カテゴリーアーカイブ:行政機構

ガバナンス、マネージメント、アドミニストレーション

2008年4月28日   岡本全勝
以前から、ガバナンスとマネージメントについて考えています。大連載では第4章で書く予定です。関係する書物を読んで、少しずつ考えが整理できつつあるので、書き留めておきます。
(ガバナンス論の民と官)
ガバナンスが取り上げられるようになったのは、1990年代、コーポレート・ガバナンス(企業統治)からのようです。それに触発されて、パブリック・ガバナンスの議論が盛んになっています。
まず、ガバナンスとマネージメントと、どこが違うか。ガバナンスは統治・支配であり、マネージメントは管理・経営です。前者は、株主が経営者を選び、経営を委任し、その執行を監視することです。会社の目的を決定することも含まれます。株主は会社の所有者です。
後者は、経営者が会社を経営することです。さらに、マネージメントには、狭義のマネージメントとアドミニストレーションがあります。狭義のマネージメントは経営であり、経営者が目的に沿って事業戦略を立て、組織・人員・予算、さらには経営システムを決定します。アドミニストレーションは、より下位の監督で、事務の執行管理です。経営者でなく、各部門の責任者(課長など)が行います。
これを政府に当てはめてみましょう。政府が会社であり、株主は国民です。国民が政府の所有者です。国会を通して内閣に行政を委任します。国民が政府を支配することが、ガバナンスです。かつて、統治といえば、政府が国民を統治しました。主体は政府であり、統治客体は国民でした。被治者とも呼ばれます。しかし、新しいガバナンス概念では、統治(支配)の主体は国民であり、統治されるのは政府です。続く。

大きな政府、小さな政府

2008年4月25日   岡本全勝
日本は先進諸国に比べ、公務員数は少なく、予算規模(国民負担)も小さいので、「小さな政府だ」といわれます。もっとも、歳出予算は結構大きく、正確には、国民負担では「小さな政府」で、歳出額では「中くらいの政府」です。
いろいろな議論がありますが、混乱しているように思います。そこで、次のように整理できるのではないかと、考えました。
1 行政機構の規模
これは、簡単には公務員数です。そして、同じ成果を出すなら、より小さい政府=効率的な政府が望ましいです。
2 政府の出力
行政機構が、どれだけの仕事をしているかです。例えば公共事業の額、社会保障の額です。社会保障を考えてもらえばわかるように、これは必ずしも、小さな政府がよいわけではありません。健康保険、介護保険、年金、生活保護が小さいほど良いとは、国民は考えないでしょう。
なお、「出力」と言ったのは、単純に「歳出額」では測れないからです。ムダな予算だと(人件費に消えたりすると)、「有効な仕事」にならないからです。「国民に届く予算額」といえるでしょう。
3 政府の守備範囲
しかし、政府の仕事は、予算だけでは測ることはできません。法令による規制が多いと、国民が政府に依存する範囲が大きくなります。これは、大きな政府です。例えば、文科省が補助金を出さなくても、小中学校を細かく規制で縛ると、大きな政府になります。もちろん、これも小さな方がよいとは限らず、必要なところは政府が責任を持つべきです。
行政の力の源泉は、人=公務員、金=予算、権限=法令です。上に述べた3つは、おおむね、これに合致します。これまでは、ヒトとカネを問題視して、比較していましたが、権限についても取り上げるべきでしょう。国にあっては、公務員数は総務省行政管理局が管理しています。予算は財務省主計局が管理しています。権限については、そのような仕組みはありません。

予算の見える化

2008年4月23日   岡本全勝
23日の日経新聞で、大林尚編集委員が「予算見える化、日本版へ議論。使い切り主義、転換迫る」を解説していました。
・・国の予算は国会承認によって初めて支出が可能になるが、使い道は事実上、役所が決めている。A省の予算を誰がどういう目的でいくら使ったのか、瞬時に網羅的に把握するのは面倒だ。簡単に知る手立てはないか。その仕組みづくりに、経済財政諮問会議が動き出した。
15日の諮問会議では、民間議員の丹羽宇一郎伊藤忠商事会長が「官庁は予算を使い切ることを重視する傾向がある。国民からすると重要なのは結果だ」と改善を求めた。これを受けて、額賀福志郎財務相が新しい仕組みづくりを担当することになった。今年度中に試行し、2009年度から本格稼働させる。
予算の使い方を監視するのは本来、立法府の仕事だが、サイトができれば誰でも骨を折らずにタックスイーターを突きとめられるようになる。
使い切るのが善とされた予算主義。「見える化」はその転換を迫るための簡便なしかけであり、公益法人改革の一里塚にもなる。

