続きです。

原発事故復興基本法の骨子は、次の通り。
1 原発事故からの復興について、東京電力と政府の責任
2 行うべき作業の全体像
3 各作業の計画と担当者
・廃炉。東電と経産省
・除染と中間貯蔵施設。環境省
・避難指示解除。原災本部
・復興。経産省と復興庁
4 賠償について
5 事故の記録と伝承(東電は廃炉資料館を作り、事故の記録を残し展示しています。国はまだ取り組んでいません)
6 予算と財源
7 担当者。全体を統轄する大臣(経産大臣)とその組織(原災本部事務局。内閣府か経産省に局を置くのも一案です。どこにあるか分かるようにするべきです)。