カテゴリーアーカイブ:行政機構

規制の新設

2008年3月1日   岡本全勝
28日の諮問会議では、規制の新設過程のチェックも議論になっています。現在ある事務事業をスリム化しても、新たに仕事を増やしては、尻抜けになるからです。
新たな規制の新設には、事前の政策評価が義務付けられれています。昨年3月に政策評価法施行令が改正され、項目が追加されたのです。しかし、民間議員ペーパーでは、自己評価であることなどの問題点が指摘されています。
課題の一つは、所管省の評価だけでよいかということです。規制は、いろんな方面に影響を与えます。例えば、過度の安全規制は、経済に悪影響を与えます。伊藤隆敏先生が、3月1日の日経新聞で、空港外資規制見直しについて、次のように述べておられます。
・・市場原理をうまく機能させるためには、規制をすべてなくしてしまえば良いというわけではない。安全保障など国の根幹にかかわる部分を守るために必要な規制もある。その際には、最小限で最も効果を上げられる規制のあり方を、慎重に探る必要がある。
所管省庁だけが縦割りで検討するのではなく、政府の規制改革会議や経済財政諮問会議の場を活用して、省庁横断的に多様な観点から規制の影響を分析・評価して判断すべきだ・・
もう一つは、規制の増殖をどう抑制するかです。
官僚の力は、金・組織と人・権限の3つだと言われます。お金については、財務省主計局が予算査定によって管理しています。組織と人については、総務省行政管理局が組織定員査定で管理しています。権限(許認可・規制)については、統一して管理されていません。もちろん、お金や人と違い、規制は数字で数えることは難しいという性質もあります。
大きな政府と小さな政府が議論になる際、日本は予算と定員では諸外国と比較して、大きな政府ではありません。しかし、この規制の量と範囲、そして国民がどれだけ官に頼るかが、大きな政府イメージをつくるのだと思います。

政府機能の見直し・国の出先機関の地方移譲など

2008年2月29日   岡本全勝
昨日の諮問会議、出先機関地方移譲については、29日の日経新聞朝日新聞が大きく取り上げていました。そこでは、「省庁の抵抗、必至」「官反発、予算・ポスト直結」という見出しがついています。
また、読売新聞は、地方分権改革推進委員会の解説として、出先機関見直しを取り上げていました。
記者さんとの会話
記:いよいよ進みますかね。総理の指示も出ましたし。
全:それは甘いで。新聞に書いてあるように、霞ヶ関は大反対らしい。
記:なぜ、反対するのでしょうか。だって、職員の身分が、国家公務員から地方公務員になるだけでしょ。
全:そうなんよ。地方機関の職員の大半は地元採用で、勤務地も変わらないんだけどね。
記:首を切るとか、事業予算が減るとかと違いますよね。行革といっても、国民生活にな~んにも影響ないですよね。リストラを進めてきた民間企業からすると、理解できませんよ。
全:そうだろうね。伊藤忠で大リストラをしてこられた丹羽会長からすると、理解不能だろうね。
記:受ける知事会は、引き受けても良いと言っているし。クビを切るわけでもないでしょう。反対する官僚は、エゴとしか見えないんですけど。
全:そう言われても仕方ない。
記:決めるのは誰ですか。
全:それは、総理だ。官僚は内閣の従業員で、各省の組織は内閣の下部組織だから、社長である総理が決めること。官僚が反対しているけど、それは従業員の抵抗であって、この場合は被告人でしかない。被告人が決定権を持っているわけではないのよ。
記:官僚が国家の将来を考え、彼らが決めているというのじゃないのですね。
全:日本国憲法には、そんなことは書いていない。行政=内閣の責任者は総理であって、官僚は従業員。
記:でも昔は、官僚が日本を引っ張っていったのでしょ。なぜ、官僚は、国家を考えなくなったのでしょう。
全:近年の官僚は、そういう訓練を受けていないんだろう。「大連載」の3月号と4月号に、そのあたりを解説しておいたので、読んでね。

公設民営

2008年2月16日   岡本全勝
自動車損害賠償責任保険の保険料が、4月から下がることが、報道されています(例えば、朝日新聞16日ニュースがわからん)。交通事故の数が減ったからです。この保険って、興味深い仕組みなのです。
この保険は、交通事故の被害者を補償するものです。自動車をお持ちの方は、ご存じでしょう。法律で自動車を持つ人全員に、1台ごとに加入が義務付けられています。強制保険です。しかし、保険の運営は、民間の損保会社各社が行っています。皆さんの入っている保険も、損保会社などでしょう。保険料などは国が決めて、一律なのです。これだけでは補償金額が少ないので、その上に別途、民間の自動車保険に入っておられると思います。
賢い仕組みだと、思いませんか。これも、公設民営と言っていいのでしょうか。社会保険庁の事件を考えると、民営で良かったですね。もちろん、仕組みを官が設定するので、その設定が非効率だったら問題が生じます。
このほかに、自動車事故には政府保障事業があります。これは、ひき逃げや、無保険の事故を救うためです。

行政組織のガバナンス

2007年12月29日   岡本全勝
大連載を書く過程で、いろんなことを勉強しています。2月号に書き足したことに、ガバナンスがあります。気にはなっていたのですが、なかなか議論が整理できなかったのです。田村達也『コーポレート・ガバナンスー日本企業再生への道』(中公新書、2002年)を読み始めて、少し考えがまとまりました。
近年、企業統治(コーポレート・ガバナンス)が話題になっています。よく見ると、その中には、二つのものが含まれています。一つは、法令や社内規則、企業倫理を守ることです。有名企業で偽装などの不祥事が相次ぎました。これに対しては、内部管理体制の強化(コンプライアンスの強化)が求められます。もう一つは、業績の確保です。法令を守っていても、収益を上げないと、経営陣は株主から交代を求められます。
これを参考にすると、行政組織にあっても、法令順守と業績確保の二つが求められます。年金記録のずさんな仕事は、前者の法令違反に当たります。夕張市の「ヤミ起債と再建団体移行」は、企業の粉飾決算に当たるのでしょう。後者の業績確保にあっては、もちろん行政組織に求められるものは、収益ではありません。
さらに、企業にあっては、売れない商品を作っていたり、高価なサービスを提供していては、他社との競争に負けます。市場で淘汰されるのです。しかし、行政には市場原理は働きません。ムダな政策であっても、コストの高い事業でも続けられるおそれがあるのです。ただし、国家間の国際競争という観点から見れば、魅力ある国づくりに負けた政府は、国力を落としていくのでしょう。
このような視点からは、スリム化や効率化を超えた行政改革が、求められます。これまでの行政改革論では、NPMは議論されましたが、このような視点はあまり議論されていません。

規制改革

2007年12月26日   岡本全勝

規制改革会議が、第2次答申をまとめました。各紙が解説しています。26日の日経新聞には、「後退目立つ」として、項目別採点表がついていました。表にして○×を付けると、わかりやすいですね。もちろん、微妙な点が表せない、という批判もあるでしょう。しかし、多くの場合は、まずは全体を簡単に理解したいのです。