審議会と省庁折衝・政策の決まり方

2008年4月19日   岡本全勝
先日、中教審に関して「省庁間の調整」を書きました。朝日新聞の4月19日社説が、「教育基本計画―中教審はどうしたのか」を書いていました。
・・教育現場が抱える課題は多い。とくに深刻なのは学力低下問題だ。学力格差をどう縮めるか。考える力をどう育むのか。そのためには、教師の数や質の向上が欠かせない。 だから、この答申で最も注目されたのは、教員を増やすなど予算のかかる措置が具体的にどう描かれるかだった。日本の教育への公的支出の割合は、先進国のなかでも低い。教育への投資は、日本の教育を底上げするには避けて通れない課題である。 ところが驚いたことに、答申には具体的な提言が見あたらないのだ。
どうしてこんなことになったのか。答申には、財政措置の必要性にさらっと触れたのに続いて、こんな一文がある。「しかしながら、国の財政状況は大変厳しい状況にあり、これまでの歳出改革等の改革努力を継続する必要がある」。まるで財務省の審議会の答申かと見まがう内容である。
委員の片山善博・前鳥取県知事が「あまりに財政当局に近い内容で、省庁折衝の結果と答申が同じなら審議会はいらない」と怒ったのも当然だ。答申づくりにあたって、文科省と財務省などとの事前折衝が行われ、財源の見通しがない具体策は盛り込まぬようタガをはめられた、ということのようだ。しかし、官僚たちの言い分を土台にして答申をつくるのでは、審議会で議論する意味がない・・

民間ベストプラクティス

2008年4月19日   岡本全勝
15日の経済財政諮問会議の議事要旨が、掲載されました。民間ベストプラクティスに関する議論の、いくつかを抜粋します。残りは、原文(p6~10)をお読みください。
(丹羽議員)
毎年1%の削減は節約であり、5年間で5%というのが官庁では普通のことだが、民間ではそれは改革と言わない。改革というのは、2割、3割削減すること。5%の削減が大変だというが、それは現状を前提としての削減をするからであり、3割削減するためには、仕事のやり方、仕事そのものを見直していかなければいけない。
・・まず企業と官庁との大きな違いは、企業が結果主義であるのに対し、官庁は独占企業体であること。競争原理が非常に働きにくい予算主義だということ。官庁は予算の獲得に力を入れ、その予算を使い切ることを重視する傾向がある。国民からすると結果が重要であり、仕事の結果や効果を国民に見えるようにすべきである。
・・例えれば公務員は従業者で、内閣が経営者あるいは取締役会。公務員をうまく使って最大限の効果を出すのは、経営者である内閣と上級幹部の責任である。内閣と上級幹部のリーダーシップを期待している。同時に、国民は株主であり、株主である国民への情報開示を徹底することが、国民本位の「ムダ・ゼロ」政府実現をすることになるだろう。
(御手洗議員)
仕事のたな卸しについて。企業が業務改革をする場合には、まず、一つひとつの業務を分析し、徹底的に無駄な作業を洗い出し、業務の流れをできるだけシンプルにすることから始める。その際、企業でも、仕事のやり方を変えるということにはとても大きな抵抗があり、多くの場合、外部の専門家の方に社内で業務監査を実施してもらうことが大変有効な手段であると、経験上感じている。
(増田議員)
目標管理、MBOの関係であるが、少なくとも足元の総務省できちんとこうしたことが行われているという実態とはほど遠い。ただ、これは官民で違いがあるわけではなく、大きな組織であれば、必ず組織として行っていかなければならないものである。私も以前、知事をしていたときには、毎年度、当初に部長と課長からきちんと文章にした紙をもって、年度末には個別に面談して評価していた。こうしたことは、組織として徹底していかなければならない。御指摘を十分踏まえ、どう実行させていくのかについて、少し中で検討したい。